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WELQ問題の火付け役と騒動を振り返り、1年以上経った今、Webメディアはどんな影響を受けたのか考察【話者:中川淳一郎・ヨッピー・朽木誠一郎】

「WELQ」問題を経て、Webにおける健康情報はどう変わるか? 次なる舞台は……お金系!?

中川:
 朽木さんはWebメディアにおける医療情報や問題に対してメスを入れたわけじゃないですか? 今後はどういう活動をしていきたいと思っているんですか?

朽木:
 一つは、ネットで自浄作用が働いたという事実をもっと知ってもらうために広げていきたいです。ネットで“情報が正しくないと読まれない”ように風向きを変えることができたのは大きいと思うんです。どんな怪しい情報でも読まれる、つまり広義で「売れる」から適当な記事が量産され、そして人々に読まれていたという状況があった中で、正しい情報こそ読まれるべきだとGoogleはアップデートによって示してくれました。もちろん、ネットにはまだまだウソや不正確な情報も多いですが、少なくともそれを変えようという機運が大きな存在に届いたわけです。

 一方で、他のメディアではまだ、「売れる」情報ばかりが重視され、自浄作用に乏しいように、僕は感じています。「正しくないと売れない(読まれない)」というような流れを他のメディアにも広げていきたいです。

ヨッピー:
 「WELQ」によって、似たようなサイトがドミノ倒しのように閉鎖していったことも良かったし、自浄作用が連鎖的に働いた結果ですよね。

中川:
 今回のGoogleのアップデートって、医療系に特に力を入れて改善したんですか?

朽木:
 そうです。

中川:
 ということは、他のトレンドブログみたいなものに関してはスルーということですよね?

ヨッピー:
 そうなんじゃないですかね。でも、次は……まだ不確定ですけど、投機とか仮想通貨とかお金に絡んだ記事に対してレギュレーションが変わるんじゃないかって言われてますね。

朽木:
 元々、Googleは「Your Money or Your Life」、つまりお金と生命にかかわる領域はちゃんとやります、厳しく評価します、と謳っていたのに、そうではなかった。その結果、「WELQ」のような問題が発生してしまいました。

ヨッピー:
 Google検索でお金にまつわる事例、例えば投資とかクレジットカードとか保険などを調べると、本当にろくな情報にあたらない!(笑) どんなクレジットカードがいいのかなって調べると、アフィリエイトサイトしか出てこないっていう状況ですからね。何が信用できる情報なのか全然わからない。

中川:
 お金のことは、お金持ちに聞くのが一番間違いない(笑)。

朽木:
 あともう一つ。今後という意味では、私自身は、個として立たなくていいと思っています。Web上で問題のあるサイトが見つかったとき、きっといろいろな人が指摘すると思うんです。それをしっかり検証することで、問題が認知されていく、私はその機能になりたいんですよね。
 それができるのが記者であったり、ライターであったりする、というだけで、別に「朽木誠一郎」である必要はありません。むしろ、問題はなくなった方がいいのだから、自分なんて必要なくなるように、仕事をしていきたいです。

中川:
 たしかに。

朽木:
 それができれば、結果的にクソメディアがなくなる世の中になっている……はず。私自身は、そういう立場として良い記事やWebメディアというものを作っていきたいですね。

社員としてできること、個人としてできること

中川:
 朽木さんは、現在BuzzFeed Japanに所属している社員じゃないですか? 社員でいながら、今回自身初となる書籍を発刊されましたが、今後、所属している社員としての仕事と、自分のやりたい仕事との折り合いを、いかにしてWebというメディアの中で行っていくつもりなのか教えていただけますか?

『健康を食い物にするメディアたち – ネット時代の医療情報との付き合い方』 (著:朽木誠一郎)
(画像はAmazonより)

朽木:
 僕は、独立してフリーランスで活動したいとは思いません。会社員でいる方ができることが多いと思うので。

ヨッピー:
 たしかにBuzzFeed Japanって、なんかすごい楽しそうですもんね。各分野の個性的でイケている記者やライターばっかり集めてきて、インターネット界のギニュー特戦隊みたいになってるもん(笑)。

朽木:
 ハハハハハ!

中川:
 俺らみたいなもんのところに、こんなBuzzFeed Japanのエース級の記者が来てくれてね。本当に申し訳ないやら、ありがたいやらですよ!

ヨッピー:
 ホントですよ!

朽木:
 いやいやいやいやいや。こちらこそありがとうございました。まさかこんなにお二人の空間がコンプラのない世界【※】だと思わなくて、ハラハラし通しでしたが、個人的には私も楽しかったです(笑)。

※編集部注
番組ではこの他にもかなり自由な発言が飛び出していた

中川:
 ということは、また来てくれるんですね!?

朽木:
 呼んでいただけるなら(笑)。インターネットは、お二人のような大先輩がいるからこそ面白いと思うんですよ。私自身、形は違うかもしれませんが、インターネットの良い面を作り出していけたらと思っています。

中川:
 なんて殊勝な人だ! こういうデキる人がWebメディアから登場していることこそ、何よりもWebメディアにとって明るい話題だと思いますよ。ニコ生をご覧の皆さん、まだまだWebメディアに絶望するのは時期尚早ですよ!

ヨッピー:
 ありがとう朽木さん! 

中川:
 また来てくださいね!

朽木:
 こちらこそありがとうございました。

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