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手作り目薬で最悪失明も? 批判が殺到した自然派ママブロガーのネット記事「手作り目薬を作りました☆」を振り返る

 今回紹介する動画は、ゆっくりするところさんが投稿した『【2020年ネット】自然派ママによる『自作目薬』で大炎上 最悪の場合失明する危険も【ゆっくり解説】』。
 とあるwebメディアに掲載された「自宅にあるものだけで簡単!!手作り目薬を作りました☆」という記事に批判が殺到した件について解説しています。

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魔理沙:
 今回は以前から非常にリクエストが多かった、「自作目薬炎上騒動」を紹介したいと思う。

霊夢:
 自作目薬……? 目薬って自分で作ったりできるわけ?

魔理沙:
 いや、一般家庭で清潔な目薬を作ることは実質不可能だ。これは所謂「自然派ママ」と言われるタイプの女性が、市販の目薬は危険だとして、目薬を自ら作り出し、ブログに掲載したところ、それがSNSなどで大炎上してしまったという騒動だ。

霊夢:
 そんなこと全然知らなかった……。

魔理沙:
 それじゃあ早速本題に入るか。2020年2月、Twitter上で、とあるウェブサイトのコラムが話題となっていた。

 このサイトは小さな子供を持つ母親向けの子育て系情報メディアのひとつで、子供向け料理のレシピなどをはじめ、健康、イベント、トリビア、悩み相談など、子育てに関係する様々な情報を発信するサイトだった。

霊夢:
 へぇ、最近のママさんっていろんなところから情報を受け取れるから便利そうね。

魔理沙:
 そうだな。ネットやスマートフォンの普及で、昔よりも有益な情報を仕入れることが出来るだろうな。だが時には間違った情報、健康被害を出すような悪質なデマもある。このサイトは当時、月間閲覧数500万、会員数は10万人以上非常に勢いのあるサイトだった。

霊夢:
 少子化時代なのにすごい人気ね。

魔理沙:
 また、サイト内では実際に子どもを持つライターが執筆したブログも掲載されており、SNS上で話題になっていたのは、この記事のひとつだった。その記事のタイトルは、「自宅にあるものだけで簡単! 手作り目薬を作りました」

霊夢:
 ふむふむ。

魔理沙:
 その記事を書いた女性「Aさん」は、28歳の主婦ライターで、長女出産後、相模原市の公認親子サークル代表などを務め、雑誌にコラムを掲載したり、イベント講師などを行っていた女性だった。

霊夢:
 へぇ、そんなのあるんだ。

魔理沙:
 彼女は記事の中で、「私はドライアイになりやすい母ですが、市販の目薬は防腐剤が多い」「そこで簡単なもので目薬を手作りしてみました。」と綴っており、詳しい作り方が書かれていた。

霊夢:
 目薬って防腐剤なんかはいっているの?

魔理沙:
 それは事実だ。一応そのことについてもあらかじめ説明しておこうか。種類にもよるが、点眼瓶の中には細菌やカビが繁殖しないよう、防腐剤が添加されている。

 目薬に含まれる防腐剤成分を点眼すると、角膜障害などが起こるといわれているが、実際に市販されている目薬に入っている防腐剤類は、必ず点眼しても危険性のないように、濃度を調整されているため、特定の疾患を患っている人以外は、角膜障害などが起こる心配はない。

霊夢:
 へぇ、じゃあ安全のために防腐剤入れてるわけね。

魔理沙:
 そういうことだ。防腐剤と言うと、そのすべてが危険だと考える人もいるだろうが、人の体に入るようなものは、すべて種類や濃度がちゃんと調整されて、健康被害がない、もしくは少ないように作られている。

霊夢:
 そっか、そりゃそうよね……。

魔理沙:
 ただ、ソフトコンタクトレンズは薬物を吸着しやすい性質があるので、防腐剤成分を吸着、蓄積しやすく、角膜障害を引き起こす可能性は裸眼よりも高くなるため、含有量に注意したほうがいい場合もあるけどな。

霊夢:
 へぇ、ていうか目薬が腐るなんて考えもしてなかったわ。

魔理沙:
 目薬は作られた時点、もしくは開封された時点から劣化が始まるし、空気中に漂う細菌が付着して、繁殖する危険がある。点眼時に目薬の容器を瞼に直接つけてしまう人も多いからな。

 そこで細菌などが入り込み、内部で繁殖するのを防ぐためにこういった成分が含まれているんだ。

霊夢:
 確かに直接つけて入れてる人いるわね……。

魔理沙:
 あれは衛生的に良くないさし方なので、できれば控えたほうがいい。おっと、話を元に戻すぜ。

 このAさんは記事の中で、自作目薬のレシピを「容器(煮沸して除菌したもの)」「お水(水道水は絶対NG!)」「塩」と掲載しており、「水道水は塩素が入っているので、水は必ずミネラルウォーターを使うこと」「塩は塩化ナトリウムの入っていないものを選ぶ」「スーパーなどで売っているものは、ほとんど塩化ナトリウムが入っているので注意!」「水100ミリリットルに1グラムの塩を入れるだけで完成」と綴っていた。

霊夢:
 ……それってただの塩水じゃないの?

魔理沙:
 ああ、言ってしまえばこれはただの塩水だ。しかも、「不衛生な塩水」だ。 彼女はさらに、「コンタクトレンズの保存液にも使えるようです」「私はスプレーボトルに入れて使ってます」と続けた。

 SNSで話題となったのは、塩といっているのに「塩化ナトリウムが入っていないものを選ぶ」という部分だった。

霊夢:
 どういうこと?

魔理沙:
 塩とは、塩化ナトリウムなどを主成分とし、海水の乾燥、岩塩の採掘などによって生産される物質のことで、塩化ナトリウム=塩といってもいい。

 SNS上ではこの部分に対してのツッコミツイートが大拡散され、元のサイトに注目が集まった。

霊夢:
 そりゃつっこまれるわ……。

魔理沙:
 恐らくライターの女性は、減塩などに用いられる、塩化カリウムと塩化カルシウムを勘違いして記載していたようだった。

霊夢:
 あ、なるほどね……。

魔理沙:
 しかし、元の記事が注目されるにつれ、「これはもしかして、かなり危険なことをしているのではないか?」と、別の意味で話題になりはじめた。

 というのも、この記事のツイートを見た医師などが、自作目薬の危険性を指摘し、それが拡散され始めていたからだ。

霊夢:
 ただの塩水なのに、そんなに危険なの?

魔理沙:
 ああ。ただの塩水と言っても、飲み込むのと目に入れるのでは、危険度に雲泥の差があるからな。というのも、点眼液というのは、「清潔に調整するのが困難」「点眼液に菌が入りやすい」「濃度調整が重要」という、目薬特有の難しさがあるんだ。

 まず、清潔に調整するという点だが、この場合の清潔にするというのは、一般的な意味とは違い、医学的な意味でも「無菌状態」のことを言う。飲む場合ならば、保存するわけでなければあまり危険はない。

 しかし、点眼液のように一度で使い切らず、容器に保存するようなものの場合、時間経過でどんどん中身が菌に汚染されていく。

霊夢:
 あっ、そっか……1回で目薬を使い切ることなんてないもんね。

魔理沙:
 この衛生状況は、ペットボトルの飲み物に口をつけ、常温で何日も保存したものを想像するとわかりやすいかもしれないな。

霊夢:
 絶対お腹壊すわ……。

魔理沙:
 このAさんは防腐剤を危険視し、市販の目薬使用を避けているようだったが、自作目薬はそれをはるかに上回る危険なものだった。

霊夢:
 本末転倒じゃないの……。

魔理沙:
 目薬などの医薬品というのは、衛生管理が徹底された専門の工場で、専門家によって細心の注意を払って作られているものだ。

 しかし一般家庭で、しかも市販のスプレーボトルをそのまま点眼瓶として使用するとなると、その中は細菌だらけ、作りたてで使うのなら、もしかしたら危険が少ない場合もあるかもしれないが、時間が経過すればするほど、中身はどんどん汚染されていく。

霊夢:
 こわぁ……。

魔理沙:
 しかも目薬を使うたびに、容器に細菌が入り込みやすいからな。それに、濃度の問題も非常に重要だ。点眼液というのは、濃度、pHを調整して作られるが、例えばただ飲む場合だったら濃度が高すぎても「しょっぱくて飲めない」と感じ、飲むことをやめることができるが、点眼液の場合、多少沁みたとしても、我慢してさすことができてしまう。  

 だが、角膜というのは透明で、非常にデリケートな組織だ。人間の体の中で、透明状態の組織というのは少なく、絶妙な浸透圧でバランスをとっている部分だ。

霊夢:
 浸透圧って、キュウリに塩を振ると水分が出るあれ……?

魔理沙:
 ああ、あれも浸透圧の関係で水分が排出されているな。簡単に言うと、浸透圧というのは、周りの塩分濃度と組織の塩分濃度に差が生まれると、水分が塩分濃度の高いほうに移動していく、という現象のことだ。

霊夢:
 だから塩をかけると水が出るわけね。

魔理沙:
 ああ、なのでこういった塩水を点眼してしまうと、角膜から水分が外に流出するという現象が起きてしまう可能性がある。

霊夢:
 こわっ!

魔理沙:
 ブログを閲覧した医師らは、以上の事と合わせて、自作目薬の危険性について呼びかけ、そのツイートを見た人たちによって、サイトは大炎上。

 サイトを運営する新聞社は「誤った内容があったと判断した」として該当記事を削除。「ご迷惑をおかけしました」と謝罪した。

霊夢:  
 新聞社が運営してたんだ……ちゃんとした会社っぽいのに……。

魔理沙:
 このサイトでは、ほかにも問題があるとみられる記事が複数見つかり、後にそれらも削除された。

霊夢:
 真似してケガするような人が沢山出る前でよかったわね……。

魔理沙:
 実際にこれと同じ目薬を自作し、使用して「効果があった」という人もいたが、これは恐らくプラセボ効果の類だろうといわれている。

 このサイトを運営していた会社は新聞社で、ライターは読者から採用していたが、このような科学的根拠がないどころか、危険がある自作目薬を広めようとした記事を掲載したことに対して、多くの批判が集まった。

霊夢:
 専門家の目についたら、すぐにそんな間違い指摘されるのに、よく掲載したわね……。

魔理沙:
 内部の事情は不明だが、読者からライターを募っていたことからも、投稿はライター自身に委ねられる部分が大きく、しっかりとエビデンスなどのチェックが行われていなかったんだろう。

 市販品に含まれる防腐剤や添加物などが、すべて一切体に悪影響がないとは言わないし、選ぶ選ばないも個人の自由だと思う。

 しかし、Aさんのような、科学的な根拠がある医療、育児などを頑なに拒否し、子供を危険にさらす可能性のある、自己流の子育てに固執する母親のことを、ネット上などでは揶揄する意味で「自然派ママ」と呼ぶことがある。

霊夢:
 そういえば最近よく耳にする単語かも……。

魔理沙:
 こういった自然派ママは、子供を危険にさらすことを忌避するあまり、インスタント食品やスナック菓子などを嫌い、オーガニック食品と呼ばれるものを食べさせたり、とにかく「自然」「無添加」などを好み、人工的なものを極端に嫌う傾向がある。

 これも個人で行っているならば、「個人の自由」で済む話だし、他人がとやかく言うことではないが、Aさんのように多くの人に影響があったり、子どもに危険が及ぶような非科学的な健康法などは、注意しなければならない。

霊夢:
 確かに……。

魔理沙:
 このような自作目薬を使用すれば、最悪の場合失明してしまう危険性もあるという。

霊夢:
 し、失明……。

魔理沙:
 非常に初歩的な科学的知識や、一般常識がないと、こういった危険な健康法や、疑似科学などに引っかかりやすいため、実生活でもネット上でも、最低限のリテラシーが必要なんだな。

霊夢:
 そうね……こういう科学的なものとかって、悪い人に騙されないようにするために必要とかいうし……。

魔理沙:
 そうだな。理解せずにそういった情報を拡散してしまう場合、その「悪い人」よりもよほど質の悪いものになってしまうので、そうならないためにも注意が必要だ。

 防腐剤の健康被害が心配という人自体は否定しないが、もし成分が心配な場合は、自分で目薬を作るのではなく、眼科などに行って専門医に相談することをオススメする。

霊夢:
 そうね……お医者さんなら専門家だし、目薬の事もちゃんと教えてくれるでしょうしね。

魔理沙:
 ああ、もしかしたら医者を信用しない人も中にはいるかもしれないが、素人と比べてどちらが科学的に正しいことを言ってるか、よく考えて決断してほしいな。ちなみに、防腐剤が入っていない目薬も実際に市販されているので、気になる人は探してみてくれ。

霊夢:
 なんか、前に紹介した血液クレンジング騒動に似たものがあるわね……。

魔理沙:
 ああ、ネットやスマートフォンが普及した現在、こういった科学的根拠に乏しい。疑似科学や微妙な健康法、商品などが目に付くことが多くなっている。

 先ほど少し話したが、自分や家族の身を守るため、また危険な情報を拡散する加害者になってしまわないよう、最低限の一般常識やリテラシーをもって利用しないといけない。

 だが、健康や体に関することは間違えると大変なことになる場合もあるので、ネットで正しい情報を探すよりも、まず専門家に相談するほうがいいだろうな。

霊夢:
 そうね……ネットの情報が全部専門家の人が発信してるものばかりとは限らないし、その方が確実ね。

 

 インターネットに情報があふれて簡単に情報が手に入るようになった現代。それが本当に正しいものなのかを見分けるスキルが必要なのかもしれません。
 この解説をノーカットで聞きたい方はぜひ動画を視聴してください。


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【2020年ネット】自然派ママによる『自作目薬』で大炎上 最悪の場合失明する危険も【ゆっくり解説】

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