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「死んだら世界のものでいい」…オープンソース開発者・小飼弾が疑問視する“著作者死後”の著作権の実態

 6月29日、米国を除く11カ国が署名した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の関連法が参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立しました。

 これを受けて、7月2日の『小飼弾のニコ論壇時評』で、小飼弾氏山路達也氏が、アメリカ不在の著作権協定について、議論を交わしました。

左から小飼弾氏山路達也氏

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アメリカ不在のTPPに「ミッキーマウス保護法」が入っている理由

山路:
 TPP11の関連法案が日本国内で成立、年内にも発行と、そして、著作権ルールなどの変更が行われることになっています。

小飼: 
 というよりも、TPPからアメリカが抜けたのに、アメリカの要求で入れていた著作権が入っているというのは、間抜けにも程がある。

山路:
 著作権の観点から言ったら、作者の死後50年のところというのが70年になるんですよね?

小飼:
 はい。実はアメリカでも、70年にする際、「ミッキーマウス保護法」【※】と言われて、反対があったんですよ。

※ミッキーマウス法
著作権延長法を揶揄(やゆ)する俗称。 著作権の保護期間の延長について定めた米国の法律。

 そもそも死後50年というのが長過ぎるわけで、死後というけれども今、世の中には寿命というものがないことになっている法人というのもございまして。もし、適用が法人の場合となれば、ほぼ永続的に。

山路:
 著作権を法人が持つことが出来る?

小飼:
 日本の場合は、基本、根源的には自然人に帰属するんですけれど、米国とかでは自由に譲渡も出来ますよね。

山路:
 そうか、それこそディズニー社が著作権者であるということになったら、永遠に企業が持つことになる

日本と海外では、著作権の考え方が違います

小飼:
 著作権といいますけれども、英語のCopyrightと日本語の著作権というのは、根源的なところで違っていたりして、かなりビビりますよ。例えば、Copyrightというのは、直訳すると「複製権」ですよね。だから、あくまでも利権ですし、それは人に売れるワケですよ。

 日本の場合、著作権というのは作った瞬間に発生して、特に登記とかして、アピールしなくてもいいんですよ。ある意味、作者と不可分なんですよね。日本でいうとこの著作というものは。

 それでどんな時に問題になるかといいますと、これオープンソースの世界でも問題になるわけですよ。あれも当然著作物ですから。

山路:
 この著作権については、アメリカがTPPを抜けたのに、主張どおりに50年から70年に延ばされたというのは、アメリカがまた再加入することを期待してのことということなんですかね?

小飼:
 そもそも死後70年って、本当に誰得感はあるんですけれども。70年前は、コンピュータはあったけれども、インターネットはなかったですよね。

山路:
 コンピュータも普通の人は使ってないですよね、そんなの(笑)。

小飼:
 真空管ですよ。

山路:
 弾道計画に使っているレベル。

小飼: 
 それほどの長きにわたって、しかも死後、こういう権利を言わんとするというのは、ハッキリ言って、前前前世紀の話か! という感じがします。

敬意から離れ既得権益化していく権利

山路: 
 そう言うと、ロマンティックな話になってしまいますね(笑)。しかし、50年経っても利益、それで印税が発生して遺族がどうのこうのみたいな作品って。

小飼:
 本当にごく僅かで、そういった作品と言うのは、結局のところ、誰が牛耳るのかと言ったら、ディズニーみたいな企業なわけです。

山路:
 それ以外のものって、もうみんなに公開しちゃって、自由に使えるように。

小飼:
 死んだら公のものでいいと僕は思います。だからあくまでも利権が欲しいというのであれば生きているうちにやれと。

山路:
 ちゃんと稼ぎたいんだったら、ちゃんと利益みたいなものを生きている人が取れ、というふうな。

小飼:
 だから死んだら世界のものでいいと思いますよ。

山路:
 まあなんか相続税と同じような考え方ですよね。相続税は100%にして、余った分は国家のものに。

小飼:
 だから、相続された著作物からの上がりというのには、100%税金をかければいい。

山路:
 (笑)。なるほど。「残された家族が許さないんじゃないの?」(コメント)うーん、そうだな。

小飼:
 その残された家族を、僕らが許さない。「お前、何の権利があって、自分が創ったわけでもない作品に対して権利を主張するんだ?」と。

山路:
 遺産相続みたいな。ああ、「それを政治家がやるか」(コメント)というのは、そういう方向に政治家が後押しをするかって言うことですかね?「著作権の証券化ってどうなったんですか」(コメント)そういう話もあったんですか?

小飼:
 これもまさに、ワールドカップと同じゲームとルールですよ。今、著作活動というのは、面白いにも関わらず著作権を巡るルールというのは、クソゲーなんですよ。

山路:
 そういう上手くサッカーのことで絡めるなら、参加するみんなが面白くなるようにルールを作っていこうという。

小飼:
 そういうことです。

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