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「喫煙は人に迷惑をかけないということが前提です」タバコフリーサミットTOKYO 2017・受動喫煙防止対策の徹底について

喫煙者は本当に自由なのか

野村:
 喫煙は憲法で保証された幸福追求権だから分煙で良いという主張をする人がいます。権利には社会権、自由権の2種類あります。社会権というのは最低限人間らしい生活を送るために国に要求する権利、一方自由権というのは公共の福祉に反しない限り自由なことを考えたり、行動する権利です。ですから本来タバコを吸う権利は自由権であって、人に迷惑をかけないということが前提です。

 自分の家の中で吸うなり、自分で喫煙所を東京駅に建てるなりして吸えば良いと(笑)。では本当にタバコを吸っている人は自由なのかということを考えてみたいと思います。自由という言葉は英語ではフリーダムとリバティーの2種類がありますね。語源的にはフリーダムはやりたいことをやる、一方リバティーはやりたくないことを強制的にやらされないことなんだそうです。嫌なことをやりたくないという時に人間の脳はどう意思決定するか。

野村さんが引用した、ソクラテスとカリクレスの会話。

野村:
 ソクラテスが快楽主義者のカリクレスという人とこんな問答をしています。「疥癬(かいせん)【※】にかかって痒い思いをしてる人が思う存分掻くことが出来るなら、そうやって一生過ごすとしたらこれもまた幸福といえるのかね」と。幸福主義者の人はそれもまた幸福であると言ってしまうんですが、もちろんそうじゃないのは分かっているんですが。

※疥癬
かいせん。ヒゼンダニと呼ばれるダニが皮膚表面の角質層に寄生して起こる感染症。

受動喫煙より能動喫煙を重要視すべき

欅田:
 タバコを吸っている人は吸わされている訳なんですよね。そういう仕組みを作るためのデバイスをタバコ産業がどんどん作っているのが現状です。そこを喫煙者、禁煙支援者が認識した上で、「受動喫煙よりも能動喫煙の対策のほうが重要なんじゃないか」と、さきほど岡本先生も言われていましたが、FCTC【※】では「全てのタバコをやめていきましょう」ということがうたわれています。

※FCTC
WHO Framework Convention on Tobacco Control。たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約。

 まだ日本ではこういう新しいデバイスを許容するよりも、やる事がいっぱいあるんじゃないだろうか。こういったデバイスは増税などの手段をどんどんとった中でどうしても依存性でタバコを辞められない人への手段です。今の日本で選択肢を広げる、あるいは魅惑性を高めるような新しいデバイスを普及させるということは、ますますタバコをやめようという人もやめなくていい環境を作っていってしまうことになります。


記事で扱った箇所は下記プレイヤーの1:15:11から始まります。

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