首都高に存在する“謎のパーキングエリア”の正体とは? 廃料金所をリメイクした「駒形パーキングエリア」を解説
今回紹介する、さくさく1@ニコニコさん投稿の『【なぜ】廃止された料金所にある「謎のパーキングエリア」を紹介するぜ@ニコニコ【ゆっくり解説】首都高速 都市高速』という動画では、音声読み上げソフトを使用し、首都高速道路6号向島線上にある料金所の敷地を転換して作られたパーキングエリアについて解説を行っていきます。
首都高に存在する「謎PA」の正体とは
霊夢:
今回のテーマは廃料金所が大変身!? 前代未聞のパーキングエリアを紹介する。まずは実際にその料金所へ向かってみよう。
魔理沙:
それにしてもここはどこなんだ? 高架道路で周辺にビルが立ち並んでいるところを見ると、この道はどこかの都市高速道路なのか?
霊夢:
それは正解。現在走っているのは東京都中央区の「江戸橋ジャンクション」から葛飾区の「堀切ジャンクション」までを結ぶ首都高6号向島線です。撮影車は向島線の上り、江戸橋方面に向けて走行中なのですが、そんなことを話している間に目的のパーキングエリアについたよ。
魔理沙:
このパーキングエリアも他の例に漏れず、都市高速にありがちな小さなパーキングエリアって感じだな。
霊夢:
そう。ご覧いただいている通り、規模的にはそこまで大きくもない、どこにでもありそうなパーキングエリアですが、よく見ると何かしらの違和感があるんじゃないかな。
とりあえず車を停めて、実際にこのパーキングエリアの中を散策していくことにしよう。さて、今回やって来ましたのはこちら。首都高速6号向島線の向島出入り口から両国ジャンクションのあいだ、上り線にのみ設置されています「駒形パーキングエリア」です。
パーキングエリアが少ない首都高都心部における貴重な休憩施設となっているこちらですが、先ほどの映像にもありました通りに規模は小さく、駐車可能台数は普通車8台、大型1台、身障者スペース1台の計10台ほどです。
魔理沙:
その辺のコンビニと大差ないレベルの駐車マスだな。
霊夢:
設備面でも、トイレに自動販売機、喫煙スペース、ETC利用履歴発行プリンター程度のものしかない状態。もともとパーキングエリアの規模が大きくない首都高の中でも、小さい部類となっています。
魔理沙:
都心部で用地が確保しづらい上、短距離利用が多い高速道路だもんな。でもそんな首都高の中で考えても、この駒形パーキングエリアは規模が小さいのか。
霊夢:
道路状況を表示する「情報ターミナル」すら設置されていないからね。あとは首都高のパンフレット置き場くらいしか、めぼしいものはなかったよ。まあ、トイレや自動販売機利用程度の目的で立ち寄る施設だろうね。
実は6キロほど行った場所に「箱崎パーキングエリア」という別のパーキングがあるんだけど、そっちのほうが多少規模は大きいんだ。といってもほぼ変わらない大きさな上、箱崎は入り口がわかりにくいのが難点なんだけどね。
魔理沙:
東京という土地が高い場所で、小さいながらも近隣のパーキングエリア同士で、一定のキャパを確保している感じなのかな。
霊夢:
まあ実情的にはそういった使い方がなされていると言えると思うよ。
魔理沙:
土地問題はあるとはいえ、もう少し広々としたパーキングエリアをひとつ設置すれば済む話じゃないのか? やっぱり東京という土地柄それが難しかったのか?
霊夢:
東京だからというわけじゃないんだけど、駒形パーキングエリアがこれ以上大きくできなかった、ある特殊な事情を抱えているのは事実なんだよ。ところでさっきこのパーキングエリアにはある違和感があるっていう話をちょろっとしたの覚えている?
魔理沙:
そういやそんなことを言っていたな。
霊夢:
このパーキングエリアには、普通の休憩施設にないような「狭さ」や「暗さ」があるんだけど、それが何なのか分かる?
魔理沙:
確かにさっきからこのパーキングエリアの写真を見ると、妙な圧迫感みたいなものを感じる気がする。
霊夢:
その正体、もしかしてこの妙な「屋根」が関係していたりしませんか?
魔理沙:
そういわれてみれば、パーキングエリアの敷地内に謎の屋根が設置されているな。確かにこれのせいで、なんとなくパーキングエリア全体に圧迫感があるような感じがする。
でも別にこの部分に何かあるわけでもなさそうだな。そもそも駒形パーキングエリアは規模が小さくて、トイレや自販機程度の設備しか設置されていないのに、こんな立派な屋根が必要なのか?
霊夢:
少なくとも現代の設備から考えると、間違いなく「いらない」と思われるでしょうね。
魔理沙:
それなら一体、なんでこうした謎の設備が設置されているんだ? 屋根を作るにもお金がかかるだろうし、わざわざ不要なものを設置する理由がわからない。
霊夢:
じゃあ、これがもともと「必要な設備だった」と考えてみればどうかな? この屋根はパーキングエリアの車道上に作られており、通常なら利用者が立ち入ることがない区画です。となると、通るのは車やバイクの身となり、平地であるこの場所に屋根を設置する理由はありません。
魔理沙:
いや、そしたら屋根いらないじゃん。何でこんなのを作ったんだよ。
霊夢:
魔理沙は高速道路に屋根がある施設ってどんなものがあるか思い浮かべることはできる?
魔理沙:
やっぱり利用者が車を降りて歩きまわるパーキングエリアやサービスエリアにはあってもいいんじゃないかな。でもここは車道上に屋根があるんだもんな。本線上で屋根がある場所っていうと、身を乗り出して直接お金のやりとりをすることもある「料金所」なんかにも屋根が設置されているよな。
霊夢:
見事正解を言い当てましたね。ここはもともとパーキングエリアじゃなくて、かつて使われていた「廃料金所」だったの。
魔理沙:
これは?
霊夢:
さっきからずっと話している駒形パーキングエリアの上空写真だよ。ただし現代ではなく、1979年11月当時のものだけどね。これ、一体何なのか分かる?
魔理沙:
高速道路らしき高架道路が広くなっていて、そこに横一列で屋根のようなものが……。ひょっとしてこれは。
霊夢:
そう、これこそが駒形パーキングエリアの本来の姿である「旧・駒形本線料金所」です。6号向島線の駒形出入口と併設されたこちら。上り線江戸橋ジャンクション方面にのみ設置されており、6号向島線利用者からの料金徴収を行っていた施設でした。
しかし後の時代になって、料金所は不要に。余ったスペースを活用するべく設置されたのが、現在の駒形パーキングエリアとなっているんだ。
魔理沙:
ということはやっぱり、あの屋根は料金所のブース跡だったってことか。
霊夢:
現在でも設置されている駒形入口の料金所ブースと、一体的になっていることからも想像はつくよね。おそらく構造的に撤去が難しく、今のように一区画だけ取り残された形になっているんだと思うよ。
魔理沙:
なんでこの料金所は廃止されたんだ?
霊夢:
そもそも旧・駒形本線料金所は恒久的な料金所施設として設置されたわけではなく、あくまで仮設的な存在だったんだ。
魔理沙:
仮設の料金所?
霊夢:
この地に首都高速が開通したのは1971年。高度経済成長期の真っ只中であった時代に生まれました。当時の開通区間は江戸橋ジャンクションから向島出入口まで。路線名の通り、向島までを結ぶ路線として誕生したんだね。
魔理沙:
現在のように葛飾やその先の常磐道方面と、東京都心をつなぐ役割を担っていたわけではなく、あくまで向島までの盲腸線となっていたんだな。
霊夢:
と言っても現在の姿がそうであるように、向島線はこの先も続き、最終的には足立区の加平まで延ばす予定でした。しかしながら向島から先を整備するにはまだまだ時間もかかる。そこで途中に料金所を設け、向島入口利用者と駒形入口利用者からの料金徴収を一括で行うための施設をつくったわけ。
魔理沙:
それがかつての駒形本線料金所なわけか!
霊夢:
向島線がその先も延伸したのは1982年のこと。その際に駒形本線料金所は廃止されたんだ。
霊夢:
わずか10年程度の歴史だったんだな。
魔理沙:
しかしながら、路線が伸びたことで休憩施設の必要性も高まる。そこで少々狭いけれど、あいた料金所のスペースを活用して、さっきも言ったけど現在のようなパーキングエリアを作り出したんだ。
そんな歴史があるから、駒形パーキングエリアはこんな感じで本線の真横にこじんまりと作られたわけだね。
霊夢:
なかなか迫力のあるアングルだな。
魔理沙:
通常のパーキングエリアではなかなか味わえないような体験をすることができるのも、ある意味ここの魅力なんじゃないかな。
首都高などの都市高速を中心に、こうしたかつての料金所スペースを活用した休憩施設というのは結構設置されているんだけど、ブースの名残をダイレクトに感じることができるのは、全国でここくらいなんじゃないかな。
あまり目立たない小さなパーキングエリアとはなっていますが、ご利用の際にはその変わった歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
解説をノーカットでご覧になりたい方はぜひ動画をご視聴ください。