日本でキャッシュレス文化が広まるとどんな良いことがある?→「会計の時短化」「帳簿を書かなくても良くなる」
なぜ、日本人は現金にこだわってしまうのか? 総務省から「キャッシュレス化推進に向けた国内外の状況」という資料を読み解いていくと、今の日本の経済状況がわかってきます。
6月4日の『小飼弾のニコ論壇時評』にて、小飼弾氏と山路達也氏のふたりが、日本のキャッシュレス化を推進することで得られるメリットについて議論しました。
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現金決済もインフラ維持に1.6兆円
山路:
キャッシュレスを進めた方がいいのかというデータも、資料で出ていまして、現金決済インフラを維持するために、年間約1.6兆円を超えるコストが、直接コストが発生しているという。
小飼:
そう、だから実は現金の決済というのも、ただじゃないんですよ。
現金を扱うレジというのは、なかなか立派なガタイをしてますよね。だから、そういうのも買わなければいけない。で、現金が集まったら、警備員をつけて運んでもらわなければいけない。みなさんも時々見ませんか? ALSOKとかSECOMとか、警察官よりも、いかつい格好をした現金を運ぶ人たちがいますが、そういう人たちもタダじゃ現金を運んでくれませんよね?
山路:
ここの資料には、1.6兆円の内訳というのが書かれているんですよね。ATMの設置などの費用が4120億円、ATMを運営するのが1460億円、警送会社委託費、要はATMの現金とかを輸送したりするのが1400億円とか色々書かれているんですけど、一番大きいのが現金関連業務人件費、レジ打ちのところで5000億円かかってるという。
小飼:
ああ、それはどういうふうに計算したのかというのを見たいですけれども、これは、昼食時のコンビニに行くだけでも実感できますよ。キャッシュレスで決済している人というのは、「いくらです」と言ったら、ピッで終わるんですけれども、現金の場合というのは、お札出したり小銭出したりで、かなり時間がかかっている。
山路:
うんうん、そこのところの手間も時給換算。
日本人は「時間はタダじゃない」ことを自覚するべき
小飼:
日本人のキャッシュが好きな理由というのは、自分の手間暇というのをお金に換算しない。現金決済のコストはタダだと思っている。時間はタダだと思っている。これが結構大きいんじゃないかなと。
山路:
それは払う方も受け取る方もということですね。
小飼:
そうです。「時は金なり」が徹底してない。日本がなかなかキャッシュレスにならないというのは、キャッシュレスにする必要がないからというのが、一番大きいと思います。なんでキャッシュレスにしなくていいかっていったら、現金を放置しても盗まれない治安の良さもあると思います。
山路:
じゃあ日本のキャッシュレス化が進むとしたら、もしかしたらインフレが、その契機になるかもしれない。
小飼:
だからインフレであれば、投資した方が有利というよりも、現金で持っておくと、それだけで目減りしちゃうのと同じことですよね。で、治安を悪くする。
山路:
それは嫌だな(笑)。
小飼:
3秒ルール。現金を外に置いてから目を離して……3、2、1、あっ! ない!
山路:
(笑)。
小飼:
そういう国になったら、嫌でもキャッシュレス化が進むでしょうね。
山路:
それは暴論だな(笑)。
消費者と小売店に明確なキャッシュレス化のメリットを
小飼:
キャッスレスであれば、帳簿の作業というのが楽になると思います。現金決済の場合は、自分の手で帳簿に転記をしなきゃいけないですが、クレジットカードとかであれば、少なくともCSV、ものによってはExcelスプレッドシートをそのままダウンロードできるので、何も入力しなくていい。
山路:
私が使っている経理ソフト、CSVでデータ落としてまとめて入れようとしたら、CSVの機能を使うには「月額100円プラスかかります」と言われたんですけど(笑)。
小飼:
あざとい。結局、日本でキャッシュレスが普及しない理由は、消費者にメリットがないからなんですよ。キャッシュレスを進めたいのであれば、やっぱり日本人が現金の次に好きなものといえば、ポイントじゃないでしょうか?
山路:
ああ、そういうところでもっと誘導していくというか。
小飼:
それのかなり極端な例として、高速道路のETCがありますよね。今、高速道路の料金というのを現金で払おうとしたら、すごく高いわけですよ。
山路:
そんなに違うんですか?
小飼:
各種割引を受けるためには、ETCが必須なんですよね。そのやり方をすればいい。モノの値段も、現金で決済した場合と、キャッシュレスで決済した場合というのを変えればいい。今はクレジットカードを使うと、クレジットカードの手数料を引かれちゃうから、あまり小売店とかも入れたがらないんですけども、むしろ現金の方が高くなるという設定にしちゃえば、スルスルと進みますよ。
山路:
それこそスーパーとか、現金の決済よりも電子マネー専用のレジを置いた方が、人件費が安くなると思うんですけど。スーパーみたいにレジ打ちが多い小売業というのは、本当に安くしても利益が出るんじゃないのと思うんですけどね。
小飼:
今レジ打ちって言いましたけど、コンビニしてもスーパーマーケットにしても、今は手で打たないでバーコードでピッとやっているわけです。最後の現金決済の部分というのに手がかかっていて、とても時間がかかる。
山路:
意外にみんな余裕があるということなんだろうか? 「最近は無人レジ増えてきたし嬉しい」とコメントしている人もいますね。
小飼:
でも現金数えるのって、ウザいじゃないですか。
山路:
「日本は後進国って言いたいだけだろう」(コメント)どうなんだろうな。
小飼:
そうとは言えないです。というのも、究極の後ろ向きキャッシュレスといえばベネズエラ。
山路:
(笑)。
小飼:
そうそう、輪転機を回せないから、仮想通貨で決済しようという。わけがわからないよ(笑)。
山路:
仮想通貨だってそれなりに運営費とかかかるだろうに(笑)。電気代とか。
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