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『バーチャルYouTuber』を見て思ったんだけど、“AIによる人類の支配”って軍事力でなくエンタメによって行われる可能性あるよね?

 毎週日曜日の夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。
 12月31日大晦日に行われた放送では、年越しスペシャルとして「2018年ではなく、さらにその10年後の2028年の世界はどうなっているか?」という未来予想が行われました。


 10年後のアイドル、10年後のAmazon、10年後のニコ生と、大胆に予想を行った岡田斗司夫。この中で、動画サイトを中心に人気を集め、広告収入を稼ぐ、いわゆる“ユーチューバー”は10年後には生き残れないとの自説を語りました。

岡田斗司夫氏

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10年後の世界では現在のユーチューバーは生き残っていない

岡田:
 今年も、ユーチューバーの方々から愉快な不祥事が一杯出てきました。

 例えば、ヒカルくんという人のVALU事件ですね。ネット界のインサイダー取引みたいに言われたんですけども、そんな事件と、それに対する謝罪というのがありました。
 あとは、はじめしゃちょーの不倫疑惑とか、その謝罪事件とか、いろんな炎上がありました。

 ただ、そんな中でも、いまだに小学生の「将来なりたい職業ランキング」の上位には、ユーチューバーというのが挙がっています。同様に「これから、まだまだユーチューバーはいける!」と思っている人も、すごく多いと思うんですね。

はじめしゃちょー
(画像はWikipediaより)

 現在、ユーチューバーと呼ばれる人には、いろんな人がいます。これが、10年後の世界ではどうなっていうのかというと、僕、正直、誰一人として生き残らないと思っています。

 この「誰一人生き残らない」というのは、もちろん、「死んじゃう」という意味ではありません。今のようにお金が入ってきたり、成功したりというふうなことは、ゼロとは言いませんけれども、今現役でいる人達は全て終わってしまい、新しい人がポツポツいるような状態になるんじゃないかと思ってるんです。

自動翻訳が言語の壁を破壊する

岡田:
 なぜかというと、思ったよりも早くGoogleの自動翻訳が言語の壁を壊しているからなんですね。ピコ太郎が世界中でヒットしたように、現に今のYouTubeでも、言語の壁と関係のないものであれば、どこの国の人が作ったかは関係なく、僕らは楽しんで見ることが出来るんです。

 例えば、ロシアに隕石が落ちてきた映像とかは、昔だったら、日本のテレビ局が放送するまで見ることが出来なかったんですけど、僕らは今やニュースのソース映像そのものをツイッターなどを通して見ることができる。そんな時に、「それが元々、どの国で配信されたのか?」っていうのは、あまり関係がないですよね?

 それと同じように、ピコ太郎のような、言語に関係がないような芸であれば、世界中の人が楽しめてしまう。

※ピコ太郎氏のビデオを引用したジャスティン・ビーバー氏のツイート。全世界で起きた大きなブームのきっかけのひとつとなった。

 そして、この自動翻訳の技術というのが驚くべき速さで進化しています。今はまだ、「iPhoneみたいなものに喋りかければ、1秒後か2秒後くらいに翻訳を言う」というくらいの性能なんですけど、そろそろ、ついに自然言語に対応が出来るようになってきている。

 今年から日本でも発売されて、来年には普及されるであろうAmazonの“Echo”とか、スマートスピーカーなどがありますよね? あれが普及することで何が起こるのかというと膨大な言語データが蓄積されることになるんですね。

 家庭に置いてあるスピーカーに向かって「コカ・コーラを注文して」と喋りかけると、Amazonからコカ・コーラが届くというのがAmazon Echoの機能なんですけども、これが何のための物なのかというと、通販だけでなく、「個人個人がどのように日本語を喋るのか?」というデータ蓄積を目的としているんですね。

Amazon Echo
(画像はAmazonより)

 (「つまり、英語を勉強しなくてよくなるのか!?」というコメントを受けて)いや、本当にその通りなんですよ。

30年後の未来では人は他人と会話をすることがなくなる?

岡田:
 たぶん、将来的に、僕らが英語を勉強する理由というのは、「英語的な思考法を知るため」というだけになるんですね。

 いわゆる「女心がわかる」とか「男心がわかる」のと同じように、「アメリカ人心がわかる」、「イタリア人心がわかる」と、それだけの理由になっちゃうんですよ。僕らが、女言葉を学ばなくても女の子と話が出来るように、英語を学ばなくともアメリカ人と話すことが当たり前のようになると思います。

 だからといって、アメリカ心がわかるようになるかというと、それは僕らが日本語を流暢に話せても女心がわかるわけではないのと同じように、「アメリカ心はわからん!」「イギリス心はわからん!」という問題は相変わらず残ります。

 これを克服するようになるのは、10年ではなく、おそらく20年から30年の期間が必要でしょう。それくらいのスパンで考えれば、“パーソナル・エージェント”というのが個人個人に配属されることによって、そういう問題が解決されると思っているんですけど。

 これは、まあ、20年30年後の予想ですから、細かいことは将来に置いておきましょう。とりあえず、「個人個人のコンシェルジュみたいなものだ」と思ってください。

 「他人と喋る」などというストレスフルなことを、もう30年後くらいの人間はやらなくなるんですよ。

 他人に伝えたい事がある場合は、全て、話しやすいようにまず自分のパーソナルアシスタントに言うと。するとそのパーソナルアシスタントが相手のパーソナルアシスタントに話して、その相手のパーソナルアシスタントが伝えたい対象の人にわかりやすく説明してくれる、というふうになるのだと思います。

 執事を介しての話し合いと言うんでしょうかね? 「まずは営業マンを通しての話し合いで、トップ同士が話すのは最後」みたいな。20年後、30年後は、そういうふうになるんだと僕は思っているんですけども。

岡田:
 とりあえず、10年くらいの範囲で考えると、言語による壁というのが、次第に溶けてなくなっていく。たぶん、「完全に溶ける」ということはないんですよ。マイナーな言語なんかは、なかなか溶けていかないんでしょうけども。

 10年後の時代に、日本語がどれくらいメジャー言語かと言うと、「1億人程度にしか話されていない」という不利さはあるんですが、「豊富なコンテンツがある」という有利さもあるんですよね。

 おそらく、その頃の日本人は、「漫画やアニメをやってて良かった!」とか「アイドルソングをやってて良かった!」としみじみ実感することになると思います(笑)。というのも、そういった“強いコンテンツ”をあまり持っていない国というのは、なかなか翻訳されにくいと思うんですね。

 たぶん、スウェーデン語とかそういう言語は、自然言語翻訳という世界では遅れていくと思うんですよ。なぜなら、みんなが理解したいと思わないから。「スウェーデン心」あまりわかりたいと思わないからですね。

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