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大麻、コカイン、覚せい剤…学校では教わらない、薬物別“トビかた”の違いって? 日本と海外のドラッグ事情を考える【語り: 石丸元章、ニポポ】

 コカインや大麻、MDMAなど芸能人の薬物検挙が目立ってきている近年。しかし一口に違法薬物といっても成分はもちろん、症状や依存症の程度などさまざまな面で薬物ごとに特徴が異なり、それらを”同じもの”として語ることはできません。

 テレビでは扱えないアンダーグラウンドな世界を、潜入ライターの二ポポさんが紹介する番組、「ニポポのニコ論壇時評」。3月27日には、作家の石丸元章さんをお招きし、「コカイン、ヘロイン、覚せい剤…違法薬物のアレコレを石丸元章に訊く!【ニポポのニコ論壇時評】」が放送されました。

左からニポポさん石丸元章さん

※本記事はニコニコ生放送での出演者の発言を書き起こしたものであり、公開にあたり最低限の編集をしています。

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なぜ最近、日本でコカインが流通するようになったのか?

ニポポ:
 芸能界やミュージック界隈はバタバタなわけなんですけれども、ピエール瀧さんの逮捕につながってしまった“ドラッグ”は一体どういったものなんだろうか、というところを掘り下げてお話をしていただければと思っております。石丸さんです。よろしくお願いいたします。

石丸:
 よろしくお願いいたします。

ニポポ:
 ドラッグにはいろんな銘柄……銘柄と言ったらおかしいですね(笑)?

石丸:
 商品になっているような銘柄があるドラッグもあるんだけどね。

ニポポ:
 まずは、今回、ピエール瀧さんの逮捕騒動で話題になった、“コカイン”というものはいったい何ぞや? と。

石丸:
 テーブルの上に白い粉をパパッて撒いて、カードでスッ……と縦の細長いラインを2本引いて……ウォン札をくるくる巻いて鼻でツーン! みたいなね。あれがコカイン。

ニポポ:
 よく映画で見るあのシーンですね。

石丸:
 コカインの映画は例えば……『スカーフェイス』だ。そう。コカインってアメリカで一番流通しているドラッグのひとつ。

『スカーフェイス』(画像はスカーフェイス | Amazonより)

ニポポ:
 コカインの原料はコカという植物なんですよね。これが南米原産というところで、アメリカに入ってきやすいっていうのがあるんですかね?

石丸:
 そう。ドラッグとて、原材料がないと作れない。コカの葉っぱという原材料がないと作られないから、その木が生えてるところ、つまり葉っぱが取れる近くで流通するわけです。コカインと違って覚せい剤は植物じゃなくて薬品と薬品を混ぜて作るから……。

ニポポ:
 覚せい剤は合成物なんですね。

石丸:
 化学薬品だから作ろうと思えば日本でも北朝鮮でも中国でも作れるし、実は南極でも砂漠でも作れるわけ。でもコカインは作れないんですね。

ニポポ:
 コカインは流通の難しさから日本にはあまりなじみがなかった、と言われれていたものなんですけども、最近名前を聞くようになりました。それについて、事情はあるんでしょうか?

石丸:
 まず、日本に増えている外国人から「コカインは手に入らないのか?」という需要が、ある程度あると考えられます。

ニポポ:
 日本でコカインをやりたい、と?

石丸:
 需要があるところには必ず供給がありますから。さらに、そういう人たちが持ち込んだものをきっかけにドラッグを知った人が……。

ニポポ:
 「またアレをやりたい!」みたいなことですか?

石丸:
 そうしたことがきっかけで大きな流通が出来てくる、ということだと思います。

ニポポ:
 コカインは、いわゆる鼻からの吸引が語られますけれども、実際には難しいんじゃないでしょうか? 映画だと長机に白い粉のラインが引いてあって端からズズーッみたいなね。「それ、死ぬでしょう?」みたいな(笑)。

石丸:
 死にますよね。私が知る薬物依存症の人は、入院先の病院の中でコカインをやりたいんだけど手に入らない、それでもコカインをやりたいと言うので、インスタントコーヒーを出して、固まってるからそれをカードでつぶして粉にしてサラサラにして、それでラインを作って鼻からガーッ! って吸って……。

ニポポ:
 痛そう(笑)。

石丸:
 「痛い! でも少しアガる?」みたいな(笑)。インスタントコーヒーを“黒コカイン”って呼んでました。そういうのもございます。真似しないでくださいよ。私の知る薬物依存症の閉鎖病棟は、患者たちが医師に隠れてこれをやっていたんですけど、見つかると、不適格行為として病院の中でも摘発されてしまうという。

ニポポ:
 怒られちゃうから絶対だめですよ。

石丸:
 法律では許されているけど、コーヒーは飲むものです。

コカインの価値はグラム数ではなく純度(ピュリティ―)

ニポポ:
 コカインのグラム数というのがピンとこないんです。あれはどういったものなんですか?

石丸:
 恐らく(1回あたりの使用量は)0.05グラムとか。

ニポポ:
 そんなに少ないんだ……。じゃあ1グラムと言えば結構な量なんですね。

石丸:
 コカインについて、すごく大事なことは、量に対する“ピュリティー”、純度なんですよ。

ニポポ:
 “ピュリティー”の“ピュ”は“ピュア”の“ピュ”。“ピュリティー”さえ高ければ0.02グラムであろうが充分?

石丸:
 お酒でもそうですよね。スピリタス【※】だったら、ほんのちょっとで酔っぱらっちゃう(笑)。ビールだったらジョッキで飲んでも酔っぱらわない人もいますよね。“ピュリティー”が大事なんです。だからコカインの売人のセールストークに「これはコロンビアの純度98%のすばらしいコカインです。ちょっとほかじゃ手に入んないよ」とか。

※スピリタス
ポーランドを原産地とするウォッカ。アルコール度数は96度。殆ど純粋なアルコールであるためタバコの火程度でも引火する危険がある。日本国内では第4類危険物に該当し、ガソリンと同等の厳重な管理を必要とする。

ニポポ:
 もうスピリタスが真っ青な純度ですね(笑)。

石丸:
 日本でもオランダでもニューヨークでも、売人はコカインを「これはコロンビア産だ」と言って売るんですよ。

ニポポ:
 コロンビアがコカの木の本場なんですね。いろんな国で販売されているわけなんですけれども、日本国内の流通価格っていうと今どれぐらいなんでしょうか。

石丸:
 恐らく……ちゃんとした“ピュリティー”のあるものは、1グラム5~6万円くらいすると思いますよ。

ニポポ:
 1グラムから0.05グラムぐらいずつ使っていけば、1回当たりの金額はもうちょっと下がるわけなんですね。

石丸:
 そう、1回にしてみればね。ドラッグはすべて税金がかかっていない非課税のものですから(笑)。ただ“ピュリティー”の良くないものが安く売られていたりもするんです。特にコカインは、ほとんどの日本人がやったことないですよね。だから「これがコカインだよ」、と出されたものが、本当にコカインなのか、あるいは覚せい剤と何かを混ぜたものなのか、区別がつかない。

 偽物でも1グラム1万5000円とか2万円ぐらいとかですごい効くのもあるんですよ。長く効いて、「あのコカインが今までで一番よかったな」っていうコカインがすごく薄かったりします。ほとんど覚せい剤のコカインだったりする場合もあるんですよ。

ニポポ:
 効き目と時間の話がありましたけど、一般的に「コカインは効き目が短い」って言われている気がするんですが……。

石丸:
 短いと思いますよ。1時間とか……2時間は効かないんじゃないのかな。

ニポポ:
 僕らもよく見聞きする情報として、“アッパー系”や“ダウナー系”という分類をした場合、コカインは“アッパー系”に近いと言ったりしますよね?

石丸:
 ……南米の風……風速15メートルぐらいですかね。なかなか効く、みたいな?

ニポポ:
 そのぐらいのがバーッとくるんですね。「全能感や多幸感が味わえる」とかが強いんでしょうかね?

石丸:
 “多幸感”と言ってもわからないじゃないですか。例えばそうだな……みんなに「すごいね」「最高に格好いいわ」ってモテている感じかな。

ニポポ:
 ちやほやされている感じ?

石丸:
 人気者になって拍手をされてステージの上にいる心境、恐らくそれに近いようなものだと思いますよ。

ニポポ:
 すごく心地がいい。みんなから何か祝福されているような。

石丸:
 それを多幸感というふうにたぶん名づけているのかなと思います。

音楽やサブカルチャーはコカインを“たしなむ”業界なのか?

ニポポ:
 コカインでミュージシャンが捕まっちゃったりする事件が結構あるわけですけど、たしなみがあった人ってすごく多いかと思うんです。それこそ日本に来る外国人であったり。そんな中でピエール瀧さんが逮捕されるに至るって相当なことじゃないですか?

石丸:
 大事件ですよね。

ニポポ:
 「あの人やってました」とか「あそこでやってるっぽいです」って言ったって逮捕されないからね(笑)。それでも逮捕というのは……常用していた、ということなんですかね?

石丸:
 これはわからないよね。「ピエール瀧さんのことだから、きっとやってたに違いないですよね」なんて言えないじゃない? 今回すごく思ったんだけど、やっぱりその人のことを前から好きなのか、報道されてからその人を知るのかで、印象は随分変化しますね。

ニポポ:
 そうですね、左右されます。

石丸:
 やっぱりピエール瀧さんの芝居とか音楽とかを知ってるから悪く言いたくないんだよね。ニポポさんは音楽業界で活躍しているじゃないですか?

ニポポ:
 音楽やサブカルチャーとかにも、ちょっとつま先を突っ込ませてもらってるから、そういう界隈のお話っていうのはなくはないですね。

石丸:
 「ちょっと買わない?」とかいう話?

ニポポ:
 購入を勧められたりとかは、一度もないです。

石丸:
 良かったです。僕はしょっちゅうきますから(笑)。

ニポポ:
 でも、「ちょっとあげるから……」とか、「やってみろ」みたいなのはちょいちょいきますね。いや、僕はやってないよ(笑)。音楽は、作風を見たら正直わかるんですよ。この人の音楽は完全にジャンキーの作り方だとか、僕はそれがわかってないから逆に言うと、ジャンキーの人がピンとくる音楽を作れないんだよね(笑)。

大麻はドラッグ? 嗜好品?

ニポポ:
 コカインにつながる入り口として使用されることがあるのが、いわゆる大麻。石丸さんは最近、高樹沙耶【※】さんとイベントや連載をやられたんですか?

※高樹沙耶
元女優。元作詞家。2012年10月末に芸能界を引退し、同年に大麻保持を法的に規制することに反対する立場を明かした。

石丸:
 そう。「TOCANA」っていうウェブメディアのサイトで昨年から高樹沙耶さんと大麻を巡る話を連載をしています。

ニポポ:
 無限に続いてほしいなあ(笑)。

石丸:
 実は夏過ぎに、ニューヨークで娯楽用大麻が解禁になるわけ。今の街の様子をニューヨークにいた野々村文宏先生っていう大学の先生と話していたんだけど、「バーニーズニューヨークで大麻のセレクトショップができたりとかしてはしてるけど、今のニューヨークは全然お祭り騒ぎしてません。街ではまだ娯楽用は自由化されてないんだけど、医療用はもう街に出回ってるし、もうあっちこっちからニオイがしてます」みたいなリポートを生でやったりとか……。

ニポポ:
 大麻について、もうちょっと語っていければ……ということなんですけれども。

石丸:
 さっき、「ドラッグをやるときの入り口になるのが大麻だ」っていう言い方があったんだけど、それもそうではないんだっていう、追跡調査なんかもあるわけです。

 例えばアメリカで、今は29州で医療用大麻の使用が許可になってるわけね。あと娯楽用も州によってはOKで、大統領のホワイトハウスがあるワシントンD.C.は娯楽用も医療用も両方OKなんだよ。ワシントンD.C.は1人6鉢まで植木鉢で自分で育てていいんだって。

 連邦法では禁止してるんだけど、アメリカって法律がふたつあるじゃない? アメリカ全土の連邦法と州の法律。州法ではOKなわけ。だけど連邦法では禁止じゃない?

ニポポ:
 そういう矛盾が一応あるんですね。

石丸:
 だからホワイトハウスの中で大麻を育てても6鉢までだったら州法的には大丈夫。だから「大麻はドラッグなの? ドラッグじゃないの?」っていう議論もあるわけ。どっちだと思います?

ニポポ:
 これはちょっと難しいんですけど、大麻ってみんな簡単に言っちゃいますけど、一概に言えなくて……葉っぱであったり花であったり樹脂であったり。そういった形の違いがあったり、良し悪しの差がすごいっていうのが結構言われるじゃないですか? それこそ大麻の品評会があったりするんですよね?

石丸:
 オランダとかでは大麻の栽培をして、それこそ銘柄をつけてます。「ホワイトウィドウ」とか「スカンク」とか。

ニポポ:
 あとは日本の有名な方も実は出品しているっていう都市伝説があったりとかね。

石丸:
 日本の水耕栽培も種じゃなくて、クローンの水耕栽培で育てたりとかいろんな育て方があるんです。土で育てると、純米酒みたいな力強さがあるとか。この大麻は吟醸酒のような独特なメロンのような香りがする、みたいな。

ニポポ:
 もちろん植物ですから、育て方で個体差があるということなんでしょうね。

石丸:
 あと地域によって味わいが違うとか。オランダとかニューヨークとかいろんなところにショップがあって、どこのショップのどの銘柄がすごく味わいがいいんだとか、効き方に違いがあるんだ、とかっていう面白みがあって……。だからアメリカの人は「これはドラッグじゃなくって嗜好品である」って言うんですね。

ニポポ:
 タバコに銘柄があって、人それぞれ好みが違うのと似ていますね。

石丸:
 そう。アメリカの場合、タバコはバージニア州っていう州が特産地なんですよ。大麻は日本では法律で禁止されてるのでドラッグのお仲間に入ってるけれども、あれは化学薬品じゃないし、タバコと同じように生えてるものを乾かして吸ってるだけ。

 だからドラッグではなくてひとつの嗜好品として分類できるんじゃないのかというような考え方もあったり、いろいろな考え方があるんだと思いますよ。

ニポポ:
 実際、吸引だけっていうのは実は合法、というか違法ではないですもんね。

石丸:
 いや……。

ニポポ:
 これも判断が難しいんですか?

石丸:
 法律解釈なんですけど、日本の法律では大麻取締法違反っていうのは“所持している”と逮捕される。けれども尿から出ても逮捕されない。でも、それは吸ってもいいですよってことじゃないのよ。自然に生えているものだから秋に草刈りをして燃やしたら自然と街中を煙が流れる可能性もある。

 そのときにそれを吸ってしまって尿から出た人を逮捕するわけにはいかない。あるいは自然に生えてるものだから何かの拍子で刈り取ったときに微量の成分が体内に入ってしまうかもしれない。それが検出されても逮捕するわけにはいかないので法律上は逮捕しないっていうことになってるわけで、法解釈としては吸ってもいいですよってことではないんだよね。

ニポポ:
 神事でも使われますしね。鳥さんのご飯【※】とか、ああいうところでも使われるもんですから、そういう業者さんとかも相当摂取しちゃうみたいですね。品種改良で、いわゆる成分を減らしてるものを使ってはいるらしいですけどね。

※鳥さんのご飯
鳥や小動物の餌として市販されている「麻の実」のこと。

石丸:
 業者って……しめ縄を作る業者とか? そのつもりもないのに捕まってしまうってことが一番かわいそうなわけだし、あってはならないことなわけだから。大麻に関してはいろいろな考え方が世界にあって、死刑にしますっていう国だってあるわけだから。中国とかは大量に持ってたら死刑になるんじゃないのかな。

ニポポ:
 それは恐ろしいですね。

石丸:
 中国は昔、イギリスからアヘンっていう麻薬を密輸されて、それでどんどん金目のものを全部イギリスに取られちゃって、国民はみんな麻薬中毒になっちゃって、それを一掃するのに本当に血のにじむような努力をしたから、ドラッグの持ち込み、使用に関してはもう国家反逆罪だっていう感じで厳しいんだよね。

 やっぱり法律ってその国の歴史を背負ってるから、何でも自由にしようっていうことではなく、尊重しなくちゃいけないと思う。けれども、一方ではいろんな考え方があるんだっていうことで、自分自身の議論を持つことが大切だと思いますよ。

法律が整備されたのは戦後

ニポポ:
 それで照らし合わせると大麻が規制対象っていうのは新しい法律ではあるんですよね。

石丸:
 覚せい剤も法律で禁止になったのが確か昭和30年じゃないかな。

ニポポ:
 だってヒロポンが普通に流通してましたからね。

石丸:
 大麻はダメですよって決められたのは、戦争に負けてGHQが日本の法律を組み立て直した時。そのときに大麻は禁止にしようというふうになった。なぜかっていうと、アメリカのたばこを売りたいからっていう説があるんですよね。

ニポポ:
 いわゆる大麻の葉っぱと嗜好品のたばこみたいな感じのお話がありましたけれども、それとは別に、ガンジャ、あと樹脂のハシシっていうのは、効能的には別物なんですか?

石丸:
 一緒だと思いますよ。インドなんかはガンジャって言い方をするみたいです。ハシシっていうのは意外とアメリカ圏とかでは流通してないんですよ。どこで流通してるかっていうとアフガニスタンとか、それからイランとか。

ニポポ:
 あの辺なんですね。樹脂っていうのは扱いやすいっていう意味なんですかね。

石丸:
 持ち運びが便利とか扱いやすいとか、まあカルチャーでしょうね。

ニポポ:
 大麻のお話にまた戻っちゃうんですけれども、昔で言うところの脱法ドラッグってあったでしょう。この流れがあったときにお店で売ってたりとか何だとかってありましたけれども、大麻っていうものの末端価格っていうのは、何グラムでいくらぐらいで売ってるもんなんですかね。

石丸:
 恐らく日本の流通って3500円から7000円の間や、1万円ぐらいの間じゃないですかね。ドラッグに限らずなんですけど、まとめて買うと安くなる。

ニポポ:
 イメージだと、やっぱりみんな巻き巻きするじゃないですか。あの巻き巻きの中には何グラムぐらい入ってるもんなんですかね。1グラムとかも全然ないですよね。

石丸:
 全然入らない。太さによる。ニューヨークなんかで見ると、割と手に入りやすい。もうすぐ解禁しますしね。ヨーロッパに行ってもオランダとかは手に入りやすいから、太いのを巻くんですよ。

ニポポ:
 細いイメージしかないですけどね。

石丸:
 日本で見ると、もう楊枝みたいな細さ。だいぶ前ですけど、中島らもさんという作家が大麻で摘発されたことがあって。大麻を巻いた紙巻きタバコ状のものをジョイントっていうんですけど、スポーツ新聞に写真が出てたらもさんの部屋から見つかったジョイントが、すごい太いんですよ。それで楊枝くらいの細いのは、“貧乏巻き”っていうんですよ。

 大麻は昔から俳句の季語にもなっていて。例えば与謝野蕪村とか。「しののめや露の近江の麻畠」。麻の畑を眺めていると突然大雨が降ってきて、その風情を詠んだ歌なんだよ。大麻っていうのは、昔からしめ縄を作ったりするのに使っていたから、栽培してた歴史があったんでしょうね。

 大麻の葉っぱっていうのは写真なんかで見るとわかるんですけど、すごく大きいんですよ。季語としては晩夏、夏の終わりの季語なの。

 夏の終わりのひとつの風情を詠む季語として使うんだけど、夏の終わりの夕立が降るじゃない。突然夕立が降って、そのときに葉っぱが一斉に音を立てて鳴ったりとか、葉っぱが揺れる姿っていうのが何とも風情のあることよっていうので高浜虚子とかも大麻の俳句を作ってる。

ニポポ:
 今、コメントで質問も来ています。「吸うとどういう気分になるんですか?」

 

石丸:
 大麻の気持ちよさ、例えば気持ちがうきうきと楽しくなる。お酒に酔ったような、しかしお酒とは違う愉快な気持ちになる。目の前にあるものがとてもおいしく感じられる。例えば特にホイップクリームとかシュークリームとかコーヒー牛乳とかクリーミーなものがすごくおいしく感じられる。

 あるいは音がすごくディレイがかかってくる、何気ない音がすごく面白い音に聞こえたりするとか、いろいろ言い方はあるんだけど。でもそれがすべてかって言われると、何かすごく表面的な気がしてね。

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