話題の記事

美しき衣装、圧巻の殺陣、そしてまさかの公開プロポーズ……世界34の国・地域が参加した“アツすぎる”コスプレ世界一決定戦を全力レポート

ディテール、ストーリー、そしてダイナミズム──運命の2nd Stageがはじまる。

 7月29日に開幕したWCS2017──世界コスプレサミットも、いよいよ本日がファイナル。世界の予選を勝ち抜いて名古屋に集結した34の国と地域の代表から、いよいよチャンピオンが選ばれるこの日、ただでさえ暑い名古屋がますます熱くなっているというのに、なんと大須の観音さまから商店街を1時間かけて練り歩くという大行列の「大須コスプレパレード」に、全代表チームと内外のコスプレイヤーたちが集結!

 その様子は「ニコニコニュースORIGINAL」の「世界コスプレサミット レイヤー写真まとめ」で確認できるが、中でも必見なのは、あの炎天下に完全着ぐるみコスチュームで参加した『鋼の錬金術師』のアルフォンス、実は香港代表チームのパフォーマンスだ。持ってくるだけでも大変なのに、超リスペクト! コスプレ愛は国境を越えるのだ……通関たいへんだったと思うけど。

 そんなWCSの9日間も最後の最後、愛知芸術文化センターの大ホールではヒートアップが続いていた。

 昨夜の1st Stageを勝ち進んだ17チームだけに、もう一度与えられた特別な2分30秒。2nd Stageのすべてが決まるこのパフォーマンスに、それぞれのチームの、それぞれの想いがあふれる。ここでは現場で感じたことを少しだけ記しておこう。というのも、それぞれのチームによってパフォーマンスの狙いにも大きな違いがあり、それがまた各チームの魅力的な個性になっていたからだ。

 『美少女戦士セーラームーン』を演じたミャンマー代表ペアは、とにかくセーラームーンが好きで好きでたまらない! という気持ちがよく表れた、なりきり度の高いパフォーマンス。これぞコスプレの王道、だ。

 『XXXHOLiC』を演じて特別賞の「brother賞」にも輝いたフランス代表ペアは、衣装や小道具だけでなく、セットから背景の映像、音響までトータルに構成された世界観の完成度が見事。これはもうコスプレというより舞台の1コマだ。

 『トライガン』を演じたメキシコ代表ペアは、原作のアメコミ感をフィーチャーしたガンアクションを披露。撃ち合いながらウェポンが巨大化していくプロットも面白かったが、実はセットの弾痕が、すごいギミックだった。最初はキレイだった表面にダダダダっと穴が空くのだが、射線から逃げてセットの裏に、という設定で回り込んだパフォーマーが銃声に合わせて、ピッタリとはめ込んであった壁のパーツを引き抜いていくと、セットの表面に弾痕が連続して現れる! まるで欽ちゃんの仮装大賞!

 ミレニアム版『ゴジラ×メカゴジラ』を演じたプエルトリコ代表ペアは、まあなんというか、もはやコスプレを飛び越えてトクサツそのもの。ディテールもすごいのだが、繰り広げるアクションの質も、ゴジラの重厚感や3式機龍のクイックな動きなど、実にマニアック。それでいてステージ上で紹介を受ける際には、照れ臭そうに鼻の頭をかく仕草を見せたり、まさに「ゴジラ」だった。

 そして『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を演じた中国代表ペアだが、昨夜の特別賞「Air Asia賞/LAGUNA TEN BOSCH賞/niconico賞」トリプル受賞で度肝を抜いたパフォーマンスは、クリーチャーの造形のディテールもさることながら、とにかくアクションがすごい。ワイヤーもスタントマンもなしでショートムービーが撮れそうなレベル。そして、この殺陣の完成のためにどれだけの痛みを乗り越えてきたのだろう……と思うと、その本気度に鳥肌が立つのだ。

 『怪 ~ayakashi~』を演じたのは日本代表ペアなのだが、2カットでご紹介したその写真には、どちらも1人しか写っていない。これ、撮影のミスではなく、ペアのふたりが変身前と変身後の「薬売り」を演じ分けるという仕掛け。通常の早替わりでは、いわゆる「引き抜き」や、大きなかぶり物に入り込むギミックなど、さまざまな工夫があるのだが、大道具の移動を組み合わせつつ、相方の変化の間を相互にボディダブルでつなぐというスタイルは、なかなか新鮮な演出だった。

 『からくりサーカス』を演じた台湾代表ペアは、2分30秒という短い時間の中で、しっとりと涙を誘う前半のストーリーから、一転して大仕掛けのマリオネットと渡り合うダイナミックな転換をやってのけた。緻密に設計された早替わりのギミックも、よく考えられたストーリーの再構成も、単に再現性が高いだけではないオマージュを感じさせた。

 ……というわけで全17チームのパフォーマンスが終わり、厳正なる審査を待つ間は……いよいよJAM PROJECTの登場だ! 残念ながらこちらのライヴアクトも「ニコニコ生放送」のタイムシフト視聴では観ることができないのだが、影山ヒロノブ師匠が率いる大ベテランのステージは、いつも通り「さすがの安定感」だったことをお伝えしておこう。

WCS2017──世界コスプレサミット、この夏を制したのは……?

 昨年のWCSが終わってからのほぼ1年間、いつも世界のどこかで名古屋を目指すための予選が繰り広げられてきた世界コスプレサミットだが、35の国と地域から選ばれてきた代表ペアたちの競い合いも、残された表彰台はあと3つだけだ。そして第3位、ホスト国のプライドを守った日本代表ペアがコールされた。おめでとう!

 続いて第2位には、舞台セットのアイディアが光ったメキシコ代表ペア!

 そして最後に、栄えあるグランドチャンピオンには中国代表ペアが! これには会場を埋め尽くしたオーディエンスだけでなく、参戦した各国代表ペアたちからも文句なく、割れんばかりの大きな拍手が贈られた。いや、本当にすごかった。コスプレ界が新たなステージに到達した感というか、ひょっとしたら来年にはアクロバットやイリュージョンまで登場するんじゃないかと思わせる、圧巻のパフォーマンス。もちろんコスプレはコスプレ、コスプレイヤーそれぞれのキャラクター愛の表現には、それぞれの想いや哲学があっていい。ただ、2次元を見事に3次元化した再現性の高さに加えて、映像作品の中でしか表現し得ない動きの「空気感」を、鍛え上げられた体技でパフォーマンスの軸としたその情熱が最大限に評価された、正当な結果だったと強く感じた。

 そして中国代表ペアには、外務大臣賞が授与された。しかしシュールな絵柄!

 続いてグランドチャンピオンへの壇上インタビューで、ついに吸血鬼の仮面を脱いで、素顔を披露……なんとまあイケメンじゃないか! 全体のパフォーマンスを通じて、素顔を見せてこなかったキャラクターは他にもあったのだが、せっかくなのでプエルトリコの3式機龍の中の人がラテン美女であったことも書いておこう。

 会場の興奮が少しだけ落ち着いたところで、審査委員長の古谷徹さんから恒例のコスプレ宣言が厳かに、しかし力強く読み上げられる。ちなみに『名探偵コナン』の「漆黒の特急」から、バーボンの出で立ちだ。

 これで9日間にわたったWCS2017──世界コスプレサミットのプログラムもほぼ終了。ステージに残る代表ペアたちの表情には満足感や安堵感、あるいは悔しい想いがチラホラと見え隠れしつつも和やかな雰囲気なのだが……。

 ここで想定外の事件が! 台湾代表、なんと公開プロポーズ!

 これ、主催者サイドにも連絡がなかった完全サプライズで(それがどれほどのサプライズだったのかは、このあと判明するのだが)ステージ進行も完全に停止したほどだったのだが、無事に受諾されたから、結果オーライ!

 で、祝福の輪がこの状態になって、ステージはカオスに……。

 さて、MCの仕切り直しも入って、式次第が進行よろしく……と思っていたら、今度は『ロックマン』のブラジル代表がマイクを手に……?

 実はこちらの彼からは、司会進行チームだけには事前に「ステージでプロポーズしたいんだ! 」と相談があり、把握していたというのが裏事情。それだけに、台湾ペアの突然の求婚劇には運営サイドもビックリだったわけだが、ともかくこちらも受諾されて、みんなハッピー! ちなみにこの写真、古式ゆかしくひざまずこうとする途中なのではなくて、彼のコスチュームだとこれ以上はヒザが曲がらないのだ。

 そしてステージは再びのカオスに……。それにしても海外の若者たち、勇気あるよな。断られたらどうするんだろ……と考えてしまうのは、日本人のシャイな悲しさかもしれない……。

 というわけで、幸せいっぱいのサプライズを重ねて、WCS2017──世界コスプレサミットは幕を閉じた。お腹いっぱい、胸いっぱい……という感じなのだが、日本のマンガやアニメを愛する世界のファンの間に「コスプレ」が広がって、それが世界最大のコスプレイベントになって15年を数え、しかもそのステージで2組のカップルが誕生したと思うと、まさにコスプレ最高なのである。

 みんな、来年も会おうね!

関連記事:
世界35ヵ国から選ばれしコスプレイヤーが集結! 「世界コスプレサミット」初日のオールナイトコスプレイベント潜入レポート【ラグコス2017】
コスプレ世界一はいったい誰に!? 35ヵ国の代表レイヤーお披露目写真を一挙掲載【世界コスプレサミット2017】
名古屋がコスプレで溢れる夏! “世界コスプレサミット”レイヤー写真まとめ

この記事に関するタグ

「コスプレ」の最新記事

新着ニュース一覧

アクセスランキング