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宇宙からの隕石から作られた「流星刀」の魅力! 「魔力が宿る」といわれたロマンあふれる刀の歴史を紹介

 今回紹介するのは、モンド・ヒストリカ@歴史さんが投稿した『【歴史解説】隕石からつくられた剣 流星刀について』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、鉄隕石から作られた流星刀について解説します。

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鉄隕石から作られた「流星刀」とは

クレオパトラ:
 流星刀とは、隕石の中でも金属を多く含む鉄隕石を材料として作られた刀剣のことよ。とは言っても流星刀という名称が正式に認められているわけではなく、サブカル的な俗称として使われているだけだけど。

マリー:
 でもわざわざ隕石から鉄をつくるなんて、物好きな人たちがいたんだね。

クレオパトラ:
 確かに現代の考えでは、ただのお金持ちの道楽のように考えがちだけど、そもそも古代には隕石から取り出すしか「鉄」を入手する方法がなかったのよ。地球上の鉄鉱石から鉄を取り出すには高度な科学技術が必要なの。

 青銅器は早い地域では紀元前3500年頃には普及したけど、鉄が本格的に量産されるのはそれより1500年後のヒッタイトにおいてだとされているわ。

マリー:
 青銅も鉄も、とにかく熱々にすれば溶けて取り出せるんじゃないの?

クレオパトラ:
 そんなに簡単な話ではないのよ。地球上で単体で産出する金属は金、プラチナ、わずかに銀、銅、水銀ね。これらの共通点はイオン化傾向の小さい金属ということよ。

 金属はイオンになるときには原子から電子を失って陽イオンになるわ。対して酸素原子や硫黄原子は電子を得て陰イオンになりやすい。プラスの電気を帯びた陽イオンとマイナスの電気を帯びた陰イオンは互いに引き合うので、多くの金属は酸素や硫黄の化合物として、自然界に存在するわ。

 例えば酸素と結合した鉄が酸化鉄、いわゆるサビね。で、イオン化しやすい鉄は単体でもほとんど存在せず、反対にイオン化しにくい金は大昔でも容易に得ることができたわ。

 銅や銀、水銀も酸化物イオンや硫化物イオンとの結びつきは弱いので、比較的簡単に分離ができ、鉄の時代よりも青銅の時代が先にきて、それが1500年も続いたのもこのため。  

マリー:
 とりあえず鉄をつくるのは大変だってことよね。

クレオパトラ:
 そう。鉄鉱石から鉄を取り出すには木炭と一緒に400度から800度で加熱し、木炭に含まれる炭素を酸化鉄に含まれる酸素と結びつけて、鉄と二酸化炭素に分離する還元が必要。こうしてできた鉄を熱いうちに叩いて不純物を絞り出して、ようやく素材としての鉄が得られるわけ。

マリー:
 鉄の作り方って確かヒッタイト王国が滅びるまで国家機密になってたんだっけ?

クレオパトラ:
 それが紀元前1200年頃なんだけど、最近の研究ではそれより前にもある程度流出はしていたみたいなんだけどね。それでも鉄はどこでも作れるものじゃなかったから、貴重には違いなかったわ。ところがヒッタイトが滅びる200年も前、エジプトのツタンカーメン王の墓から鉄製の短剣が出土したの。

マリー:
 当時のエジプトには鉄を作る技術がなかったの?

クレオパトラ:
 少なくとも現在知られている限りはね。そしてその頃のエジプトでは「空の金属」と訳せる象形文字も見つかっているわ。さらに『Meteoritics and Planetary Science』に掲載された論文によると、短剣には鉄のほかニッケル、コバルトが高いレベルで含まれていて、この地域で見つかった隕石と成分が良く似ていたそうよ。

マリー:
 でも偶然ってことはないの?その鉄の短剣も、例えばヒッタイトから持ち込まれたとか。

クレオパトラ:
 まあ私は専門家じゃないし断言はできないわ。ただこのツタンカーメンの短剣に限らず、隕石を原料として作られた鉄製品は結構見られるわよ。むしろ、古代の鉄の主な供給源が隕石だったと言っても過言ではないわ。宇宙から来た鉄には地球上のように不純物が混ざることも少ないしね。

 もちろん絶対数が少ないから相当な貴重品ではあっただろうけど。世界中の古代の人たちは、鉄が天からもたらされるものだと認識していて、実用的な価値もさることながら宗教的な価値も見出していたらしいわ。

 最古の鉄製の刀剣は約4300年前のもので、トルコのアナトリア地方で発掘されたものなんだけど、これも鉄隕石から作られたものだという可能性が高いとされているわ。  

マリー:
 確かに4300年だと人工の鉄の可能性は少ないよね。

クレオパトラ:
 それと地球の鉄にはニッケルがほとんど含まれていないんだけど、この剣の鉄には7%のニッケルが含まれていたわ。ちなみに5%以上のニッケルが含まれている鉄は隕石の可能性が高いとのことよ。

マリー:
 豪華な金の飾りもあるし、やっぱり身分の高い人のものだったんだろうね。

クレオパトラ:
 チベット、シリア、メソポタミアの古代文明でも、古代の北アメリカ東部に住んでいた人たちも、隕石から小さな道具や儀式用のアイテムを作っていた。他にもイギリス、グリーンランドのイヌイット、ポーランドなど鉄器時代の後でも隕石から作られる道具には、特別な意味が込められていたというわ。

マリー:
 確かに普通に鉄が手に入るようになっても、隕石から作ったって言うとなんか特別感あるよね。そういう隕石から作られた剣が流星剣っていうわけね。でも剣を作れるほどの隕石って貴重だっただろうな。

クレオパトラ:
 そうね。鉄隕石から作られた刀剣はある種のプレミアというか、時の権力者にとってステータス的なアイテムとなったわ。17世紀、インドのムガル帝国の皇帝ジャハンギールも鉄隕石から2本の短剣を作らせているわ。

 この皇帝は隕石から作られた刀剣には魔力が宿るという伝承を信じていたそうよ。他には19世紀初頭のロシア皇帝アレクサンドル1世も、南アフリカの喜望峰で発見された隕石からサーベルを作らせていて、これに触発された明治時代の外交官、榎本武揚は自分も隕石で刀を作りたい! と言って鉄隕石を探し始めたわ。

 で、当時富山県の民家で漬物石として拾われた重い石がなんと鉄隕石だということが判明したの。これを聞いた榎本はさっそくこの隕石を購入。刀工の岡吉国宗に刀を作らせ、できた5振りの刀を「流星刀」と命名したわ。隕石から作られた刀剣を流星刀と呼ぶのはこれが元ネタね。

マリー:
 榎本さんも少年の心を持ったまま偉くなっちゃったんだろうな。

クレオパトラ:
 現在、それぞれの刀は一振りは皇室に献上され、一振りは戦時中に紛失、残りは東京農業大学、富山市科学博物館、隕石が拾われた富山市天文台にそれぞれ収蔵されているようね。

 ちなみにルパン3世の石川五右衛門が持っている斬鉄剣はシリーズによって設定が違ったりするんだけど、モンキー・パンチ氏の漫画原作と、フルCGの劇場版『ルパン三世 THE FIRST』では、隕石から作った流星剣ということが劇中で明らかにされているわ。

マリー:
 じゃあ、やっぱり流星刀は攻撃力も格別なんだろうな。

クレオパトラ:
 ところがどっこい。隕石から作られた刀剣の実際の切れ味はというと、かなり微妙らしいの。そもそも刃物用に作られた鋼じゃないから柔らかくて、なんなら青銅の剣よりもちょっと劣るくらいという評価もあったわ。榎本武揚に製作を依頼された刀工も、あまりに柔らかすぎる鉄に苦戦し、氷川神社に祈願するなどしたらしいわ。

マリー:
 神頼みしないといけないほどだったの?

クレオパトラ:
 結局、純粋な鉄隕石だけでは作れず、3割ほどは日本刀用の玉鋼を混ぜて、ようやく完成させたとのことよ。

マリー:
 うーん、やっぱりゲームとか漫画のようにはいかなかったのね。でもまあ、宇宙からきた鉄っていうだけでも特別感あるしOKでしょ。

クレオパトラ:
 ただ、地球にある鉄だって、元々はすべて宇宙から来たものだと言えるんだけどね。そもそも地球で自然と鉄が生成されることはないわ。鉄は恒星の核融合や超新星爆発によって生成されるんだけど、太陽レベルのスペックの恒星でも自ら鉄を作り出すには不十分……。

 つまり、どこかの天体の爆発によって運ばれた残骸が太陽系となり、地球となったわけで、科学的な目線から言うと、鉄はそもそもすべて宇宙が発祥であり、隕石から採れる鉄も地球に届いた時期が早いか遅いかだけの話ってことになるわね。

 まあ、何が貴重で価値があるかっていうのは、人間が勝手に設けた基準でしかないということよ。そこにはそれぞれの人の思いがこもっているわけだし、その思いを尊重してこそ人間だと思うわよ。

マリー:
 なんかロマンを醸し出しておいて、最終的にブチ壊していくような内容だったね!

クレオパトラ:
 それでも超古代に空から落ちてきたものを道具に作り変える人の気持ちを考えると、やっぱりワクワクしないかしら。

 性能がどうであれ、やはり鉄隕石から刀を作ってしまうなんてロマンがありますよね。解説をノーカットで聞きたい方はぜひ動画を視聴してみてください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【歴史解説】隕石からつくられた剣 流星刀について

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