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NVIDIA騒動は何が問題だったのか。 プログラマー小飼弾氏が解説「もうずっと昔から渋チン」

 12月20日、NVIDIA社が公式ツイッターにおいて「自社の製品であるGeForceはデータセンターにおける使用を認めていないが、大学の研究室などでの使用を妨げるものではない」という声明を発表し、波紋を呼びました。

 これを受けて、12月25日放送の『小飼弾のニコ論弾時評』では、小飼弾氏山路達也氏が、そもそもNVIDIA問題とは何かという点から解説を行いました。

左から、小飼弾氏、山路達也氏

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結局、NVIDIAはなにが問題なのか?

山路:
 NVIDIAの問題というのは、まずNVIDIAはいくつか製品ラインナップがあって、どちらかというとコンシューマ寄りのモデルがGeForce、データセンターなんかで使う高価で性能の良いモデルをTeslaといいます。

山路:
 それらNVIDIAのEULA(End User License Agreement。ソフトウェア利用許諾契約)というのが変わって、データセンターなどでは、コンシューマ向けであるGeForceというモデルを使うことが出来なくなったという理解でいいんですか?

小飼:
 そういうふうに変えたらしいですね。

山路:
 これに関して「どう使うのかをいちいちNVIDIAが言うことなのか」とか「高いモデルを売リつけようとして、規約を変えたんじゃないか」といった議論があるのですが、これはどう考えたらいいんですか? 例えば、GPUを買ってきて、それの使い方をメーカー自身が制約することはできるんですか?

小飼:
 実は、これは新機軸だというふうに言っていた人がいます。

山路:
 このNVIDIAのやり方をですか。

NVIDIAの制約は今に始まったことではなかった

小飼:
 リチャード・ストールマンがFSF【※1】を始めたきっかけというのも、プロプライエタリ【※2】なプリンタードライバでないと、プリントできないということで、そんなのおかしいと。俺はこの機械を買ったのに、それをどう使おうと俺の勝手だろうと。

※1 FSF
Free Software Foundation(フリーソフトウェア財団)。1985年、アメリカのプログラマー/フリーソフトウェア活動家であるリチャード・ストールマン氏によって創設された非営利団体の名称。コンピュータ・ソフトウェアを二次利用(コピー、配布、研究、変更、改良など)する自由をユーザー間に広めることを目的のひとつとする。

※2 プロプライエタリ
Proprietary(英)。「所有権・占有権のある」という意味の言葉。ここではメーカー独自仕様、規格を指す。

山路:
 FSFというのは、フリーソフトウェア財団のことですよね。

小飼:
 それが1980年代の話だから、ものすごい昔のことです。だからまわりまわって1周した感じがあります。ただ事態がちょっとややこしいなと思うのは、このNVIDIAの場合は、このドライバを使うしかそれを使う方法が、今のところはないということなんですね。

山路:
 NVIDIAが提供しているそういうドライバを使うしかない。別のオープンソースみたいなドライバは作れないでいると。

小飼:
 NVIDIAがそういったところに渋チンというのは、もうずっと昔からそうだったんですよ。リーナス・トーバルズは、NVIDIAに対して本当にずっと中指を立てていますからね。

山路:
 そんなに制約をつけんなよと。

小飼:
 それでも普通に本来のGPUとして使う、要はグラフィックスを処理するためのドライバというのは、オープンソースのものがいくつか出てきてはいますね。でもこの場合というのは本当にGPGPU【※】ですから。

山路:
 General-purpose graphics processing units。

※GPGPU
グラフィック処理を目的とする演算に使用されるGPUを、それ以外の目的のために応用する技術を指す。

小飼:
 GPGPUという言葉もまわりまわって変な感じはしますね。

山路:
 要は、本来だったらグラフィック描画を速くするためのGPUを、汎用な目的で使うのがGPGPUっていうことなんですよね。

小飼:
 ソフトウェアの世界でEULAがよく問題になるケースは、例えばWindowsとか、あとオラクルのデータベースとか、要はユーザーが直にそれを使うソフトウェアの場合が多いわけですよね。

 例えば、Windowsであれば、ほとんどのライセンスというのは、「パソコンAで買ったので、そのハードディスクを引っこ抜いてパソコンBで使うっていうのはだめよ」と、割とわかりやすいというのか、直に触れるもののライセンスなので、ユーザーも深刻度というのを捉えやすい。

 それに対してドライバというのはミドルウェアなわけですよね。

山路:
 ユーザーが普段意識しない、空気のようなもの。

小飼:
 考え方としてはファームウェアっていう言葉がありますけれども。

山路:
 ファームウェアとはハードウェアに元から組み込まれているソフトウェアのことですね。

小飼:
 ハードウェアに密接に関連するソフトウェアですよね。だから感覚としては、ハードウェアの一部じゃないかと思うかもしれないんですけれども、でもソフトウェアライセンスというのは、基本的に所有権が我々にはないんですよ。「使わせてあげている」んです。

山路:
 会社からしてみると。

小飼:
 だから「こういう条件のもとであればご自由にお使いください、ただし……」なんですよね。


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