「最高にいい試合でしたね」『週刊文春』による『週刊新潮』の中吊り盗用疑惑、文春のアンサーが弱かった理由とは。
相手のスクープを潰すのはそりゃアウトですよ
久田:
確かに僕も週刊朝日にいたんですけど、週刊朝日も中吊り出すんですよ。あまり他誌の中吊りは見たことないですね。僕はその時山口一臣編集長だったんですけど、編集長と販売と営業が中吊りを見て作るんです。それはもう、僕らなんか下っ端は除外されて(笑)。
吉田:
原稿が全部入った段階で中吊りを作るんですね?
久田:
違う部屋で幹部会議みたいなのをやるんですけどね。そういう意味では中吊りは本当に大事なものなんですよね。
吉田:
自分のところに抜けているものは、新潮だけがスクープしていたらそれを急遽反映させるみたいなことをやっていたわけですよね。それは怒ります。
久田:
「5時に夢中!」の中瀬ゆかりさんが怒っていたらしいんですけど、まあ見てないんでね(笑)。
吉田:
あ、新潮の流れで?
久田:
あの人、新潮の出版部長だったかな? だから「やっちゃいかんだろう」と言っていたらしいんですけど。
吉田:
ルール違反なのは間違いないです。見て反映するぐらいまでなら分かるんですけど、相手のスクープを潰すのはそりゃアウトですよ。
久田:
そうなんだよね。
吉田:
文春の速報で相手だけが抜いているやつを先に出しちゃうみたいな。それやったら怒られますよ。
久田:
カンニングになっちゃうっていうかね。もうちょっと正々堂々とやればいいのにって思ったりするんだけど。あれはちょっと文春が言い訳できないかなっていうぐらいの新潮の写真でしたね。
吉田:
新潮に直撃されたときも「いやー、そこから先は言えないね」みたいな。僕も基本的に文春は好きなんですけどね。
久田:
最近「文春砲」とか言われていますけど、それは昔からなので。今更じゃなくて昔からすごい雑誌なんですよ。いろんなところからスター記者ばっかり引き抜いてきて集めているところなんでね。
最近は「文春砲」とか言われているから、ちょっと驕っちゃったかなって気もあるんだけどね。
吉田:
それはちょっと感じましたね、自ら言い出したんで。
久田:
それは良くないんですよね。
異例の出版取次の謝罪
吉田:
「ぶっちゃけ売れてんの? 文春と新潮」(コメント)文春は売れてますよ、間違いなく。
久田:
新潮はそうでもなくて、文春だけなんです。
吉田:
だからこそ悔しかったんだと思いますよ。自分のネタを潰されて、文春がいいところ取っていくのは許せないでしょう。
久田:
昔は週刊現代も100万部でしたからね。週現、ポスト、文春、新潮みたいな感じだったんですけど、今は文春だけ独走なんですよ。新潮もダメなんです。だから僕もびっくりしちゃってさ、「あの新潮がダメなんだ」と思ったんだけど。ああいうの書かせると、やっぱり新潮は記者が文芸作家上がりなんで……。
吉田:
ドラマチックなんですよね(笑)。いい文章書くんですよ。
久田:
びっくりしちゃって(笑)。格好いい文章書くんでね。芥川賞候補になったような人みたいな、そのぐらいの文芸作家が書いているんですよね。FOCUSもそうだったんですけど。週刊誌全部を否定しないっていうか、見たほうがいいですよ。週刊誌はテレビのアンチテーゼになっているんで。
吉田:
まあ新潮の記事読んでから文春側のコメントを読んで、さあどっちを信じますか? というのはみんなジャッジはひとつだと思いますけどね。
久田:
だって写真が出ているからね。逆に僕、取次が中吊りをコピーさせているんだと思ったけどなあ。
吉田:
そういうようなシステムができちゃっていたということで。でも取次が謝るって結構画期的なことじゃないですか?
久田:
いやー、もう王様ですからね。
吉田:
珍しいパターンですよね。よっぽどなんだと思いますよ。
久田:
東日販【※】っていうのは……東日販の言うことを聞かなければもう流通できないんで。いくら編集部が一生懸命作ってもお客さんに届かなければダメなんで。そういうときに東日販さんお願いしますということになるんでね。まあ日販さんとかも……。
※東日販
出版取次の二大大手、トーハン(東販)と日販(ニッパン)をまとめてこう呼ぶ。
吉田:
「さん」つけた(笑)
久田:
窓口っていうかやっぱりすごいですよ、迫力がね。