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美しき衣装、圧巻の殺陣、そしてまさかの公開プロポーズ……世界34の国・地域が参加した“アツすぎる”コスプレ世界一決定戦を全力レポート

そしてWCSのメインイベント、チャンピオンシップが幕を開ける!

 さて、オアシス21特設会場に隣接する愛知芸術文化センターの大ホールでは、いよいよ「世界コスプレチャンピオンシップ」の予選ラウンドとなる「1st Stage」がスタートした。34の国と地域の代表ペアたちが、趣向を凝らしたオリジナルのパフォーマンスで競い合う。

 審査員席に並ぶのは「アラムナイ(卒業生)」と呼ばれる、過去のWCSで代表を経験した世界各国のコスプレイヤー21名だ。彼らが持つ審査基準はいろいろあるだろうが、審査員の全員に共通している価値判断は、そこにある「コスプレ愛」の大きさだろう。なぜって、それこそがアラムナイたち自身を名古屋の地に再結集させた、唯一にして絶対の理由なのだから。

 このチャンピオンシップ、1組2名の各チームが2分30秒のパフォーマンスを展開するが、コスチュームや小道具はおろか、舞台セットの大道具も、自分たちでの手作りを大原則としている。友人や家族に手伝ってもらうのはアリだが、市販の模擬刀などは一切が使用禁止だ。そのうえ、出場チームの入れ替わりに合わせてスタッフによる場面転換があるわけだが、その時間はわずか40秒間! そんな事情もあってか、大道具は最大3個で、1個が10キログラム以内。コスチュームまで含めた総重量は、ペアの合計で40キログラムまで。これ、かなり厳しいレギュレーションだ。

 そんな制約の中で、自分たちが愛してやまない世界観を、どう再現するのか……。シリアス、ロマンス、アクションからコメディやパロディまで、実に多種多様なアプローチで競う各国代表の熱意のほどは、ぜひとも「ニコニコ生放送」のタイムシフト視聴で確かめていただきたい。

甲乙つけがたい審査の間は「ナゴヤアニソンフェス2017」だぜ!

 全34ペアのパフォーマンスが終わると、コスチュームや演技から大道具、小道具、背景の映像や音楽までもが加点の対象となる、白熱の審査の時間。これ、すんなり決まるわけないよね? ということで大ホールの客席を埋めたオーディエンスのために用意されているのが、2014年から続く「ナゴヤアニソンフェス2017」とコラボレーションした「世界コスプレサミット15周年記念ライブ」だ。ただし……残念ながらこちらのライブは「ニコニコ生放送」では中継されず、したがってタイムシフト視聴でもお楽しみいただけない。なので(本当に少しだけ! )その興奮をおすそ分けしよう。

 この日のライブアクトは、全5組。初っ端に登場したのはいきなりの大御所、高橋洋子だ。セットリストも1曲目から『魂のルフラン』で、会場も当然のヒートアップ、客席はサイリウムの大海原だ。2曲目は世界トップクラスのダンサー二人を従えたパフォーマンス仕立ての『TENSIONS – Welcome To The Stage』で、毎回の戦闘シーンでお世話になった鷺巣詩郎の名作『EM20』に、見事に詞が乗る! そしてラストの3曲目は、もちろん『残酷な天使のテーゼ』で締めくくり。短い時間ながら想いの凝縮したパフォーマンスは、圧巻だった。いやあ高橋洋子さん、マジで上手いです、歌。

 続いて2番手に登場したのは、名古屋の現役高校生アニソンシンガー、17歳の亜咲花。元気いっぱいの歌声でライブの流れを加速させたのは見事だったけど、最初のMCの開口一番が「高橋洋子さんの次なんて……大変です! 」と、会場を笑いの渦に巻き込んだ。そりゃそうだよね~。

 さらにステージはMYTH&ROID、bless4へとバトンタッチされて(ここで長女のAKINOから今春の結婚の報告があり、会場は温かな拍手に包まれた)いよいよ大トリのALI PROJECTへ。

 この日の会場にも何組かいたであろうローゼンメイデンのコスプレを「自分たちこそするべきだとは思うけど、いつものツアーよりも衣装代がかさむので……」と話して笑いを取った宝野アリカだったが、WCSサミットの15周年を祝いつつ「私たちも25周年で……」とサラッと話したあたりには、ベテランの余裕を感じた。その間、声も姿もほとんど変わっていないことに改めて驚かされる、本当に息の長い人たち。

 そして『聖少女領域』の芳醇な余韻を残すうち、ステージはふたたびチャンピオンシップの緊張感に包まれていった。

翌日の2nd Stageへ駒を進めるのは17チーム!

 登場順に紹介を受け、キメのポーズを披露しながら、あるいはチームによってはちょっとした寸劇を展開しながら、各国代表がステージに戻ってきた。1st Stageのパフォーマンスを終えた全34チームの揃い踏みは、なかなかの壮観だ。しかしその表情を見ると、晴れやかな笑顔に混じって、結果発表を待つ身の緊迫感もうかがえる。何しろ2分30秒の短いパフォーマンスだ。みな、想いの丈を存分にぶつけることができたのだろうか……。

 ともあれ、まずはオフィシャルスポンサーからの特別賞が授与される。各賞のプレゼンターは、審査を務めたアラムナイたちだ。そして……最初に発表された「Air Asia賞」は、中国に!

次に「brother賞」は、フランスに!

 そしてここからが圧巻で、続く「LAGUNA TEN BOSCH賞」と「niconico賞」を、立て続けに中国がさらって、驚異のトリプル受賞だ!

 たしかに中国ペアのパフォーマンスは、舞台装置のアイディアやクリーチャーの造形も見事だったが、それ以上に演技が……というか、殺陣の動きがすごかった! そこそこ以上のレベルで武術を身につけたものにしかできないキレとダイナミズムの連続。高い評価にも納得の結果だが、それにしてもこれまでのWCSで、トリプル受賞なんてあったのだろうか……?

 そんな興奮の中、いよいよ1st Stageを勝ち抜いたチームが発表される。各国代表68人のドキドキが、客席にまで伝わってくる。

 進出チームが読み上げられるたび、ステージのどこかで歓声が上がり、感涙がこぼれ、祝福の輪が広がる。相互に健闘を称え合うその姿は、それぞれのコスプレ愛を認め合う瞬間でもあるわけだ。ああ、なんて美しいんだ、コスプレ!

 ……というわけで、2nd Stageに進出する17チームが発表されて、この日のドラマは終わった。

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