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結局、ビットコインって大丈夫なの? 基本的な仕組みから分裂報道まで、ブロックチェーン専門家と公認会計士に聞いたみた

ビットコインは「デジタルゴールド」である

山田:
 かつて巨額のビットコインが消失した『マウントゴックス騒動』がありましたけど、あれは?

森川:
 マウントゴックスの件は、ユーザーが預けていたビットコインを、勝手にマウントゴックスが盗んだと言われている事件です。ビットコイン自体に問題があったのではなく、マウントゴックスという取引所に問題があったわけですね。銀行で例えるなら、内部の人間が銀行に預けてある我々の紙幣を金庫からごっそり盗んだということです。当初は外部からハッキング……銀行強盗にあったと弁明していましたが、どうやら内部の人間による犯行だったことが明らかになり炎上したというわけです。

山田:
 なるほど。

森川:
 大半の取引所はそのような不正を働くことはないと思いますが、中にはそういう取引所もあるので、取引所を選ぶときは信頼できるところを選ぶように。

山田:
 となると、ビットコイン自体の価値は変わらずあり続けるということですから、ある意味、金1グラムは金1グラムであり続けるということと一緒ですよね!?

森川:
 お、まさにその通りです。

山田:
 金1グラムの価格やレートが、その日によって変動するように、ビットコインも同じというわけですよね。

森川:
 ビットコインは、“デジタルゴールド”とも呼ばれているんですよ。

山田:
 へぇ~! デジタルゴールドと言われると分かりやすいですね!

番組スタッフ:
 質問が届いているので、紹介させてください。山田さんへの質問になると思うのですが、「ビットコインは会計上、資産計上はどのように計算するのでしょうか?」とのことですが、いかがでしょうか?

山田:
 中小企業なら購入したときの値段ですから無視して大丈夫だと思うのですが、時価会計をしなければいけない上場企業はそうはいかないでしょうね。ドルやユーロであればその日のロンドン市場の時価などになりますが、仮想通貨の場合は決まっていない……決まっているのは取引所のレートですから、しかも各取引所によって異なるので、どうすんでしょうね(笑)。

森川:
 国内でも取引所によって差がありますからね。

山田:
 そうなんですよね。回答としては、「会計担当者は頭を悩ませた結果、“会社の口座で買わないでください”と現場に伝える」ということになると思います(笑)。もし購入しているのなら当面、簿価会計になるのかなぁ。

番組スタッフ:
 もう一つ同じような質問があるので紹介させてください。「仮想通貨に換金すると相続税対策になりますか?」ということですが、いかがでしょうか? 

山田:
 相続税って、その人が亡くなったときの時価なんですよ。亡くなった時点の価格で決定するので、株であれば亡くなった日の株価で決定するわけですが、仮想通貨の場合は……これまたどうするんだろう?(笑)
 亡くなった人が取引所に預けていればその日の時価でいいんだろうけど、自分のウォレットで管理している場合は時価の計りようがないので穴場だなぁ。亡くなりそうなおじいちゃんやおばあちゃんにタワーマンションを買わせるくらいなら、ビットコインを買わせたほうがいいかもしれない(笑)。

山田:
 その一方で、ビットコインの価格相場が上がってしまった場合は高い相続税価格になってしまい、その後換金するときにレートが下がっていると相続税が払えなくなる可能性もある。リスキーですけど、うまくいけば……現状では良い相続税対策かもしれませんねぇ。

森川:
 (笑)

ブロックチェーンという技術で成り立つ仮想通貨の価値

山田:
 では、次に先ほどお話にも上がった、技術で価値を担保している仮想通貨の中核を担う“ブロックチェーン”という技術についてお話を進めていきたいのですが、これが非常にややこしくて分からないという人が多い。

森川:
 そもそもブロックチェーンとは、仮想通貨の取引の履歴を分散的に記録・更新する一連の技術のことを指します。

山田:
 もうこの時点でややこしい! 高校時代の嫌いな科目の授業を受けているような複雑さを感じます(笑)。

森川:
 (笑)。技術としては、「特殊なデータ構造」「公開鍵暗号方式」「コンセンサスアルゴリズム」が使用されていて、この3つを含む技術を使用しているものはブロックチェーンと呼ばれる傾向にあります。

森川:
 ブロックチェーンは、“データのかたまり”です。このように一つのデータのかたまり(ブロック)がチェーンでつながっているイメージですね。では、「ブロックの中身は何なのか?」ということですが……。

山田:
 気になりますね。

森川:
 中身は、「取引」「前の(ブロックの)ハッシュ値」「ナンス値」というもので構成されています。「取引」というのは、図にあるように“いつ誰が誰にいくら送金したか”という情報が含まれています。ハッシュ値とナンス値については、少し複雑なので後ほど説明しますが、この取引内容というのは、日本だけでなくアメリカや中国などあらゆる国で行われた取引が入っています。

山田:
 1ブロックに対して1つの取引が入るんですか?

森川:
 1つというわけではありません。1つのブロックは、1MBの大きさを持っているんですね。

山田:
 ということは、この画面でいうと5つのブロックがあるので、5MBあるということですか?

森川:
 そうです。ですから、取引の情報は一つと限らず、入る分だけ入るというイメージです。ただし、無数に入るわけではなく、理論上では1秒間に7つの取引情報が入ると言われています。

山田:
 けっこう入りますね!?

森川:
 ところが、決済(ペイメント)の観点から見ると小さいんですよ。例えば、VISAやマスターカードなどのクレジットカート決済は、1秒間に数万回の取引が行えるほど処理速度が速い。

山田:
 えッ!? クレジットカードってそんなにすごいんですか?

森川:
 それに比べると、ブロックチェーンによる決済は物足りないわけです。仮に1秒間に僕と山田さんが同時に決済取引を行うと、7分の2を占めてしまうわけです。

山田:
 あと、5人分しかないと(笑)。たしかに全世界で1秒間に7回だと困りそう……。実はまだビットコインって課題があるんですね。

森川:
 そうなんですよ。この“スケーラビリティ(拡張性)”という問題が生じるがために、今回のようなビットコイン分裂騒動に派生していくわけですね。

山田:
 なるほど~。ようやく理解できました。分裂騒動に関しては、ここで説明すると議題が散漫になるので、後ほどご紹介しますね。森川さん、続きを。

森川:
 このブロックは10分ごとに格納される、つまり10分ごとに1MBのブロックが増えていくことになります。今、僕が取引を行ったとして一つ目のブロックに入ることができればいいのですが、先ほどのブロックサイズの問題で入れない場合もあるわけです。

山田:
 そうするとどうなるんですか?

森川:
 次のブロックに回されてしまうことになります。当然、10分間待たなければいけないことになる。

山田:
 そう言われると、この1ブロックがアミューズメントパークのアトラクションに見えてきた。乗車できない場合は、次回に繰り越されて、ジェットコースターが戻ってくるまで待っていなければいけない(笑)。

森川:
 イメージ的にはまさにそのような感じです。それゆえビットコインに遅延が生じているという現状の問題に直面したわけです。ちなみに、チェーンが続いていくことに関しては上限は定められていません。60分で6MBですから、1日で144MB。365日で52560MBです。2009年にビットコインは誕生したので、×約8年分……そう考えると1TBまでは至っていない情報量となりますから、さほど大きな容量ではありません。

山田:
 あ~たしかに。

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