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“オタクの結婚相談所”に二次元オタクが直撃取材してみた──会話の練習やデートプランの提案、デートで着る服までいっしょに選んでくれる“オタクの婚活サービス”がすごかった

 筆者はドワンゴに所属しているオタクである。

 異性は三次元より二次元が好きだ。アニメは月200時間くらい見ているし、ソシャゲも端末3台体制で回している。クリスマスにフィギュアとお台場や原宿デートをした経験もある。

 最近通うようになったジムでも、エアロバイクを漕ぎながらゲームにアニメに余念がないくらいにはオタクだ。

エアロバイクを漕ぎながらアニメとゲームに勤しむ筆者(左)、フィギュアとお台場デートをする筆者(右)。

「ドワンゴがオタク向けの結婚相談所を始めたらしい」

 ある日、筆者の耳にそんな情報が飛びこんできた。ドワンゴと言えば、腐ってもオタク文化とともにある会社。社員もオタクばかりだし、一般企業よりはオタクの気持ちがわかっているはずだ。

 齢34を迎え、三次元の女性との出会いを諦めて早10年以上、そんな筆者でも結婚することができるのか……?

 いや、待つんだ。心を許してはいけない。世の中にはオタクを食い物にするサービスはごまんとあるし、オタクを利用しようとする人だってたくさんいる。

 「優しいよね」「落ち着く~」「喋りやすい雰囲気だよね」など、甘い言葉を信じてはいけない。いい話には必ず裏があるはずなのだ。ちょっと肩が当たったのをきっかけに好きになりフラれた過去を忘れるな。

 オタクでも結婚できる婚活サービス。信じたい気持ちはあるが、これまでの人生が信じることを許してくれない。

 そこで今回は、その実態を調査すべく、ドワンゴが運営する結婚相談所“Ncon(エヌコン)”の担当者に直撃してみた。自社サービスだからって関係ない。オタク目線で厳しい判定を下していこうと思う。

取材に応じていただいたサービス責任者の木村さん。見た目は渋谷にそうな「悪い奴はだいたい友だち」な感じだが、話してみると頼れる兄貴分だった。

取材・文/竹中プレジデント

オタクでも結婚できるの?

──今日はよろしくお願いします。僕は社会人である前にひとりのオタクなので、自社サービスだからって関係なく厳しい目線でお話を聞いていこうと思います。まず、そもそもオタクでも結婚できるものなんですか? 絶対盛ってますよね?

エヌコン担当者:
 いえ、できます。実際に結婚された方もいらっしゃいます。

──本当ですか? 例えば僕は休日にはアニメを見て過ごしたいし、ソシャゲで美少女が登場したら課金したい。それで結婚……というか三次元の女性と交際できるビジョンが見えないんですが。

エヌコン担当者:
 アニメを見る時間も、要はそういう生活を許容してくれる方とお付き合いすればいいので大丈夫だと思います。

──クリスマスにフィギュアを持ってお台場デートしたり、ジムで端末を並べてアニメを見ているこんな自分でも大丈夫なんですか?

エヌコン担当者:
 でき……できますよ! 逆に考えると話のネタになるのでいいことです。

 うちの会員の方でも多いのですが、自分の仕事でしたり生活だったりをネガティブに捉えがちなんです。そこは自信を持って自分の趣味だと押し出していく。そういうのが大事だと思います。

──いやいや、信じられません。実際に婚活がうまくいっている例を教えてくださいよ。

エヌコン担当者:
 例えば、リアルな人形が好きで人形を「娘」と呼んでかわいがっている方も、今ではお相手が見つかって真剣交際に進んでいます。

──真剣交際ってなんですか? 真剣じゃない交際があるんですか?

エヌコン担当者:
 これは結婚相談所ならではのシステムなんですが、いろいろな方とデートをして相性を見る“仮交際”、そこからお付き合いする方をお互いにひとりに絞り、結婚に向かって交際をしていく“真剣交際”と、段階が分かれているんです。

──つまり本当にオタクでも三次元の異性と出会えて、結婚間近まで仲が進展している方もいると。

エヌコン担当者:
 はい。ただ、なにもかもそのまま変わらずでは難しいのは事実です。結婚というのは相手あってこそなので、自分の大事にしたい部分、変えていける部分というのをしっかり切り分けて考えていくことが必要にはなります。

──ふぅ~ん……ちょっと興味が出てきました。もう少しオタクの婚活についてお話を聞かせてください。

オタクが相手に求める条件は「自分の趣味を許容してくれる」

──オタク向けの結婚相談所を打ち出していますが、いまの時代、オタクという言葉が多様化しているじゃないですか。具体的にどのような客層を想定しているんですか?

エヌコン担当者:
 表面的ではありますが、ゲームや漫画、アニメなどのサブカルチャー文化を趣味にお持ちの方で、その趣味を大事にしたいと考えている方ですね。

“Ncon(エヌコン)”の会員データ。ゲームや漫画が趣味な方が多いとのこと。

──まあオタクとしてそれは当然ですよね。趣味が続けられなそうだから結婚はいいや、と諦めているところもあります。

エヌコン担当者:
 そうですね。“Ncon(エヌコン)”の会員の方のほとんどが、アニメやゲーム、漫画などを趣味にお持ちの方々なんですが、お相手に求める条件として多いのが「自分の趣味を許容してくれる人」なんです。

 休日はゲームをしたい、コミケの時期にはコミケに行きたい、そんな時間を確保させてくれる。そんな方を希望される方が多いです。

──同じ趣味同士やオタク同士ではなく、あくまで許容してくれる相手と。オタクじゃない層との違いってなにかあるんですか?

エヌコン担当者:
 統計データとして、一般的な婚活において重要視される項目は、男性側からですと「大学を出ている」「きれい、若い」「ある程度稼いでいる」、女性側からですと「いくら以上の稼ぎがある」が多いですね。

日本結婚相談所連盟のデータを元にした既存会員の学歴や年収。

──まあなんとなくイメージ通りですね。だからこそ、婚活っていうのに苦手意識を持っています。どうせ収入しか見られてないんだろって……(笑)。

エヌコン担当者:
 お気持ちはわかります(笑)。実際にうちの会員の方でも、年収の問題で他の結婚相談所をたらい回しにされた経験がある方もいらっしゃいます。

──たらい回しと言うのは?

エヌコン担当者:
 その方は、婚活市場においては、年収が低くく、実家暮らしということもあり、お断りされてばかりだったそうなんです。

 加えて、人と話そうとすると緊張してしまって手が震えてしまう。僕らと最初にお話ししたときも、コミュニケーションをとることも難しく、会話が成り立たない状態でした。

──年収も低くて、会話もできない、加えてオタク趣味を持っている。わりと自分に近い条件なので、実感できるんですが、この状態だと三次元の異性とお付き合いするのって難しくないですか?

エヌコン担当者:
 とくにサポートなしだとなかなか難しいでしょうね。ただ、“Ncon(エヌコン)”の特徴として、多くても交際人数がおふたりでしたり、最後にお付き合いした経験が7、8年前でしたり、恋愛経験や交際人数の少ない方が多い傾向であるんです。

 そういう婚活じたいが得意ではない方、そんな方々をしっかりサポートしていく体制を築いてるのが“Ncon(エヌコン)”の強みだと思っています。

“Ncon(エヌコン)”の会員データ。交際歴や交際人数が少ないのが特徴だそうだ。

男女ふたりのカウンセラーによるサポート体制

──しっかりしたサポート体制って具体的にどういうことをしてくれるんですか?

エヌコン担当者:
 会員の方ひとりに対して、男女ふたりのカウンセラーがついてサポートする体制させていただいてます。

──それは結婚相談所全体から見ても珍しいことなんです?

エヌコン担当者:
 うち以外ではほとんどがひとりだと思います。単純にかかる人件費が倍になってしまいますから……。

──人件費がかかるデメリットを抱えてまで男女ふたり体制を築いている理由についてお聞きしても?

エヌコン担当者:
 先ほどもお話しましたが、うちに登録いただける会員の方の特性として、異性との会話が苦手な方が多いんです。例えば、男性会員の方ですと、女性を目の前にした際にどうしても緊張して……うまく話せない方もいらっしゃるんですね。

 ですので、そういう際には同性である僕がお話させていただいて、会話の中で話題を女性カウンセラーに振っていくことで、女性への苦手意識を克服していってもらうこともあります。

──確かに……。自分自身も三次元の異性とお話するのは苦手意識があります。

エヌコン担当者:
 取材中も女性カウンセラーではなく、ずっと僕のほうばかり見て、僕だけに話しかけているのでそうなのかなと(笑)。でも、そこは慣れていくことで克服できるので安心してください。

──そうなんですよね(笑)。じつは本日、担当者の方、男女おふたりに同席いただいているんですが、これまでずっと男性の方にしか話しかけられなくて(笑)。

エヌコン担当者:
 いや、でもそういう方は多いです。そのための僕らのサポートであるので。少しお話してみるだけでも意識が変わるかもしれません。

──え~本当ですか。ちなみに三次元の異性とうまくしゃべるコツってあるんですか?

エヌコン担当者:
 女性は自分のことを話したい傾向にあるので、質問を投げかけて聞き手を担うというのが最初のステップです。

 そして、その際に気をつけたいのが、できるだけ話題をころころ変えないこと。関連することで話題をつなげないと、すぐ会話が終了してしまいます。

──なるほど……。

その後、20分程度、女性カウンセラーの方と「いい天気ですね」「最近どうですか?」などの雑談から、直近で見たアニメの話をさせてもらった。女性カウンセラーの方は、リアルタイムでアニメを追うわけではなく、おすすめされた作品を中心に見るらしい。最近見ているのは『プリンセスコネクト!Re:Dive』と『機動戦士ガンダムSEED』とのこと。コッコロママのかわいさと、『 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』まで見てくださいね、と語って盛り上がった(気がする)。

──ふう……。確かに異性に慣れていない人にとってはありがたいサービスかもしれません。ただ、さっき、これまでの人生で経験したことがないくらい女性に優しく接してもらったんですよ。

 正直、こんなに優しくしてもらったら女性カウンセラーのこと好きになっちゃうんじゃないかって思いました。いや、自分は仕事で来ているのでそういう気持ちはないんですが、まあそういうこともあるかなって。

エヌコン担当者:
 そういう雰囲気を感じることはありますが、それは日本結婚相談所連盟として規約的に禁止されています。もしそれを破ってしまうと連盟からも除名されてしまうので、絶対にNGなんです。

──ですよね……いや、でもいまお話しただけでも三次元の異性への苦手意識は少し薄れた気がするので、こういうサポートはありがたいと思いました。それ以外ですと、どのようなサポートがあるんでしょう。

エヌコン担当者:
 ほかにはデートで着る服のコーディネートやデートプランの提案などもさせていただいています。

 例えば、本日着ている服がチャック柄のシャツじゃないですか。じつはチェック柄はあまり好まれないんです。あとは、サイズがだぼだぼなので身体にあったサイズを選ぶようにするといいかもしれません。

取材当日に着ていた服。

──自分の持っている服の8割くらいチェック柄なんですが……。そうアドバイスいただいても、自分はしまむらかユニクロくらいでしか服を買ったことがないので、実際にどういう服を買えばいいかわからないのが正直なところです。

エヌコン担当者:
 大丈夫です。服選びに同行するサポートもさせていただいているので。そういうサポートの際に、男女ふたりのカウンセラーがついていることで、あらゆる面で充実したサポート体制を築ける。だからこそこの体制がうちの特色であり強みでもあります。

──へぇ。そんなサポートもしてくれるんですね。電話とかメールでやりとりするんですか?

エヌコン担当者:
 一般的には、直接お会いして話す以外ですとメールが基本ですが、うちはLINEで会員の方とやりとりしています。

 メールのほうが圧倒的に工数がかからないんですが、LINEのほうが近い距離で会話ができますし、コミュニケーションの練習にもなります。ちょっとした会話の中から出てくる情報というのはものすごく大事ですので。

──聞いてる限りいいサービスですね。かかる時間とか手間とか多そうですが。

エヌコン担当者:
 ありがとうございます。おっしゃる通り、サポート体制を築くためのリソース確保として、金額は他の結婚相談所と比べて高く設定させていただいています。金額は高いけれど、サポートは充実しているのがうちの特徴でしょうか。

──そうですね。正直、初期費用22万って金額を見て、「高すぎない?」って怪しんでました。

エヌコン担当者:
 はっはっは(笑)。サービス内容を説明させていただければご理解いただけるんですが、サイトをご覧いただくだけだと、めちゃくちゃ高い料金が設定されていて、「怪しい…」と感じられる方がやはり多くて。そこは今後の課題だなと思っています。

 逆に言いますと、異性とお話することに苦手意識がない方が、うちのサービスを使用するのはメリットが薄いと思います。恐らく、価格以上のサービスをご提供できないです。

──ちなみにどのくらいの割合の人が結婚にいたっているのでしょうか。

エヌコン担当者:
 いまのところ成婚率は66%です。成婚率というのは成婚退会者(婚約して退会した人数)を退会全体数で割った数字です。

──おお……意外と高いんですね。『ポケモン』でぜったいれいどが外れるくらいにはお相手と結ばれてると……。

出会い系サイトとなにが違うの?

──男女の出会いを扱っているサービスですと、「サクラがいるのでは?」「ぼったくられるのでは?」「危険な人がいたら怖い」など、どうしても不安に思ってしまいますね。そのあたりの安全性ってどうなっているんですか?

エヌコン担当者:
 おっしゃる通り、「出会い系とどう違うのか」「安全性は担保されているのか」は不安に思う方は多いです。

 例えば、マッチングアプリは、身分証だけで登録できます。そして婚活サイトは、身分証に加えて、その身分証と写真や住所が同一かの確認が入ります。宅配業者の方が代行で登録先の住所に訪れるんです。さらに厳重なとことですと、独身証明書や戸籍謄本が必要な場合もあります。

 最後に、僕らがやっている結婚相談所になると、初期費用や月額費用がプラスαで何万円と必要になりますし、男性の場合は所得証明書が必要になります。

“Ncon(エヌコン)”入会時に必要な書類
・住民票
・独身証明
・写真付身分証明書
・最終学歴証明書
・収入証明書
・勤務先が確認できるもの
・医師、弁護士、その他の国家資格それに準ずる資格をお持ちの方はその証明書

──いろいろと面倒な手続きを設け、参加するための費用がかかるということで、安全性を確保していると。

エヌコン担当者:
 はい。加えて、僕ら結婚相談所の場合は、最初に面談をさせていただくんですが、年収や登録情報に問題がない方でも「明らかに失礼な態度を取ってしまう方」はお断りするようにしています。申し訳ないですが、お力添えが難しいと。

──条件的に問題なくてもお断りしてしまうこともあるんですね。身もふたもない言いかたになりますけど、その方がお見合いうまくいこうがいくまいが、会員として登録してもらっていたほうがいい気がするのですが。

エヌコン担当者:
 これに関しては、綺麗ごとでもなんでもなく、僕らの信用問題につながるからなんですよね。

 結婚相談所って、昔でいうところの世話好きのおばちゃんの役割がサービス化したものなんです。ですので、会員さまがお相手にものすごく失礼なことをくり返す、となると紹介した僕らの信用問題にもつながるわけなんです。

──ああ、なるほど。その問題を起こす方の行動がすべて結婚相談所全体の評価につながってしまうリスクがあると。

エヌコン担当者:
 もし「あの結婚相談所の会員さんは問題のある方が多い。お見合いを組むのは控えよう」と言われてしまったら、それでおしまいなんです。

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