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東京医科大の”女子受験生減点騒動”の真の問題点「女医を増やさない職場の環境を直せ」社会構造の歪みに合わせた人事の弊害

医療の現場には女性も求められている

小飼:
 日本の場合、ちょっとおかしいなと思うのは、こうやってた理由というのは、要は現場に十分な過労死を厭わず働いてくれる医師を女医ばっかり入れたら、供給不足が起こるじゃないかというのが理由ということにはなってるわけです。じゃあ看護師はどうなってるのか。

山路:
 普通に女の人の方が多いですよね。

小飼:
 はい。看護師だけではないですよね、医療というシステムに携わっている人たちというのは、薬剤師もそうですし、しかも今は、いろんな技師さんがいるわけですよね。

山路:
 この前歯医者に行きましたけど、医者から衛生士から全部女の人でしたけどね。

小飼:
 何の不都合もないでしょうね。

 さらに、今は機械もあるわけですよ、例えば、僕の最近治した歯というのは、その場でスキャンして、その場で削って、その場ではめる。まあ、これは歯科技工士さん殺しなんですけれども。

山路:
 他の科でもどんどん省力化できる機械というのは、どんどん導入を進めればいいということにもなるし。

小飼:
 そうそう。

山路:
 今の無理な働き方を維持するために、この受験の仕組みをいじるって本末転倒なことをするのは……。コメントでも、「医者になるのが何故難しいのか。」というものがありますね。

小飼:
 そうなんですよね。だから当の医者のみなさんに聞くと、あそこまで難しい試験はいらない代わりに手の器用さとか見て欲しいと言っていて。

 知識に関しては、今やAIに敵わないわけですよね。

山路:
 いろんな病原体を判明するエキスパートシステムみたいなのも、それなりの役割を果たすようになってきているでしょうからね。

小飼:
 はい。今やシステムの一部なんですよ。だから、かつては本当に、今でも医療というシステムの中の中核ではあるんですけども、システム全体に占める割合というのは減っているわけですよね。

山路:
 今回の東京医大の受験のシステムを、もっと公正にやった場合、医者の働き方が変わる可能性はありますかね? つまり、女子が夜勤に向いていない、出産があるから男子ほどキャリアを積みにくい、みたいなところというのが、女子受験生の一律減点の理由にあると言われてますよね?

小飼:
 でも医者というのは、傍から見ていても、ものすごく働き方の幅が広いところですよ。

山路:
 海外とかだと、優秀な医者というのは、流しの職人さんみたいな感じで好きなところに行って。

小飼:
 日本でも結構いますし、実はパートタイムで、アルバイトで働いている女医さんとか結構いて、そういう方々というのは、統計から漏れていたりもするんですよね。

山路:
 意外に自由な働き方はできるというわけですか。

小飼:
 はい。統計上は専業主婦なんだけれど、実は結構バイトしているという方というのもいらっしゃるわけですよね。

逆性差別奴隷扱いされている男性も怒るべき

小飼:
 だから男性も怒るべきなんです。なんで怒るべきかっていったら、過労死してもいいと思われているし、実際そうだから。

山路:
 コメントでもありましたね。「男は奴隷だと思われている」みたいな(笑)。

小飼:
 そうそう。女医さんが過労死させちゃったり、鬱にさせちゃったりしたら、社会問題になっちゃうけども、男の医者が過労死したら、「それは名誉の戦死だ!」みたいな。

山路:
 (笑)。それは逆性差別なんじゃないかという話もありますよね。

小飼:
 本当に逆差別なんですよ。1つ注意が必要なのは、この場合、「だから日本はダメなんだ」は、ないんですよね。少なくとも医療に関しては、結果だけみれば日本は大変よろしくやっているんですよね。

 まず、医療にかけるお金というのは少なくて済んでいる。アメリカの半分強くらいですかね。だけど、アメリカは日本よりも平均寿命は短く、健康寿命も短く。

山路:
 でもそれって、日本の医師とかがすごいこき使われているから、それが出来てるっていうことでは……。

小飼:
 それだけではないんですよ。総合力なんですよ。だから国民健康保険があるでしょう。日本人はアメリカ人ほど暴食もしない。これが結構デカい。心臓系の病気というのは、日本は少ない。日本人の死因で一番デカいのは癌ですけれども、国民のみなさんが肥えてるところというのは、圧倒的に心臓なわけですよ。

山路:
 アメリカは笑っちゃうくらい、国民の肥満率が高いですからね。

小飼:
 日本の医療が上手くいっているというのは、医師が過労死してしまう程、こき使われて献身しているというのも確かにあるんですけども、それは一要因に過ぎず、総合力なんですよね。国民健康保険があり、それぞれの日本人が割と健康的な肉体を維持している。

山路:
 じゃあある意味、こういった東京医大みたいなことをやっていても、それは日本の医療制度の維持が云々とか関係ないわけですよね。

小飼:
 だから、医師が頑張って、というのは、僕はただの患者に過ぎないので申し訳ないです。だけど、図に乗るなよと。

山路:
 1つの部品というか、重要な部品ではあるわけですもんね。

小飼:
 そうなんです。

▼下記バナークリックで番組ページへ、25:42~
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