枝野幸男『シン・ゴジラ』を語る「3.11当時の官僚の頑張りは映画以上」
現在大ヒット中の映画『シン・ゴジラ』。
8/29(月)、ニコニコでは、同映画鑑賞直後に、枝野幸男 民進党幹事長が応じた、ぶらさがりインタビューの模様を生中継しました。その全文書き起こしをお届けします。
記者:
今日、ご覧になった感想を一言お願いします。
枝野:
(周りから)聞いていましたし想像はしていたのですが、映像のリアルさ、東京の街そのものが実際に映画で壊されていくかのような映像のリアルさですね。それから、あまり細かいことは言わない方がいいと思いますが、官邸の中の色々な部屋の造りなど、全く一緒では無いですが非常に実際のものと近かった。私も取材を受けましたが、非常に色々な意味で研究をされていて、良い作品だなとかなり惹きこまれながら観ていました。
記者:
幹事長自身が取材協力されているということですが、(ご自身の意見が)一番反映されていると思ったのはどんなところでしょうか。
枝野:
どこをどう反映されたかはむしろ脚本を書いた方や監督などに聞いて頂いたほうがいいかもしれませんけれども、危機管理のときに政治家や役所の幹部が論理的な面でどういう動きをするかとか、どういう形で会議の段取りが進んでいくかとか、そうしたことはかなり参考にされている部分があるように思いました。
記者:
危機管理に対する政府の対応といいますと、幹事長も色々経験があると思いますが、映画を観ていて、この場面なら私ならこういうふうにした、といった感想がありましたら教えてください。
枝野:
映画ですのでいろんな面で誇張されているとは思いますけども、原発事故のときも大震災のときもなかなか想定ができない状況、あるいは情報が入ってこない中での対応でした。この映画の場合は、地震や原発事故というのは有り得ることとしてあらかじめ対応していたものに対して、(ゴジラ襲来のように)あらかじめ想像もできていないことですので、そこに対してはやはりエンターテインメントとして観るしかないかなと思います。
記者:
映画の始めの方で、(ゴジラの近くに)人がいた為に自衛隊のゴジラへの攻撃が中止されますよね。そのとき、枝野さんが「東京電力が計画停電をしようとしたときに病院(の停電対策)とかきちんと対応し終わってからでないと(計画停電を)許さない」とおっしゃったことが少しダブったのですが、いかがでしょうか。
枝野:
危機管理のときに全ての環境を整えないと前に進めないということでは対応が遅れてかえって被害を拡大させる、一方で人命や安全に関わることについて目をつぶることはなかなかできないというのは、映画だけではなくてですね、大震災のときも計画停電をはじめとして我々も判断を迫られ、決断を迫られるという場面はありましたし、今後もそういうことが有り得るだろうと思います。
その時にいかに最善を尽くすのか、計画停電のときは実際にはブラックアウトも計画停電による被害も両方出さずに済みましたけども、これは映画の中でもそうですが日本の官僚機構、よくない部分もありますけれども、危機の時にはやはりいろんな意味で最大限英知を結集して頑張ってくれる、あのときも一定の成果を上げてくれたと思いますし、とにかく常に最善を尽くすことだと思います。
記者:
あと一つ、もしかしてこの映画を幹事長がご覧にならないのではという懸念もあったんですが、今日あらためて見てどうでしたか。良かったですか。
枝野:
いろんな評判が聞こえてきていたのでどうしようかなと思ったんですが、見て良かったと思います。いろんな評判の中でエンターテインメントを超えていろんな意見や評価がなされている部分も見ていないわけではないんですが、純粋にエンターテインメントとして東京の街が実際に壊れていくのはリアリティもあって本当に現実のニュース映像じゃないかと思うぐらい非常に精緻に作られていますし、官邸のことも(実際に)知っているだけに、実際と違うとエンターテインメントとしては興醒めする部分もありますけれども、かなりよく研究されているなということで非常に映画のストーリーに入っていきやすかったですし、面白かったと思います。
記者:
話題変わりまして民進党の代表選の話で大変恐縮ですけども、幹事長の所属されている「凌雲会(りょううんかい)」は今回前原さんを支持する動きがあると思いますけども、今出馬表明されている蓮舫さんと前原さんと含めて、幹事長自身今回どういった方を支持・支援していきたいとお考えでしょうか。
枝野:
まず、私は「凌雲会」にも所属していますが、「国のかたち研究会」にも所属をしていますので、片方だけ(所属しているかのように)報道することは絶対に止めてください。どこかに所属しているというときは必ず両方書いてください。その上で、代表選挙についてはこれまでもこれからも一切ノーコメントです。
記者:
もう一点、こうした党内のグループ活動、民進党のグループの存在意義ということについてはどのようにお考えでしょうか。
枝野:
いま代表選挙が事実上始まっている状況ですので、コメントすることは避けたいと思います。
記者:
映画の話と重なりますが、野党がなかなか出てこなくて政権や与党の人たちの出番が多かったと思うんですけれども、(枝野さんは)3.11のときは与党で今は野党の状態が続いていますけれど、映画をご覧になって、やはりまた政権を、代表選もありますけども政権をもう一度とって、またああいう危機管理を自らやっていきたいという思いはよぎったりされましたか。
枝野:
映画ですから野党の出番が出てこないのは当然だろうと思いますが、3.11のときもあえて申し上げれば背中から弾を撃つような話もあった一方で、(現在の)与党の皆さんの中で時の政府が我々だからということで、(当時)野党の立場でも非常に真摯に協力をして実際にそれが成果を上げていた方も少なからずいらっしゃいました。したがって、与党であれ野党であれ、こうした国家的な危機にあたってできることはある、というふうに思っております。
遠からず政権に戻りたい、そのつもりがなければ政治家を続けている意味がないと思っていますので、政権をお預かりしたときに得た失敗と教訓を活かすことで次に政権をもし預かれたら成果を上げることができると思っておりますので、遠からず政権に戻るつもりでやっていますが、こうした危機管理のフェイズというのは正直言ってこういう事態に直面をすることは、ああいった大きな災害自体がないことが一番ですし、できれば避けたいなとは思います。
記者:
参院選の選挙期間について短縮を検討という報道が一部あるんですが、参院選の期間を短縮することについてのお考えはありますでしょうか。
枝野:
そのことを含めて、院の自立とはちょっと違いますけれども、まず参議院において与野党間で協議をしてまとめていく話だと思いますが、そのことが選挙の前から話題であったことは聞いております。基本的には参議院の執行部を中心に、他の参議院の各会派と相談をした上で、一定の方向が出れば党全体の話として報告があるんじゃないかと思います。
記者:
作中で主人公の官房副長官が寝ないで頑張っているところがありますが、(内閣官房長官として昼夜問わず対応を行っていた枝野氏に対して)「枝野寝ろ」というコメントもかなりありました。映画の中では官僚が相当がんばっていて、今回の映画は官僚の方もかなり見ていらっしゃるんですけれども、やっぱり3.11と官僚の頑張り具合というのは重なる部分はありましたでしょうか。
枝野:
本当にそれはその通りです。映画では霞が関のはぐれ者を集めたチームみたいな位置づけでしたが、そんなことはなく本当に、少なくとも私の目が届く局面では、霞が関の皆さんは時の政府がどうであろうとなんであろうと、とにかくできる最善を尽くすということで不眠不休の活動をしていただいたと思っています。
それがあったからこそ、もちろん今も避難をされている方、大きな被害を受けられた方がたくさんいる中ではありますが、それが無ければ(被害が)もっと大きなものになっていたんじゃないか、というふうに思っています。(官僚の頑張りは)映画以上だと理解していただいていいんじゃないかと思います。
※枝野さんのぶらさがり取材は、15分40秒頃から始まります。