「勧善懲悪ヒーローモノは子供しか観ない」『デッドプール』にみる、アンチヒーローの魅力を映画評論家が徹底解説
エンターテインメントの様々なジャンル・作品を楽しむための深掘りトークプログラム『WOWOWぷらすと』。今回のMCは中井圭さん、ぷらすとガールズの梨衣名さん。ゲストに評論家の添野知生さん、堺三保さんをお招きしマーベル作品に登場するアンチヒーローについて語り合いました。
昨年マーベル作品のアンチヒーロー、デッドプールを主役として公開された映画『デッドプール』。下品なギャグを披露したり、残虐な暴力性を持ったヒーローが、人々の人気を集めるのにはどのような理由があるのでしょうか。
『デッドプール』ヒットの立役者ティム・ミラー監督の降板
中井:
『デッドプール』は、めちゃくちゃ評判が良かったですよね。あれは一体何だったんでしょうね。
添野:
主役のライアン・レイノルズと新人監督のティム・ミラーがずっと前から映画化したいと言い続けていて、自分達だけで準備をして、スタジオを説得して回って、やっと実現した企画なんです。要はスタジオ主導じゃないんですよね。やりたい人が自分たちで4、5年掛けて綿密に下準備をして作った、だから良い映画になったんです。
番組スタッフ:
初期衝動を形にしてると。
添野:
そうですね。スタジオの人が入って引っ掻き回されちゃうと、こういう企画は良くならないんです。その沼に入らなかった事が良かったですね。
堺:
この映画はR指定ですよね。
添野:
もちろん。
堺:
大きい会社の偉い人が入ってきちゃうと、「R指定は客層の幅が狭くなるからやめてくれ」という話になるんですけどね。この映画ではそういう干渉がなく、ガッツリ残虐な感じでやった所も含めて腹が据わってますよね。
番組スタッフ:
作ってる人たちが、この映画の良さがどこなのかをハッキリ分かっているから、R指定に関するジャッジも忠実に出来たということですよね。
添野:
少し『デッドプール2』の話をしておくと、2ではティム・ミラー監督が降板してしまうんです。その理由が制作予算は4倍にしてやるからスタジオの言うことを聞けと言われて、キレたんです(笑)。
番組スタッフ:
彼こそアンチヒーロー(笑)。
梨衣名:
すばらしい(笑)。