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休日、残業代などの規制を無くす恐怖の法案「高度プロフェッショナル制度」はなぜ立案されたのか。「小泉政権を支持した当時の有権者が原因」

詐欺師は、人の前にまず自分を騙す

山路:
 竹中さんも、このクローズアップ現代では、肩書きが東洋大学の教授になってたんですけども、ほかに重要な肩書きが抜けてたんじゃないかっていう(笑)。

小飼:
 そうそう。人材派遣会社の会長という、もっと大事な肩書きが抜けていたと。

山路:
 私は、最近その竹中さんと、経済学者の大竹文雄さんの『経済学は役に立ちますか?』という対談本を読んだんですけど。

小飼:
 経済学は役に立ちますか? 僕も経済学は役に立つかどうかはわからないけれども、竹中さんが役に立たなかったという実証は出ていますから。

山路:
 ディスるな(笑)。私がこの本を読んで、ここで言っている竹中さんの建前というのは意外に賛同できるところもあったりするんだけれども、結局、やっていることが全然違うというところもかなりあるんですよ。

 この本の中で、竹中さんは、「ヒアリングの対象になるような人たちがポリシーボード【※】の中に入っているのは問題です。露骨に言えば、被告人が陪審員の中に入っているようなもので、それが日本の霞が関の制度です。こんなことをしてはいけないのに、日本のポリシーボードでは、まさに利益相反が平気で行われている」と言っているんですよ。

※ポリシーボード
日銀政策委員会の通称。総裁、副総裁二名、審議委員六名で構成される、日銀の最高意思決定機関。

小飼:
 竹中さん自身が一番まずいよね。あんたはどうなの? という。

山路:
 あんたはどうなの? と、本を読んでて思いっきりツッコミたくなったりして、それは、さすがにどの面下げてというふうに思いましたけどね。「詐欺師はいいこと言うからね」ってコメントが付きましたけれども(笑)。

小飼:
 いや、でも、竹中さんレベルになると、自分を騙した上に、それに気が付かないという、そういうレベルだと思いますよ。その意味では無敵の人だと思います。本当に日本のためにいろいろ画策して、日本のためになったと、御本人は思っていると思いますよ。

山路:
 そういうデメリットを受けている人というのが、あんまり見えないっていうことなんですね。

小飼:
 そうそう。

山路:
 コメントで、「竹中さんは全部計算してこうなったのかな?」って書いてありますけど、彼は計算していたんでしょうか?

政治学者、竹中平蔵

小飼:
 彼は自分を信じていたと思う。

山路:
 なんかJ-POPの歌詞みたいな感じですね(笑)。

小飼:
 まったくその通りで、「政権にこうしなきゃ駄目だ。こうしなさい」と竹中さんが言ったことは通っている。なのに実際問題として、日本は成長していない。ここは、狂っていると思う。

山路:
 ああ。

小飼:
 でも、自分信者の竹中さんからしたら、ほぼ100%、竹中さんの言う通りに日本政府はやってきたんだろうけど、竹中さんの立場から言えば、あれは、まだ聞いていないじゃないかと。こういうのも何ですけれども、「労働者がいっぱい過労死して、路頭に迷っても、GDPさえ上がればいいじゃん」という考えはありうるわけで、実際に中国は、それに近い考えで、犠牲者はいっぱい出たけれども、成果は得た。日本は、犠牲者はいっぱい出ているけれども、成果は上がっていないわけですよ。

山路:
 本で竹中さんは、「現実の政策と経済学の間には大きな「隙間」があるということです。実際の政策を決めるには、政治的な過程を経なければなりません。国民の支持が必要で、その意味で大衆心理も無視できません」と言っています。

小飼:
 竹中さんは経済学者かもしれないけども、政治学者ですね。12割くらい政治学者で、マイナス2割くらいが経済学者なんじゃないかな?

山路:
 (笑)。

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