「情弱なみなさんというのは、金払いが一番良い人たちなんですよ。」『メルカリ現金売買』や『ZOZOツケ払い』から見る昨今の貧困ビジネス
ZOZOTOWNのツケ払いに見る情弱ビジネス
山路:
そこのところでメルカリの話とちょっと近い所があるかなと思ったのは、ZOZOTOWNが始めたツケ払いって、ちょっと借金の話と繋がってきますよね。
小飼:
一応あれは5万円の天井があるんですよね。
山路:
そんなに高いものは買えないよと。だけどこの、ツケ払いで物を買うのというは、要は借金なわけですよね?
小飼:
もちろん借金です。で、実はクレジットカードだって1ヶ月の短期ではあるんですけど、その間というのは立派な借金ですよ。カードでお金を買った場合というのは。
山路:
しかし、このZOZOTOWNというのもすごい所に目をつけるなと思ったんですけど、言ってみたら、でも1万2万の服を買うのにツケ払いで買う人からお金を回収するのって、なんか大変そうじゃないですか? それなのに、すごく乗せているわけでもないですよね?
小飼:
確かに法的技術的には大変なんです。でも一番大変でない所、一番難しそうなところが大変でない。
山路:
どういうことですか?
小飼:
お金を払う意思。なんで情弱ビジネスというのが成り立つかといったら、情弱なみなさんというのは、すぐ買っちゃってくれるんですよ。今はお金が無いから無理、という風にならないんです。お金が無くても、とりあえず買って支払いは後で考えようっていう。
山路:
ああ、その抑制機構みたいなのがちょっと弱いというか。
小飼:
弱い。その意味では情弱なみなさんというのは、金払いが一番良い人たちなんですよ。金持ちになればなるほど、「いや、お前その値段のはずじゃないから、原価見ればもっと安いだろ」と、売り手のほうの足元を見るようになりますから。
お前、今これ売れなかったら営業成績大変なことになるだろだから、もう少し勉強してこいやという……。
山路:
かなりリアルな会話ですね(笑)
小飼:
金持ちのほうが値切れるんです。
山路:
ああ、そうやって弾さん値切っているんだな。
小飼:
いや、僕なんてたいしたことないですよ。B to Bの世界で、こんなものではないです。
山路:
じゃあ、そういう一旦その払う意思を示したからにはもう後からガンと取り立てるのは比較的難しい事ではない。
小飼:
はい。貧乏な人は単純にお金が無いから諦めると。違うんです。諦めないからお金が無いんです。
山路:
ああ、なるほど。なんかその貧乏の構造みたいなものが。
小飼:
はい。違うんですよ。
山路:
メルカリの話に戻すと、言ってみたらウシジマくんに出てきそうな話じゃないですか? なんとなく……。
小飼:
いや正しく。のし上がりたいベンチャーの必読書かもしれないですね。ウシジマくんは。
山路:
そういう層ってのが、意外に自分の身近にあって、ほんとにそのまんま漫画みたいな話というのが、目に見えるようになってきたなという。それが可視化されてきたということなのかなっていう風にもちょっと思えましたけどもね。
あんまり、今までは目に見えなかったウシジマくん的な世界というのが目に見えてギョッとする、みんな、しているのかなという風には思いましたね。
小飼:
うん、だからそのこと自体は悪いことではないと思う。なんでそういうかといったら、いわゆるサラ金があったころ、サラ金地獄みたいな言葉があったころというのは、普通の人は、本当に知らなかったんですよ。だから単なるボキャブラリーだったんですよね。
山路:
だけど、それというのが……。
小飼:
見えるようになったっていう。
山路:
やっぱり、それはスマホが、でかかったんですかね?
小飼:
まあ、強いてはネットの力というのが結構あったということですよね。だからのし上がるのも早いけれども、炎上して焼け野原になるのも早いという。