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『ダンベル』主演声優「ファイルーズあい」とは何者だ? 心にジョジョ「空条徐倫」を住まわせる彼女の素顔に迫ったロングインタビュー

私も徐倫みたいに強くなりたい

──声優になりたいと思ったのは、いつ頃ですか?

ファイルーズあい: 
  高校生の頃なんですけど、それが、ニコニコ動画のおかげなんですよ。

──弊社! 会社の人、みんな喜んじゃいますよ。

ファイルーズあい: 
 媚を売るんじゃなくて、ほんとうにそうなんです。私、中1から純度の高いオタクになって、中1からずーっとニコニコ動画を見てて。

──ありがとうございます。

ファイルーズあい:
 こちらこそありがとうございます。
 で、いろんな動画で、「オラオラオラオラ」「無駄無駄無駄無駄」「だが断る」ってコメントがあるじゃないですか。好奇心をおさえきれず調べたら、これは「ジョジョの奇妙な冒険」っていう作品が元ネタだと知ったんです。絵も、私の大好きな劇画調で。
 中学生で、そんなにお金も持ってなかったんですけど、とりあえず『ストーンオーシャン』の1~5巻を買ったんです。それが「ジョジョ」の1巻だと思ってたんですよ。で、読んだら、全く意味がわからなかったんです。「えっ?何?DIOって誰? 承太郎って誰? 」みたいな(笑)。

──『ストーンオーシャン』から巻数がリセットされますもんね。【※】

※『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは第1部~第5部まで通算63巻が発売されたが、第6部『ストーンオーシャン』は新たに第1巻から発売された。

ファイルーズあい:
 でも、何となく主人公の空条徐倫【※】のことをかっこいいなって、この子のこともっと知りたいなって強く思ったんですよ。それから、ちょっとずつ「ジョジョ」を集めていって、高校1年生の頃には全巻持ってました。
 高校も入ってからもなかなかクラスになじめなくて、つらい思いもしてたんですけど、徐倫を見てると、すっごく勇気がわいてきたんですよ。

 19歳の女の子である徐倫が無実の罪で投獄されて、ボーイフレンドにも裏切られて、お父さんも危篤状態で。絶望的な状況なのに、最初はメソメソしてたけど、どんどん精神が強くなっていって。
 まさに私のなりたい女性像なんです。「私も徐倫みたいに強くなりたい! 」って思いました。
  私の、学校になじめないなんていう悩みは、徐倫に比べたらささいなことだって。「徐倫だったらこんなことで泣かない! 」って自分を奮い立たせてて、いろんなつらいこと、今までたくさん乗り越えてきたんです。

 高校だけじゃなくて、就活とか、就職とか、いまの業界入ってからも、いろんなタイミングでずっと反芻してきたことなので、徐倫に対してすごく、すごく思い入れがあります。徐倫もですけど、「ジョジョ」自体が私の人生のバイブルなんです。

空条徐倫……『ストーンオーシャン』の主人公。シリーズ第6部にして、初の女性主人公となった。

──すごい……圧倒されたというか、聞き入ってしまいました。徐倫みたいに強くなるために、なにか意識していることってありますか?

ファイルーズあい:
 徐倫にいちばん勇気をもらえる、心に刺さったシーンが、懲罰房棟に送られたときに、顔に糞を投げられるところ。普通の女の子だったらもう、「イヤー何よこれー」ってなるところなのに、

「この状況であってはならないのは、くだらないストレス、そしてそれに伴う身体的な疲労、私はここでやるべき目的があるからこの状況で逆にもっと強くなってやる」

 って、自分を奮い立たせるシーンが、とにかく大好きなんです。
 私、今でもちょっと自信ないときとか、へこんじゃったりしたときは、そのシーンを読んで奮い立たせてるんです。「徐倫だって、こうやって頑張ってる」って。

──徐倫の存在を、ファイルーズさんの心の中に住まわせているんですね。

ファイルーズあい:
 そうです。それが私の元気のヒケツです!

ファイルーズあい: 
 私がはじめて声の演技をしたのも「ジョジョ」なんですよ。当時、ジョジョファンが勝手に集まって、Skypeのグループ通話で朗読会みたいなことをやっていたんですね。「今日は何部のこのエピソードやろう」って決めて、ローテーションでいろんな役をやるんです。

──そんな会があるんですね。ファイルーズさんも参加されたってことですか?

ファイルーズあい: 
 高校1年生の頃、その朗読会に参加しました。
 それまで演技なんて全くやったことなくて、ただ「ジョジョの登場人物になってみたい! 」っていう想いで参加したら、すっごく褒めてもらえて。それからジョジョの朗読会まで待ちきれなくて、1人でめっちゃ読んだりとかしてたら、「ジョジョがアニメ化したら出演したい。私が徐倫のことを助けるキャラクターの役を演じたい」って思って、声優になりました!

──おおお!

ファイルーズあい: 
 長くてごめんなさい……。

──いいえ。すてきだなって思いました。マンガに声を当ててみるっていうところから声優につながっていったんですね。

ファイルーズあい:
 そうですね。

──「ジョジョ」は、いまもよく読み返されるんですか?

ファイルーズあい:
 もちろん! いまでも、1人で朗読したりします。 朗読したのを聞いてみて、「うーん、違うなあ」とかやってます(笑)。

──ジョジョ6部がアニメ化されたら、ほんとうに出演して欲しいです。

ファイルーズあい:
 そうしたら、もう泣いちゃうかもしれないです(笑)。でも、徐倫はちょっとできないです。徐倫と一緒に戦って、徐倫を助けるような役がやりたいんですよ。

──でも、徐倫役のオファーがあるかも……。

ファイルーズあい:
 そうしたら、もちろん私なりの、一生懸命の、精いっぱいの今まで育ててきた「私の中の徐倫」を出して、見てほしいと思います! でも、徐倫に世界一ふさわしい女性に演じて欲しいし、その人の背中を見てたいんです。

応援してくれる人の言葉を信じる

──声優を志してから、数ある養成所の中でプロ・フィットさんの養成所に行こうと思った理由があれば教えて欲しいです。

ファイルーズあい:
 養成所で教えてくださる先生が「ジョジョ」のツェペリ役の塩屋翼さんだったんですよ。っていうことは、プロ・フィットに所属すれば、「ジョジョ」に出演できるチャンスがあるんじゃないかって考えたんです(笑)。

──ジョジョに出るためにはどうしたらいいかっていう逆算で、プロ・フィットさんに行かれたってことですね(笑)。

ファイルーズあい: 
 養成所に通い始めたのは一般企業に就職していた頃だったので、自分でお金をためて通うことが条件だったんです。だからもちろん、金銭的、時間的な面もありますけど。いちばんの理由はそうですね、はい(笑)。

──養成所では、どういうことをされたんですか?

ファイルーズあい:
 基本的な発声、滑舌、あとエチュード、演技の基礎ですね。

──実際にプロの世界に入ってみて、どうでしたか?

ファイルーズあい:
 どれだけやれてたかは分からないですけど、でも、声は誰よりも一番おおきく出そうって決めてました。授業とかで点呼取るときに、「はいっ!!! 」って。

──いいですね!

ファイルーズあい:
 いま、現場でも「いつも元気に挨拶するね」って言ってもらえるんですよ。それは、養成所の頃から意識していたからかなって思ってます。

──養成所では、所属試験とかいろいろあったと思うんですけど、緊張はしませんでしたか?

ファイルーズあい:
 私、養成所の1年間で、プロ・フィットがダメだったら声優をあきらめるつもりだったんです。そう決めてたので、手を抜かずに自分がこれまでの人生で一番誇れるぐらいの努力をするって決めてたので、そんなに緊張もしなかったですね。

── 腹を括られていたんですね。声優としてデビューした頃の心境は覚えていますか?

ファイルーズあい:
 最初は「私のキャラクターが受け入れてもらえないんじゃないか」って考えてたんです。
 でも友達が「自分のことを悪く思う人の話なんか聞かなくていいんだよ、応援してくれる人の言葉だけ信じてればいいんだよ」って言ってくれて。そのとおりじゃん! って思いましたね。

──そのとおりだと思います。

ファイルーズあい:
 「有象無象の言葉なんかどうでもいいや! 」と思えるようになって(笑)。だから、精神も鍛えられたんじゃないかなって思います。

──それこそ何万人、何十万人が作品を見て、思ったことを好き勝手に言ったり書いたりしますもんね。

ファイルーズあい:
 声優1年目の頃は、エゴサーチしてショック受けることもあったんですけど、最近は全くしなくなりました。
 それよりも、ファンレター! わざわざ時間と手間と心を込めて、切手代、お金もかけて送ってくれた人たちの言葉にこそ耳を傾けるべきだと思えるようになりました。そういう面では、すごい成長したなと思いますね。

──いま、僕もファンレター書こうって思いました。

ファイルーズあい:
 ファンレター、何回も、何回も読み返しますよ!

「汚い声」と言ってほしい

──カラオケや歌うのがお好きとのことなんですが、どんな曲を歌われるんですか?

ファイルーズあい:
 ずっと聞いてたのが、ニコニコ動画のボーカロイドとか、あとニコニコメドレーに入ってるようなアニソンとか、あとは『マキシマム ザ ホルモン』さんが好きです! デスボイスをやると、友達がすごい喜んでくれるんですよ。

──ファイルーズさんって、もともとキレイな澄んだ声なのに、演技ではよく、なんというか、デスボイス風な声を……

ファイルーズあい:
 あっ、「汚い声」って言ってくれて大丈夫ですよ(笑)。

──いやいや(笑)。

ファイルーズあい:
 みんなに言われるんで、全然大丈夫です(笑)。

──ファイルーズさんの声のちょっとざらついた感じ、大好きなんです。あれを狙って上手に出せる人ってあんまりいないと思っていて。

ファイルーズあい: 
 いや、狙ってるんじゃなくて、普段の私があんな感じなんです。どちらかっていうと、いまのこの声が「よそ行き」です(笑)。

──(笑)

ファイルーズあい:
 友達と喋っていて、「うへへー」とか私が言うと、友達に「きったない声だな! 」って言われます。そんな感じなのであんまり意識してないですけど、汚い声出すのは好きなので、それで喜んでもらえるのは何よりです。

──ファンの方に「汚い声」って言われるのもいいんですか?

ファイルーズあい:
 うれしいです「ファイルーズは今日も汚い声だな!」って言われたいです(笑)。何かお決まりのかけ声にしたいぐらい!

──じゃあ太字で書いておきますね(笑)。「ナイス汚い声」って、ニコニコで弾幕はられるように頑張ります。

ファイルーズあい: よろしくお願いします!(笑)。

いつも笑顔で、人を照らしたい

──エジプトがご自身のルーツってお話もありましたけど、エジプトが絡んだような活動って、なにか考えられてますか?

ファイルーズあい:
 いま、エジプトだけじゃなくて、アラブ全体で日本のアニメに対する関心がものすごく高まっているんです。「ドバイのコミケ」っていわれるイベントが行われたりもしていて。私は日本とアラブ、どちらの文化も見てきた身として、日本の声優として日本とアラブをつなぐような活動ができたらなって思ってます。

──日本とアラブで、何か一緒に作れたらいいなって考えちゃいますね。

ファイルーズあい:
 共同制作のアニメとかは面白そうですね。そういうのプロデュースしてみたいかもしれないです。キャラクターデザインもしたいな。

──ファイルーズさんは、声優として、アラビア語でも演じられるわけですもんね。

ファイルーズあい:
 かんたんな日常会話しか喋れないですけどね。だから、「運命に打ち勝つためにどうのこうの! 」みたいなセリフになると、全然分からないです(笑)。
 これから、アラビア語をもっと勉強していきたいと思ってます。

──可能性がたくさんありますね。

ファイルーズあい: 
 ありがとうございます。そうだとうれしいです。 
 声優がもちろん本業なんですけど、いろんな活動の幅があっていいと思ってるんです。声優は声優だけしかやっちゃいけないわけでもないですし。だからマルチにいろんなことに挑戦していきたいです!

──では、最後に。これだけ多才でいろいろな強みがある中で、ご自身が思ういちばんの強み、自分の魅力って何だと思いますか。

ファイルーズあい:
 ポジティブなところです!
 徐倫のおかげでへこたれない強い気持ちが持ててるので、みんなに「ファイちゃん見ると元気が出る」って思ってもらえるような、明るい、いつでも笑顔で、人を照らすような人間になりたいです。

──もう、照らされている人たくさんいるし、これからどんどん増えていくんだと思います。

ファイルーズあい:
 ありがとうございます。
 ファンレターで「ファイちゃんは私のあこがれです」、「ファイちゃんみたいになりたいです」って言ってくれる子がいて……私、ずっと他人に対して、そういう想いを抱いてたんです。
 自分はあこがれる側で、自分があこがれられるなんて無縁のものだと思ってたんですよ。だから、こうして人から言われたときに、私も誰かの光になれたんだと思うと、ほんとうにうれしかったんです。これからも、人を元気に、明るい気持ちにさせられるような人間になりたいと思っています。

──今後のご活躍を楽しみにしています!今日は長時間、どうもありがとうございました。

ファイルーズあい:
 ありがとうございました!自由に話せて、とても楽しかったです! (了)


 2時間に及んだインタビュー中、ファイルーズあいさんは終始笑顔で、大きな声でよく笑い、また私たちを笑わせてくれていた。ほんとうに、場を明るくしてくれる人だ。
 だが、インタビューを通して読んでいただければ分かる通り、彼女はけっして生まれながらの明るい人ではない。「ジョジョ」の徐倫との出会いや、声優としての活動を通して、「強く、明るくなった」人なのだと思う。

 “アニメやマンガに救われる人生がある。”
 ファイルーズあいさんは、このことを実感として強く持っている。表現者として、前向きに、全力で人生を楽しむ自分の姿を見せることで、誰かの人生に光を当てることができると信じている。
 だからこそ、これからの活動も、全身全霊をかけて、笑顔で取り組んでいくのだろうと思う。これからの活躍が、楽しみで仕方がない!

ファイルーズあいさん、直筆サイン色紙をプレゼント!

 取材後、ファイルーズあいさんにサインを書いていただきました。「その場でパッと描くのは苦手なんですけど……」と言いながら、なんとインタビュー中に登場した「血走った猫」のイラストまで描いてくれました!そんな要素満載の直筆サイン色紙を1名様にプレゼント。

左上のアラビア語は「Thank you everyone!(みんなありがとう!)」という意味だそうです。

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