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「体が縮んでミキサーの中に放り込まれたらどうしますか?」Googleで出題される入社試験の問題が難解すぎると話題に

 2018年現在、検索エンジンとして圧倒的な存在感を示し続けている「Google」。スタンフォード大学の博士課程に在籍していたラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏によって設立されたGoogleは創業以来、当代一流の人材が集まって運営されていることでも知られています。

 毎週日曜日、夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』では、Google社をはじめ、Microsoft社、Apple社などの巨大IT企業の就職事情について、パーソナリティの岡田斗司夫氏が解説。この中で岡田氏は、2013年に公開された映画『インターンシップ』を例に上げ、劇中で語られるGoogle社の独特な入社試験について紹介しました。

岡田斗司夫氏

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Googleへの就活の参考になる映画『インターンシップ』

岡田:
 今、Amazonプライムで、199円でレンタルできる『インターンシップ』というハリウッド映画を見たことありますか?

 この『インターンシップ』というのは、何がすごいかというと、Google本社でロケをしているところなんですね。ラストシーンには、本物のGoogleの社長まで出てきて出演者と絡むという演出まであります。

 これ、どういうことかというと、映画用にある程度はデフォルメしてはいるものの、かなり事実に忠実に、Googleに入社する際に出される問題や、どんなことが起きるのかを再現しているんですよ。

『インターンシップ』
画像はAmazon『インターンシップ [DVD]』より

 まあ、お話自体は甘々の“サマーキャンプ・ムービー”なんですけど。言っちゃえば、『グーニーズ』とかと同じなんですよ。「中学生とか高校生が、ひと夏のキャンプに行ったら、なんか成長して帰ってきちゃったよ。人生も恋も学校も全部ハッピーだ!」というような、見たところで、何も落ち込むことのない映画です。

 ただ、Googleへの入社に関する基礎知識だけは山のように付くんですけどね。

Googleの入社試験で問われること

 映画の主人公であるビリーとニックはGoogleの入社試験を受けることになるんですけども、そこで“パソコン面接”というのを受けることになります。パソコンのカメラがありますよね。あれを使ってお互いの顔が見えるように、いわゆるSkypeの映像通話みたいな形で面接をするんです。

 そして、そのパソコン面接で、2人は変な質問を受けるんですね。それが、Googleの有名な“ミキサー問題”です。

あなたの体が5セント玉くらいの大きさに縮んで、ミキサーの中に放り込まれました。体は縮みましたが、密度は変わりません。60秒後にミキサーの刃が動き始めます。どうしますか?

 これ、何をするのかというと、こういった質問に対して喋りっぱなしで答えなければいけないんですよね。「じっくり考えた上で、1つの答えを出す」という回答ではなく、思考プロセスそのものをすべて計られるんです。

 例えば、こういう問題を出された時に、やっぱり「5セント玉くらいのサイズということは、厚みもそれくらいだろうし、ミキサーの刃はちょっと浮いたところにあるはずだから、ミキサーの底で伏せていれば、刃がぐるぐる周っても平気なんじゃないか?」みたいに考えちゃうんですけど。

 そう答えると「でも、それだったら君の体は、段々と刃の方に引き寄せられるよ?」とか、「底に近い部分でミキサーの刃が周ってたらどうするの?」みたいなことを言われて、安直なとんち的な回答が出来ないように追い込まれていくんですね。

「あなたの身体が縮んで、ミキサーの中に放り込まれたらどうしますか?」

 では、ビリーとニックは、これに対してどう答えたのか? 2人がミキサー問題に対して出した回答は「そのまま寝てればいい」だったんですね。

 もちろん、ビリーが「そのまま寝てればいいよ」と言うと、Googleの面接官は「それじゃあダメだ。ミキサーは永遠に止まらないよ。どうするの?」と聞いて来ます。すると、ビリーはカッとなって「おいおい。それはないよ。俺達はセールスマンだぜ? ミキサーだって売ったことがある」と怒り出すんです。

 ニックもフォローするように「現在、売られている中で世界一のミキサーはドイツのブラウン社製のものですが、そのミキサーでも11時間も連続で回せば、絶対にモーターが焼けて止まります」と言うんですよね(笑)。

 で、ビリーは「そんなことも知らないのか!?」と、画面に向かって怒り出すんですよ。

 Googleの面接官はびっくりしてしまいます。だって、そういう現実的な反論をされたのは初めてだったからなんです。それで、面接はそこまでになったんですけど。もちろん、これはGoogleが望む答えではないんです。

Googleが求めている論理的な答え

 これは“論理的な思考力”を試す問題なんですね。試験を受ける人間が、ずっと喋らなければいけない理由というのは、どういう経路で考えているのかを明らかにするためなんですね。黙って考えて答えるだけというのはダメなんですよ。

 この場合のポイントは「体は縮みましたが、密度は変わりません」という部分なんです。わざわざ、これを言っているというところが重要なんですね。

 では、密度が変わらない場合どうなるかというと、まあ、5セントコインと言われても、僕らは日本人だからよくわからないんですけど、とりあえず、直径が2センチ弱くらいのコインです。つまり、大雑把にいえば体が100分の1のサイズに縮むわけですね。

 100分の1に縮むということは“長さ”が100分の1になるということです。それに対して“重さ”は縦・横・高さのある3次元。その全てが100分の1になるわけですから、「100×100×100」で体重は100万分の1になります

 では、100万分の1の体重になるのに対して、筋肉の力はどれくらいになるのか? 筋力というのは、例えば腕の筋肉の断面とか、足の筋肉の断面積に比例するんですよね。ということは、100の2乗分の1にしかならないんです。

 なので、人間が密度はそのままに100分の1の大きさになった時には、体重は100万分の1になるんですけど、筋肉の力は1万分の1にしかならない。イコール普段のジャンプ力の100倍のジャンプ力を持っていると考えられるわけです。

 なので、ただ単に「ミキサーの上に飛び出せばいい」というのがGoogle的な正解なんです。

 ちなみに、面接官側には、この答えを確認するための「そのミキサーには蓋がしてありますか?」という質問に対して、「蓋はしていません」という答えが用意してあるそうです。こういった答えが、この場合の本来想定されていた回答らしいです。

面接官には一切の決定権がない

 さて、この映画の中では、主人公のビリーとニックの面接は散々だったんですけども、実は合格か否かを決めるのは面接官ではないんですよね。面接官は、ひたすら質問をして、それに対する答えを貰って、その質問と答えをひたすらメモするだけなんですよ。面接官というのは、採用に関する決定権を何1つ持っていないんです。

 おまけに、こういった面接を、面接官を変えて2回も3回もやるんです。「最低でも4回、最大では7回くらいやる」と言われています。

 なぜ、面接官の仕事が具体的な質問と返答を書いたレポートを書くだけなのかというと、面接官による偏見や先入観を排除するためと言われています。面接官とはいえ、人間だから、偏見とか先入観を捨てるのは不可能なんですよね。なので、実際に会った人から感想を聞くのではなく、すべてレポートの形で提出させるんです。

 こういったレポートと、映像データ、後は、その他の履歴書的なものを全て書いた、メチャクチャ分厚いファイルを山のように用意して、次は採用だけを担当する人間が集まって、面接などは一切せずに、ファイルを見ながら「こいつはどうだろうか?」と話し合い、次の段階である「Google本社に呼ぶかどうか」を決めるんですね。

 Google本社はサンフランシスコのマウンテンビューという、山の上のメチャクチャいいとろこにあるんですよ。

 そこまで、全世界から飛行機代も宿泊費も全部Google持ちで呼ぶから、採用候補者を1人呼ぶだけでもメチャクチャ金が掛かる。なので、まずはこのビデオ面接の段階で、ザーッと落として行くわけです。

 ちなみに、ビリーとニックは、面接でのこの面白い回答によって「Googleが求める“ダイバーシティ”(多様性)がある」ということで、飛行機代から滞在費まで全部Google持ちで、サンフランシスコに呼んでもらえることになりました。まあ、これは映画ですからね。

▼記事化の箇所は12:15からご視聴できます▼

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