“肉の防波堤”とは? 米兵から日本の女性を守る国策──学校では教わらない敗戦&売春の真実に迫る【性風俗シリーズ第2弾】
大量レイプを食い止める策「肉の防波堤」
中田:
これが、毎日新聞に出された広告ですね。「救国特別女子従業員募集。衣食住高給支給。前借にも応ず。地方よりの応募者には旅費を支給すか。特殊慰安施設協会」と。場所は、東京都の、今の歌舞伎座ですね。
ニポポ:
そこで、面接かなにかあったんですか?
中田:
そうですね。銀座に募集広告が出され、日本全国で、実に5万5千人が集まったんですよ。RAAの施設というのは、日本全国にあります。
ニポポ:
そうか、そこから派遣されるわけですね。
中田:
東京、横浜、江の島、熱海、箱根、大阪、愛知、広島、静岡、兵庫、山形、岩手。このRAAのために、最大で5万5千人の売春婦を集めたんですよね。
ニポポ:
すごいな。この子たち全員に、さきほどの350円を払っていく。
中田:
巨額のお金は、もう「大蔵省も出す」と。
ニポポ:
これ、ちょっと。教科書に載せたほうが良くないですか?
中田:
RAAは教わらないんですよね。
ニポポ:
これ、みんなもうちょっと知ってもいいんじゃないかと思いますけどね。
中田:
ちなみに、女性兵士用に、男の慰安夫も存在したんです。
ニポポ:
女性兵も性の不満による発狂があるんじゃないかと。
中田:
だから、女性伍長専用の慰安夫が存在していた。
これは、給料は大変良かったんだけど、肉体的には過酷だったという証言が遺されています。
ニポポ:
そうですよ。当時はバイアグラとかないですから、起て続けなければいけないというね。
中田:
ところが、このRAAというのは、1年で終わってしまうんです。
ニポポ:
1年しか存続期間がなかったんですか?
中田:
そうです。なぜだと思いますか?
ニポポ:
これだけの巨額のプロジェクトがお金が続かなかったんじゃないかと。
中田:
いや、金は潤沢にありました。「いくら使っても構わない」というプロジェクトですから。
ニポポ:
なのに1年で終わる。
中田:
理由は「病気」です。ひとりが20人以上相手するという状況下では、性病の蔓延は免れなかったんですよね。
ニポポ:
なるほど。ちなみに避妊というのは、どういう感じやっていたんですか?
中田:
一応避妊具はありました。だけど、兵士に乱暴に扱われてしまって。
ニポポ:
そんなものいらない、と。
中田:
というケースもあったでしょうね。あとは、避妊具にも粗悪品があったんですね。
中田:
そこで、連合国軍最高司令官総司令部、通称GQHが、RAA施設に対して立ち入り禁止を命じました。なぜかというと、病気もらってきてしまうから。
これは、いわゆるRAAがあったという痕跡ですね。
ニポポ:
なるほど。でもこうなっちゃうと、もう肉の防波堤は崩壊してしまいませんか?
中田:
そうですね。その結果、GHQが「売春はもうダメだよ」と主導するわけなんです。
ところが日本政府は、売春施設のメリットとして、戦争未亡人の働き口についてや、治安風紀の問題から、「ある一定エリアでの営業許可はしてもいいだろう」とした。これが、現在の「赤線」につながっていくんですよね。よって、このRAA施設が、そのまま赤線施設になっていくんですね。
ニポポ:
なるほど。
―性風俗シリーズ―
【第1弾】
「性風俗」を語りませんか? 遊郭、ちょんの間etc..「花街の歴史」を貴重な写真とともに振り返る【性風俗シリーズ第1弾】
【第3弾】
トルコ風呂、おスペ、バイオレンスetc…現代性風俗の前身となった“性的サービス”発展の歴史【性風俗シリーズ第3弾】
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