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稲田氏辞任で防衛省と大臣の“いびつな関係”は解消されるか。「新任の小野寺さんなら大丈夫」現役参議院議員語る

 稲田朋美前防衛大臣を辞任へ追い込んだ南スーダン国連平和維持活動(PKO)における日報問題。参議院議員の山本一太氏の番組『山本一太の直滑降ストリーム』の対談コーナーにて、この問題に鋭く切り込んだのは、ゲストで同じく参議院議員の青山繁晴氏

 日報問題以外にも、稲田前大臣の「リボンファッション」や、過去の発言から海上自衛隊にそっぽを向かれた“軍事オタク大臣”を例にあげ、小野寺五典防衛大臣にアドバイスをする一幕も。果たしてどのような対談になったのでしょうか。

写真は『稲田防衛大臣の離任(平成29年7月31日(月) 於:防衛省)』防衛省・自衛隊公式ホームページより。

「本来、日報問題は事実として存在しない」 青山氏が指摘するふたつの理由

左から山本一太さん、青山繁晴さん。

山本:
 先日辞任された稲田朋美前大臣についてはいろいろな批判があって、防衛省と自衛隊を統制することが出来なかったというところがあるのですが、最もシビリアンコントロール【※】をしなければいけない防衛省と自衛隊からどんどんリークが出てきて、これによって大臣が追いつめられることは大変なことだと思うのですが、どう思われますか。

※シビリアンコントロール
文民統制とも言われる。文民たる政治家が軍隊を統制するという政軍関係における基本方針であり、軍事に対する政治の優先を意味する。

青山:
 予算委員会で稲田さんに「本来、日報問題というのは事実として存在しない」と申し上げました。もう少しかみ砕いて言いますと、日報は前線の部隊が司令部に報告するものであって、国民に報告するものではないのです。

 しかも自衛隊であれ諸国の軍隊であれ防衛力の世界というのは、指揮命令系統の動かし方がすべてなのです。装備なども事実上はバラバラですから、肝は指揮命令系統だけであって、その指揮命令系統から出てくる日々の報告を外に出すというのは、国家安全保障にとって最悪の事態なのです。まずそれが一点です。

山本:
 なるほど。

青山:
 二点目はPKOで南スーダンに派遣された部隊については、陸上幕僚監部【※1】は指揮命令権を持っていないのです。権限があるのは統合幕僚監部【※2】です。だから陸上幕僚幹部は関係ないのです。本当は日報を公表してはいけませんけれど、統合幕僚監部が大臣や事務次官と相談して日報を公表したのが2月6日です。

 そして稲田さんが辞任に追い込まれる問題の会議となったのは実は2月15日の会議です。当事者ではないのです。

※1陸上幕僚監部
防衛省の特別の機関。陸上自衛隊の任務に関する管理運営の調整等を行う。

※2統合幕僚監部
防衛省の特別の機関。陸海空自衛隊を一体的に部隊運用することを目的とした機関。

青山:
 そして実際、僕はアメリカ軍側から「日本がこうやって日報を公開するとなったら、アメリカ軍は協力できません。アメリカ軍がどう動いたか、日々の報告のすべてを稲田さんが辞めた後は世の中に出すのでしょうか」と言われました。日報を公表すること自体がおかしいです。すると防衛省は「黒塗りで出せばいい」と返答しました。しかし黒塗りで出せば国民は公開されていると思いませんよね。むしろ情報公開法をめちゃくちゃにしてしまうわけです。

青山:
 やっていることが「政と官」どころの話ではなく、指揮命令系統がどこにあるのか基本的なことが分かっていないのです。だからあえて、このあいだの国防部会で統合幕僚監部に聞いてみました。「2月6日に統合幕僚監部が発表した日報と、陸上幕僚監部で後から出てきた日報は同じものですか、違うものですか」と聞いたら、防衛省が「同じものです」と答えたのです。

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