HUNTER×HUNTER「グリードアイランド編」の名シーンをおさらい。ビスケとの出会い・レイザーとドッジボール・恋愛を語るヒソカ
実は使い捨てているのはキャラクターではなく……
岡田:
こういうオーラ攻防力というグリードアイランドで出てきた面白い設定にみられる、『HUNTER×HUNTER』の魅力の一つは、「同じものを2回見せない」ということなんですね。だから前回言った、「なかなか全力で戦わない」というのは、全力で戦ったキャラクターはそこから先はいなくなるか、もしくは解説役に落ちてしまうという設定がある。
実は『HUNTER×HUNTER』でこれから伸び代があるのは、レオリオなんですよ。レオリオって実は1回も全力戦闘をやっていない。これからもまだまだ、レオリオが活躍する幅があるんですね。それに比べて、クラピカは対ウボォーギン戦で全力戦闘をやっちゃたもんだから、あんまり活躍の場がない。
キャラクターの使い捨てが激しいんですけど、それ以上に激しいのが、設定の使い捨て。1度充分に出した設定は1回で使い切って終わっちゃう。『HUNTER×HUNTER』っていう漫画は何がえげつないかっていって、1回出して、読者を驚かせた設定は2度と使ってくれない。なので、ものすごい面白いオーラ攻防戦というのは、対ゲンスルーの時に、どの腕をどれくらいのオーラでカバーするかっていう戦闘シーンで散々使ったので、実は次の「キメラ=アント編」では1回も出てないんですね。
「キメラ=アント編」ではそれに代わって、オーラ総量が何万オーラあるのかとか、どれくらい使ったのかという新設定が出てきたんですけども、この新設定も、もう使い切っちゃったんで、それっきりで終わってしまう。十二支んも会長戦でほぼ全員の魅力は途切れ途切れに出しちゃったんで、これもここから先は解説員に降りてくる、と。
連載再開する『HUNTER×HUNTER』は、どうやって暗黒大陸へもっていくんだろうか、そして話が進むにつれて、設定を使い捨てていくから、『HUNTER×HUNTER』っていう漫画は、最後にどうなってしまうのか全く読めない。今のところ、カキン王子たちの“念獣”というスタンドみたいなのが出てきているんだけどね。それも新しい設定なんですけど、どれくらい面白いのかちょっとまだわからないところがあるんですね。
グリードアイランドのテーマパーク化!?
岡田:
愛知県にジブリパークを作るっていうニュースがあったじゃないですか。リアルな建物とかを作るテーマパークってね、なんかもう古いというか……やってもしょうがないと思うんですよね。
もし僕が今テーマパークを作るんだったら、このグリードアイランド編をVR技術でやるのが一番面白いんじゃないかなと思う。現実世界のそのままに、「ブック!」とか「ゲイン!」とか言って、目の前に本を出してカードを選んで、その能力をやると相手のVR内に影響して、その物事が起きるというふうなものは、ゲーム化できる。
そういうふうにした方がひょっとしたらジブリパークもいけるかもわかんないし……どちらかというとグリードアイランドというのは、本当にゲームにしてみたら面白そうかなというふうに思いました。
とにかく次回の「キメラ=アント編」がすごいことになりそうなので、「グリードアイランド編」はさっき見せたビスケのセリフの戦闘考察力とかオーラ攻防力の移動あたりが僕としては一番面白かったんですけどね。
読者によっては、例えば恋愛都市アイアイというところへ忍び込んだら、そこでの恋愛の攻略の仕方をヒソカが語る、というエピソードが好きな人は多いと思うし(笑)。僕はドッジボールで対決するあたりが好きでした(笑)。