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2番のないコンパクトな曲構成が気持ちいい青春ボカロ。ピアノの高音、ギターのカッティングが爽やかな『わすれもの』

今回紹介するのは、Simoの11作目となる「わすれもの」。

文/村上麗奈


 制服を着た少女の後ろ姿と青空、入道雲が繊細なタッチで描かれたイラストが目を引くオープニングの「わすれもの」。きらびやかなピアノの高音の音色や、子気味いいギターのカッティングが爽やかなイラストとマッチしている1曲だ。

 モノクロの映像とともに曲調をぐっと抑えるBメロでは、サビに向けてせりあがるストリングスのフレーズとIAによるボーカルが高揚感を煽る。IAの魅力のひとつでもあろうハイトーンの叫ぶような歌声が光るサビが青空のイラストの解放感とよく似合っており、楽曲とMVが呼応し合いながら透明感のある印象を際立たせている。

 1サビからギターソロ、そして勢いを活かすように叫ぶIAの歌がフィーチャーされたDメロと、疾走感のまま終盤まで駆け抜けていく構成は、不安を振り払って前向きに進もうとする歌詞の内容とも一致する。2番を作らないコンパクトな構成が勢いを強調しているほか、歌声、音色共に青春の爽やかさと荒々しさが同居するような清涼感の吹き抜ける楽曲だ。


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