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稲田氏辞任で防衛省と大臣の“いびつな関係”は解消されるか。「新任の小野寺さんなら大丈夫」現役参議院議員語る

稲田前大臣にも責任の一端はある

山本:
 どう考えても防衛省と大臣の関係は異常でした。細かいことはともかくとして小野寺大臣に立て直していただきたいですね。

青山:
 そうですね。僕は小野寺さんしかいないと思っていました。

 稲田さんはマティス国防長官がいらしたときに大きなリボンを付けたお洋服で出てこられて、僕はびっくりしました。実はアメリカ側もびっくりしていて、「たかが服装で」と言われるかもしれませんが、国と国との儀礼ですから。

写真は『日米防衛相会談(平成29年2月4日(土) 於:防衛省)』防衛省・自衛隊公式ホームページより。

青山:
 そして僕は日報問題について「稲田さんにも責任の一端がある」と申しました。なぜかと言うと統合幕僚監部が発表しているのですから、「関係ない、根幹からおかしい」と言えばいいじゃないですか、なぜこのことを言わなかったのですかと。稲田さんが指揮命令系統のことについて何も分かっていなかったら、それはそれで批判は浴びるでしょうけれど、正直にはっきり言った方がいいです。しかしいつも通りの答弁しかありませんでした。

 ただ、後から僕のところに伝わってきたのですが、「最後は言いたいことは少しは言えた」と仰せられたそうです。僕が言いたいのは、稲田さんは彼女なりに一生懸命、部隊を回ろうとしていました。彼女が回った部隊においては、服装に違和感を抱いた人でも「一生懸命、自衛隊の活動を理解しようとしている人だった」と言う人が未だにいます。しかし何万人といる自衛隊を隅々まで回ろうと思えば10年、防衛大臣をやらないと無理ですよ。

海自にそっぽを向かれた“軍事オタク大臣”――防衛大臣に必要な要素とは

青山:
 ちなみに部隊を回らない防衛大臣は意外にいませんね。興味津々で回る人もいます。しかし興味津々で回りますと、「軍事オタクにおもちゃ箱のようにかき回されるのは嫌だ」と言う自衛官はすごく多いですよ。

 名前は出しませんが、護衛艦に人が入ってはいけないように柵があるのですが、それが「低すぎる」と言って海上自衛隊を敵に回した人もいました。鍛え上げた海のプロですから柵の高さは最低限にして防衛観察の際に動けるようにしておかなければいけない。観光船のフェンスとは違うんです。そこに「安全性がない」と言ってしまったために、それから何を言っても駄目だった。

 ここからは余談ですが、僕がまだ民間人だったころに、ある自衛官が「あの大臣室にはプラモデルがたくさん並んでいるから、そこに行って文句を言ってきてくれ」と言うので、実際に行ったんです。その後、プラモデルは半分撤去されたのですが、部屋に残ったものは一番怒っている海関係のものだった(笑)。この大臣も非常に見識があって部隊をよく回る方でした。しかし大臣の仕事は回ればいいというものではないですからね。

青山:
 ですから言い方の一つでも、「稲田さんは率直でよかった」という自衛官もいれば、急に友達みたいな言い方をされて権威を感じないと思った自衛官まで様々ですので、自分自身をしっかりと“建設”して、“防衛大臣”なるものを作った上で部隊を回らないと。行けばいいっていうものでもないですからね。

山本:
 その点においては小野寺さんは大丈夫だと私は思います。しかしこの話をしていると尽きませんね。

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