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なぜ『メギド72』運営はトンチキしてしまうのか──「ピックアップガチャ」「俺らイケメン」誕生秘話から見えた開発チームの遊び心【宮前Pインタビュー】

 ガチャを更新すれば不思議なワードが並ぶ謎ピックアップを展開し、

 キャラソングを展開すれば、1980年代にタイムスリップしたかと錯覚するようなアイドルソングをリリースし、

 ほかにも、謎多き動きを見せるスマホゲーム運営がある。『メギド72』だ。

「トンチキ」

 『メギド72』運営が手掛ける施策(ゲーム内外問わず)に対して、ユーザーがたびたび投げかける言葉だ。

 一風変わった、ちょっと気が抜ける、思考が追いつかない、そんなニュアンスを含み、『メギド72』運営に対して親近感を持って使われている。少なくとも筆者はそう解釈している。

 念のため説明しておくが、『メギド72』は、バトル、ストーリー、音楽、キャラグラフィックなどにおいて非常に高いクオリティを誇るスマホRPGゲームだ。熱量の高いユーザーも多く、日本ゲーム大賞2019【※】では年間作品部門の“優秀賞”を受賞する快挙を達成している。

※日本ゲーム大賞……優れたコンピュータエンターテインメントソフトウェア作品を選考し表彰する催し。

これまでスマホゲームで日本ゲーム大賞における受賞タイトルを見ていくと、『パズル&ドラゴンズ』、『Ingress』、『モンスターストライク』、『Fate/Grand Order』などの人気作がズラリ。
(画像は「メギド72【公式】「ゲーム大賞2019」 年間作品部門 「優秀賞」受賞記念キャンペーンムービー」より)

 「スマホRPGの最高傑作」「もはやスマホの枠を超えた」との声も寄せられ、ゲームとして確かな評価を得ている『メギド72』。しかし、その一方で運営はトンチキをくり返している。そして、そのトンチキはコアなファンたちに支持されているようだ。

「これらトンチキ施策はどのような狙いでどう生まれているのか」

「なぜ『メギド72』のファンたちは運営のトンチキを愛しているのか」

 その謎に迫るべく、『メギド72』プロデューサーを務める宮前公彦氏へインタビューを打診。テーマがテーマだけにお断りされる可能性も考慮していたが、承諾いただけた。

 時間にして約2時間。いわゆる“トンチキピックアップ”や”トンチキソング”などがどう生まれたのかをじっくりお聞きしていくなかで、『メギド72』の開発チームがどのように『メギド72』というタイトルやユーザーと向き合っているのか。そのこだわりや考えかたが見えてきた。そんな知られざるエピソードが詰まったインタビューの模様をお届けしていこう。

取材・文/竹中プレジデント
撮影/かちゃ

※インタビューは2020年8月中旬に実施。


──本日はよろしくお願いします。今回は“『メギド72』の運営はなぜトンチキしてしまうのか”をテーマにお話をお聞きできればと思っています。『メギド72』の施策のなかには、ユーザーから「トンチキ」と呼ばれているものがあることはご存知でしょうか。

宮前氏:
 そういう反応をいただいているのは存じています。でも、僕らとしてはあくまで、おもしろい、楽しんでいただける企画を考えているだけで、あえてトンチキを狙っているわけではないんですよ。

──そうおっしゃいますが、ピックアップガチャや歌、メギドビクスetc……最近ですとメギドミー賞や「筋肉Fire!」のPVなど、けっこうな数の施策がユーザーから「トンチキ」と呼ばれている印象を受けます。運営として意図はしていないにしろ、なぜこのような施策が続々と生まれてくるのか。そのあたりをぜひお聞きしたいです。

宮前氏:
 わかりました。でも本当に特別なことはないですよ。普通に会議や雑談のなかでおもしろそうな企画があがったら「それおもしろいね、やろうよ」と、進めていっているだけなので。

『メギド72』プロデューサーの宮前公彦氏。

トンチキピックアップの生まれ

──まず、ピックアップガチャについてなのですが、リリース当初は現在とは異なり、性能を押し出している形式が基本だった記憶があります。

宮前氏:
 そうですね。スタイルや戦術などに対してピックアップしているものが多かったと思います。

 『メギド72』は組み合わせがおもしろいゲームだと思っているので、リリース当初は「回復役がほしい」「フォトン破壊がほしい」など、自分のやりたい戦術に対して役割を担えるメギドはこれですよ、というところを押していました。

『メギド72』のリリース日は2017年12月7日。2018年前半までは上記のような性能に焦点を当てたピックアップが多かった。

──それがなぜ現在のような形式に?

宮前氏:
 性能に沿ったタイトルをつけていると、どうしても同じような文言が続いてしまって。そこで、少しでもおもしろさやバリエーションを出せるような別の表現を出したいと考え、これまでとは違う観点からタイトルをつけるようになったのが、今のピックアップ命名の始まりでした。

──性能だけではなくキャラ性にも重きを置くようになったと。

宮前氏:
 はい。開発チームとしては、「こういう性能のキャラがほしい」というのがユーザーさんの欲求の強い部分だと思っていたのですが、「このメギドかわいい」「このメギドかっこいい」などの声があるのを知って、そういうニーズに応えられるピックアップをと。

──では、運営方針をこうする、みたいな大掛かりな舵取りがあったわけではなかったんですね。

宮前氏:
 そうですね。運営全体としてどうこうというより、自然とそういう流れに。

いつからか性能ではなく、見た目だったり性格だったりをフィーチャーするように。

──このピックアップタイトルってどなたが命名されているんですか?

宮前氏:
 ピックアップの名称に関しては、担当プランナーにお任せしています。専用の担当がいて、すべてをひとりで決めていくわけではなく、何人かでアイデアを出し合って、そのなかから選んでいく体制です。

 フローとしては、ピックアップされるメギドを見て、性能やキャラ性、共通点などをピックアップ。それを踏まえて、ユーザーのみなさんにそのメギドたちの紹介をしながら親しみを感じられるタイトルを考えていく流れです。いったん候補になったタイトルでも、チーム内で再考することも少なくないですね。

──予想以上にしっかりとした体制で命名されていて驚いています。ピックアップ名に関しては運営の遊び心でつけられているところが大きいと思っていました(笑)。

宮前氏:
 徐々に遊び心が芽生えてきた部分はあるかと思います(笑)。正直、ユーザーのみなさんにここまで話題にしていただけるとは、まったく予想していませんでした

──あくまで一部のユーザーのなかで親しまれていた「トンチキピックアップ」の話題が、より広い層に広がったのが、2019年メギドの日(7月2日)に合わせて登場した「悪魔の塔を攻略せよ」のストーリーなのではないかと思います。

 そのストーリーで出てきた「キューティーヴァイオレンスナンバー5」の召喚シーンのインパクトが強かった記憶があります。もし可能でしたら、この「キューティーヴァイオレンスナンバー5」というタイトルはどのように生まれたのか教えていただけないでしょうか。

宮前氏:
 アスモデウスを除く背の高い5人の女性メギドというところで、この5人がチョイスされました。見た目や性格のタイプがさまざまな彼女たちで、アイドルのようにユニット化してみようという発想と、このメンバーからくるインスピレーションでこのタイトルに決まりました。

──このシーンで衝撃だったんですが、これまで展開されてきたピックアップという概念じたいを『メギド72』のゲーム内の世界観に落とし込んだじゃないですか。ソロモン王が召喚する際の“ヴィータ【※】的なイメージ”だと。この発想は当初から想定されていたものなのでしょうか。

※ヴィータ……いわゆる人間。作中に登場する世界のひとつ“ヴァイガルド”に暮らす種族を指す。

宮前氏:
 いえ、ないですね。ストーリーを担当しているライターさんが、ピックアップのタイトルをおもしろがってくれて、ストーリーに取り込んだかたちになります。

──えっ!? ライターさんのアドリブだとは。

宮前氏:
 ストーリーじたいもおもしろかったですし、さすがだなって思いました。もちろん、事前に決めている軸みたいなものはあるんですが、それ以外の部分で遊びを入れて広げていく。自分の芯をしっかり持ちつつも、自分以外のスタッフが作ったノリを許容する度量の広い方なんです。ライタ―さんのそういうところが僕はすごく好きなんですよね。

性能をフィーチャーしたピックアップの展開も

──素人目で恐縮なのですが、イベント開催時に、強敵ボスがいてそのボスに対して有利なメギドをと、いわゆる特攻ガチャ的なピックアップを実施すれば、売上の期待値は高くなると思うんです。でも実際にはキャラ性を重視したピックアップの実施が多い。もしかして売上以外の部分でメリットがあるのかな? と思ったのですがいかがでしょうか。

宮前氏:
 まず、イベントに関しては、例えば“協奏”“点穴”【※】など特定の戦術じゃ倒せないわけではなく、工夫すればどうとでも倒せるように作ってあります。ですので、「イベント攻略が有利に」という部分でそこまで押していないんです。

※“協奏”や“点穴”……いわゆる戦術の名称。タクティカルソート(戦術的思想)と呼ばれる。

イベント効果で味方戦力を大きく強化できる。そのため、育成が進んでいないユーザーでもイベント攻略を進めやすい。

──確かに。イベントストーリーに出てきたメギドがほしいという気持ちはあっても、このボスが倒せないからこのメギドがほしいとなるケースは少ない気がします。

宮前氏:
 また、やりたい戦術や手持ちメギドの状況によって、ユーザーさんそれぞれほしいメギドは違ってきて、それはこちら側でコントロールできないんです。性能を押し出したピックアップが、別にそこまで売り上げが高いわけでもないので、じゃあ自由にいこうと

 女の子だったりちびっこだったり、親孝行しそうなメギドだったりがいて、それに対して名前がついている。僕らも見ていておもしろいと感じましたし、なによりユーザーさんが楽しんでいただけているのであれば、それでいいんじゃないかと思っています。

 逆に、大幻獣や共襲などはピーキーな性能を求められるようになっているので、じつはそういうタイミングに合わせて性能をフィーチャーしたピックアップも実施しています。

強力なタクティカルソートのひとつ“協奏”メギドをピックアップ。

──なるほど。前面に押し出しているわけではないけれど、性能面でのピックアップじたいは現状でも意識はしていると。

宮前氏:
 そうですね。例えば“点穴”メギドがほしいを思うフェーズになったら、点穴ガチャは引かれるでしょうし、そのタイミングになったら点穴ピックアップを実施すると思います。「これを引いて!」とアピールをしていないだけで、じつはそういうのもやってはいるんです。

──サバトという明確な引きどきがあるだけに、それ以外の期間における展開は難しいんでしょうね。

宮前氏:
 はい。運営側で予想していた以上に、サバト開催時にガチャを引くユーザーさんが多いんです。狙ってこのメギドを引くというより、サバトで出たメギドを育てる。全体の傾向として、「自分がやりたい戦術的にこのキャラがほしい!」という要素が減ってきているのはあります。

 本当はPVP(コロシアム)が盛り上がってくれていたら、その要素が出てきたはずなんですが、あまり上手くいっていなくて。

PVPも盛り上げたい

──本題からはそれますが、PVPのお話が出たので少し寄り道させてください。現状、そこまでフィーチャーされていないであろうPVPを盛り上げたい気持ちは運営側としてあるんでしょうか。

宮前氏:
 あります。もちろん、現状の『メギド72』ユーザーのなかでストーリーを好きな方が多いことは把握していて、ストーリーに注力したほうがユーザー満足度は高くなることも理解しています。ただ、バトルも『メギド72』の魅力のひとつだと思っていて、対NPCもおもしろいんですが、対人戦もおもしろいんですよ。

──懺悔させてください……。ある程度『メギド72』をプレイさせてもらっているのですが、コロシアム0戦なんです。Twitterでガチ勢の戦いを眺めていると怖くて(笑)。

宮前氏:
 いえいえ、そんな(笑)。僕もなかなか勝てないんですよ。でもおもしろくてついついやってしまうんです。

 しっかりとレベルを分けたマッチングシステムを作ることができれば、盛り上がってくれるとは思うのですが、開発として着手しようとするとかなりの人数が必要なので、なかなか難しいところではあって。今の仕組みのままでもPVPへの盛り上げを高められる方法は何か? と考えたときに出てきたのがリアルイベントでした。

──ゲームウィズ【※】さん主催のイベントですよね。

※ゲームウィズ……スマホゲームの総合情報サイト。

宮前氏:
 はい。当時は内部スタッフの人数も少なかったこともあり、リアルイベント開催の経験があるゲームウィズさんといっしょに実施させていただきました。

──リアルイベントの参加者はPVPガチ勢が多かったんですか?

宮前氏:
 ガチ勢の方もいましたが、普段はコロシアムを遊ばない方もたくさんいらっしゃっていました。最後のほうは、戦いを見るだけでもいいからおいで、みたいな感じになっていて、幅広いユーザー層にアプローチできていたと思います。

──Twitter上での反応しか追えていないのですが、非公式だからこその空気感がすごくよかったような気がしています。

宮前氏:
 そうですね。あれを公式にしてしまうと空気感が変わってしまうので、運営主催というかたちにはしませんでした。本当にリアルイベントの感触はよかったですね……喋りながらやるとすごい楽しんですよ。負けても悔しくないですし。新型コロナの影響がなければずっと続けていくつもりでした。

 あと、実況があるかないかで見えかたがかなり違うので、実況含めてイベントを展開したい気持ちはありました。このご時世ですとリアルイベントは難しいので、オンラインで可能なイベントを作りたいと考えています。

「俺らイケメン」のイメージは“たのきんトリオ”

──話を本筋に戻しまして、続いては、「俺らイケメン」について詳しくお話をお聞きしていければと思います。そもそも、「俺らイケメン」はどういう経緯で生まれたんでしょう。

(画像は「メギド72【公式】「俺らイケメン」PV」より)

宮前氏:
 「俺らイケメン」は、カスピエル、メフィスト、インキュバスの3人組ユニットによる歌ですが、じつは最初の段階では、カスピエルに浴衣を着せて演歌を歌ってもらおうと考えていたんです。

──それはそれで人気が出そうです。なぜ3人でユニットを結成させようとなったんですか?

宮前氏:
 ある日、開発スタッフから「つぎにやろうとしていることTwitterでばれてますよ!」って報告を受けたんです。すでに予想されていることをやってもおもしろくないので、それに代わる新しい案を考えようとなり、じゃあ彼ら3人組だしユニットにしちゃおうと。

──歌詞や曲調も独特……と言いますか、ちょっと古い感じですよね。

宮前氏:
 寄崎さん【※】には、80年代のアイドルソングをイメージして作っていただいたんです。

※寄崎諒氏……作曲家。『メギド72』の音楽・サウンドエフェクトを担当している。

(画像は「メギド72【公式】「俺らイケメン」PV」より)

──80年代アイドルソングを提案したのは宮前さんですか?

宮前氏:
 そうですね。寄崎さん自身、80年代アイドルソングにそこまで詳しくなかったので、僕の考える80年代アイドルのニュアンスをお伝えして作っていただきました。イメージとしては、シブがき隊【※1】とかたのきんトリオ【※2】あたりでしょうか。

※1 シブがき隊……ジャニーズ事務所所属の布川敏和(フックン)、本木雅弘(モックン)、薬丸裕英(ヤックン)により結成された男性アイドルグループ。

※2 たのきんトリオ……ジャニーズアイドルによるグループ。メンバーは田原俊彦(トシちゃん)、近藤真彦(マッチ)、野村義男(ヨッちゃん)の3人。

 曲調の変化が多い曲なのにも理由があって。寄崎さんがテスト版として数パターン作ってくれたんですが、どれもいい曲だったんですよ。なので、全部組み合わせて1曲に作り上げてくれたんです。

──そんな裏話が! 「俺らイケメン」がお披露目された当時、プロメテウスやサキュバスなどメギドが歌を唄うキャラソングの展開はすでにありましたが、それらとは雰囲気がガラリと変わったのが衝撃的だったことを覚えています。

宮前氏:
 ライターさんともよく話していることなのですが、『メギド72』全体でシリアスな話があったとしても、そのなかで、悲しい話やヴァイオレンスな話、コメディタッチな話など、いろいろなジャンルがあっていいと僕は思っているんです。ですので、音楽においても一辺倒でなくていいと。

──なるほど。そもそも、メギドのキャラソングを展開しようと考えたのには何か理由があるんでしょうか。

宮前氏:
 歌の取り組みとしての先駆けはプロメテウスです。彼女は歌手であるため、スキルを使うと歌うようにしたい。かつ、その歌をジズが仲間になるイベント「嵐の暴魔と囚われの騒魔」で、ストーリーの演出のひとつとしてエモくなるように見せたいと。

──め ち ゃ く ち ゃ エ モ か っ た で す 。

宮前氏:
 また、プロメテウスに関しては、彼女が歌っているという部分を大事にしたい部分が強かったのですが、それ以外はオペラやミュージカルのように感情の高まりの表現として歌が入るようなイメージですかね。

 例えば、5章のアスモデウス戦の歌は、戦闘をより盛り上げるための演出になります。ラスボス的存在の彼女との戦闘なので、アスモデウスの想いも含め表現され、80年代アニメの最終回によくあるような歌付きのBGMが流れるなか戦うようにしたいと。

──「俺らイケメン」も80年代アイドルソング、これも80年代アニメソングをイメージということで、もしかしてこの発案も宮前さんきっかけだったんですか?

宮前氏:
 いえ、寄崎さんの発案でした。僕の動きとしては、やるならその戦闘で流れる歌はアスモデウス本人に歌ってもらおうと、アスモデウスの声を担当していただいている生田善子さんにお声かけしたくらいです。

──アスモデウス本人の歌をバックにアスモデウスと戦うなんて激アツ……!!

迫力も強さもまさにラスボスなアスモデウス戦。バックで流れるBGMが戦いをさらに熱くする。

宮前氏:
 つぎにサキュバスの歌ですね。「ソロモン誘拐事件・悪夢編」の復刻の際に、寄崎さんから提案があって歌を入れました。歌が入ることで、より心に残るエンディングになったのではないかと思います。

──そして「俺らイケメン」と。このあと、ハイドロ音頭こと「カタチを成す想い」でのシトリーのラップや、最近公開されたPVのインパクトがすごかった「筋肉Fire!」など、曲調の幅がどんどん広がっていきますよね。

宮前氏:
 これは少し内輪の話になってしまうのですが、メギドのスタッフには美術系や音楽系の学校を出たメンバーも比較的いるので、『メギド72』チーム全体におけるクリエイティブに対する許容や引き出しの幅が広いほうだと思っています

 ですから、シリアスなものをやりたいと言えば本当にシリアスな感じにしてくれるし、例えば音楽を重厚にしたいと伝えると弦楽器で盛り上げてくれたり、そのニュアンスを汲んで出してくれる引き出しの多さはスタッフのなかであると思います。

メギドミー賞はサイゼリヤでの雑談から生まれた

──今年のメギドの日(2020年7月2日)に実施されたメギドミー賞は特別感が強い催しだったと感じたのですが、なぜこういう形式でゲーム外イベントを開催しようと思ったのでしょうか。

宮前氏:
 『メギド72』の世界観のなかには、さまざまなエピソードがあり、さまざまなキャラクターたちがいて、それらを“愛を語る以外のかたち”で評価し合えたらおもしろいなと思ったのがきっかけです。

 というのも、これまで“メギド愛を語る”ことはやってきて、実際に愛を語ることは楽しいことなのですが、それとは別に学術的というか、解説的に話し合うのもおもしろいのではないかと。そこからアカデミー賞やグラミー賞など、人や周囲に影響を与えた軸などで評価するかたちでやるとおもしろいのではないかと思ったんです。

(画像は「【メギド72】第一回メギドミー賞 授賞式SP」より)

──この企画が出たときの周囲の反応ってどうだったんですか?

宮前氏:
 ランチタイムのサイゼリヤでの雑談中にふと話題にあがって、企画に発展しました。初期からいるスタッフの反応はよかったんですが、逆にそれ以外のスタッフからは「なにそれ?」って困惑の声があがっていましたね。

──困惑しているスタッフの方の光景が目に浮かびます(笑)。

宮前氏:
 「ファン投票ですか?」「ちがーう! 人気投票ではなく、より高尚な話にするんだよ」みたいなやりとりがありました。

 この企画もそうなんですが、例え全員の反応がよくなくても、おもしろいと思っている人がいる場合、そこに他の人のアイデアを乗せていくことで、おもしろい企画としてかたちになっていくことって多いんです。僕はその出たアイデアを消えないようにすることが大事だと思っています。

──ここまでいくつかの施策についてお話をお聞きしてきましたが、ゲーム内外問わず施策を実施していくなかで、ゲームの世界観との切り分けについてはどうお考えなのでしょう。

宮前氏:
 基本的に何かしら理由付けをしようとは思っています。ピックアップについては先ほどお話した通りですし、例えば昨年末のコミケで号泣どら焼きを出した際にも、コミケ会場では「なぜソロモンのどら焼きを発売しているのか」について、ストーリー仕立てにして流していたんです。

──なんと。それは存じ上げませんでした。

宮前氏:
 そんなに仰々しいわけではないのですが、コラフ・ラメルのマスターが、メギドの存在を知らしめるために作っていると。メギドたちの名前が書いてある湯飲みも、じつはヴァイガルドの文字ではないけど、特定の人には読める文字として広めているんです、みたいな。

──何かしら理由付けをして『メギド72』の世界観に落とし込む。このあたりって何かこだわりがあるんでしょうか。

宮前氏:
 半分おふざけみたいなものです(笑)。でもあると楽しいかなって。

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