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『週刊文春』元エース記者と現役記者を逆直撃!「本当にタブーってないんですか?」

 昨年、有名人のビッグスキャンダルを連発し、その名を改めて日本中に轟かした『週刊文春』。コンスタントに世間へ投下した話題は、いつしか“文春砲”と呼ばれ、数々の有名人を戦々恐々とさせたことは記憶に新しい。

 今回ニコ生では、元NHKアナウンサー・中倉隆道氏を司会に、週刊文春の元・エース記者で『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を上梓した中村竜太郎氏と、現役の週刊文春編集者である文春くんをスタジオにお招きし、「いかにしてスクープをモノにしたのか?」、その真相に迫ります。

 ・週刊文春編集部とはいかなる実態なのか!?
 ・週刊文春とはいかにして作られているのか?
 ・本当にタブーってないんですか?

 ユーザーからの質問も交えた、週刊文春記者への逆直撃の一部始終をお見逃しなく!


文春のスクープを横取り、横流しにされることも!

中倉:
 本日は週刊文春にまつわるさまざまなことをお伺いしていくわけですが、「記事を掲載する前に対象となる人物に、掲載する旨を伝えるのか?」という質問があるのですが、その点はどうなっているのでしょうか?

文春くん:
 皆さん、誤解されていますけど、僕らは「事務所に載せますよ」と伝えているわけではないんですよ。あくまでその写真の中の人物が本当に本人なのか……「何月何日どこどこにいましたよね?」という内容の確認(当て取材)をしたいだけなんです。

中倉:
 その裏取りのために連絡するわけですね。

文春くん:
 そうです。本人に聞くのが一番ですからね(笑)。ところが、「事務所を通してくれ」とか無視をされたりして、結果的に事務所に聞くしかない状況になる。それを事務所は、前もって教えてくれたという風に判断しているだけなんですよ。あとですね……これは愚痴ですけど、我々からのそういった連絡を、文春が発売される前にスポーツ新聞など他媒体にリークするケースがある!

中倉:
 文春砲にされるくらいなら他社にリークするってことですか!?

中村:
 我々が一番カチンとくるところです。ベッキーさんのときも、発売前日に記者会見を開いて、「不倫ではありません」というような内容の釈明会見を開きましたよね? 本誌が発売されていないんだから、世の中の人は状況がつかめていないわけですよ。そういう中で事務所がシンパのマスコミを集めて、身の潔白を表明する、火消しをする……そりゃカチンと来ますよ。

中倉:
 たしかに(笑)。

中村:
 かつて僕が、「NHKプロデューサー巨額横領事件」(2004年)をすっぱ抜いたときも、NHKと事実確認をしている間に、あろうことかNHKが夜のニュースで「内部調査でこんな不祥事が分かりました」と報道したことがあった(苦笑)。徹夜で書いた原稿やそれまでの取材内容を、まるまる自分たちの独自調査として伝えた。報道の人間として仁義はないのか!? と。

中倉:
 元NHKとしては、いやはや(汗)。

中村:
 ルール違反ですから、「徹底的にやってやる」とスイッチが入るわけです。

文春くん:
 入っちゃいますよね(笑)。記者だけど、その前に人間ですからね。話し合いを無視して、ルール違反をされたらこちらとしてもやるしかない。

中村:
 他週刊誌やスポーツ紙でスクープ的な記事が出た。ところが翌日、または同じ週に発売される文春にも同じ記事が出ている。文春の仕事だと分からせないようにするために、自分たちと懇意の仲の媒体を利用してリークしているというわけです。

WEBメディアはスキャンダル潰し封じでもある

中倉:
 ははぁ~。文春さんもそうですけど、最近は誌面が出る前にWEB媒体に掲載するケースも目立ちますよね?

文春くん:
 WEBは今言ったようなことをされないための対策装置でもありますね。

中村:
 締め切り日の翌日が校了日です。そして印刷所で輪転機をかけて刷っていくわけですが、店頭に並ぶまでに少しタイムラグが発生してしまう。その間にやりたい放題されると、雑誌そのものが売れなくなってしまう。他社さんが「うちのスクープです」なんて言っているけど、いやいや文春の記事を横流しで拾っただけだろうって。

文春くん:
 ありますね~。

中村:
 事務所の意向を汲んで、フォローするような内容になってスポーツ新聞に載っていたりする。

文春くん:
 10ある内容が4くらいで出ますよね。薄まった内容で世の中に発表されてしまう感じ。

中村:
 事務所が行う、いわゆる「スキャンダル潰し」の一手ですね。

中倉:
 当然、文春からすればうま味がなくなる?

中村:
 そういうことになります。世間的にも、他社のスクープとして記事内容が残る。本当は文春なのに(苦笑)。

週刊文春はネタを買わない

中倉:
 そもそもネタの仕入れってどうやって行っているものなんですか?

文春くん:
 二つあって、一つは元々僕ら記者が日々の付き合いの中から取ってくるネタ。変な話、今日から中倉さんも僕のネタ元ですからね。この後、飲みに行ったりして、いろいろな話を聞くかもしれない(笑)。

中倉:
 (笑)

文春くん:
 もう一つが2014年7月3日から始めた「文春リークス」、タレコミ専用のサイトですね。

中倉:
 たまに見かけるのが、「文春に持ち込んだけど買ってくれなかった」という声なのですが、これは?

中村:
 勘違いされると困るので言っておきますが、文春ってネタを買いません。ネタを買って記事にして、その後に名誉棄損で裁判になったとしましょう。ネタを売った人が、「お金をもらったからリップサービスしたんですよ」と言ったら大変なことになってしまう。基本、新聞やテレビもそうですが、情報を売り買いしないから報道をする立場にあるというルールがあるんです。ですから、スクープ性のあるネタを文春が買ってくれる、ということはありません。

中倉:
 最近だと引退してしまった若手俳優の現場写真を情報筋から買ったなんて話もありましたが……。

文春くん:
 あれはFRIDAYでしたね。

中村:
 文章ではなく写真ありきのFRIDAYのような写真誌は別です。週刊誌の場合は、関係者の証言などを元に記事を作っていきますが、写真誌の場合は写真がないと成立しない。ですから、FRIDAYなどは持ち込んだ写真に対する支払いというのはあるでしょうね。

文春くん:
 ただ、昔に比べるとだいぶ安くなったみたいですよ。

中村:
 うんうん。昔は1枚100万とかありましたね。

中倉:
 ええぇ!

文春くん:
 今はないみたいですけどね(笑)。

中村:
 文春は報道機関としての立場を順守しているので、伝統的に写真を買うという行為はないです。

中倉:
 皆さん! 情報ネタは文春では売れません!

中村:
 電話がかかってきて、「こういうネタがあってFRIDAYだったら10万って言ってるんだけど」というような話をされる方もいますが、そういう方に対しては「ではFRIDAYで売ってください」と伝えて電話を切るだけです(笑)。

中倉:
 コメントでも「文春はケチ」「他に売ろう」など、いろいろ流れていますけど、情報の信頼性という点における文春の方針性ですからね!(笑)

文春くん:
 本当にネタを持っている人は書かないでしょ(笑)。みんな、頭の中の妄想で「誰と誰が付き合っている」みたいなだけでしょ? どのみちそれじゃ売れないよ!(笑)

中倉:
 皆さん、バレてますよ~(笑)。

ある日突然、あなた自身が重要な情報提供者になる

文春くん:
 でも、そういう中でも、信頼性のある情報源に行き当たることが多いのが、事件です。

中倉:
 なるほど。事件・事故の加害者や被害者の友達として……。

文春くん:
 テレビや新聞で偏った報道があると、親しかった友達などは「伝えられていないことを言いたい」となることが多い。しかも、テレビだと顔は出ないものの首から下は画面にさらされたりする(からバレる怖さがある)。その点、紙媒体はそういった心配がない。文春だったらきちんと書いてくれるだろうということで、事件の場合、近しかった人物から「話を聞いてほしい」という連絡があるんですよ。

中村:
 やっぱり伝統って重要で、文春はロス疑惑やオウム真理教、統一教会など、長年、真剣に追及して取材してきた実績があるので、きちんと話したい人は文春を選んでくれる傾向にある。

中倉:
 自分が持っている“とっておきのネタ”は、やはり信頼性のある媒体に任せたいという気持ちはありますよね。僕もNHK在籍時にさまざまな取材をしたのですが、「NHKだったら意味を改ざんせずに汲み取ってくれるだろう」ということで、協力的になってくれた方が多かったです。

中村:
 看板の大きさって重要なんですよ。笑い話にするつもりはないのですが、『アサヒ芸能』という雑誌がありますよね? 熟女ヌードが掲載されているような実話誌系ではありますが、徳間書店が発行しているだけあって、事件の記事の内容はしっかりしていて、原稿もうまいです。

文春くん:
 うまいですよね~。

中村:
 ところが、事件の現場に行って、「すいません、アサヒ芸能の記者なんですけど……」と言うと、軽くあしらわれて取りもってくれないらしいんです。そこで彼らが考えた策が、「すみません、アサヒ(朝日)のものですけど……」と言うことにしたと。アサヒ違いだけど効果てき面で、すごく話を伺いやすくなったって聞きました(笑)。

一同:
 ははははっ!

文春くん:
 その一方で、囲み取材とかで「うち(実話誌系)はそういう雑誌なのでエロい話はありませんか?」っていきなりブッ込んでくることもある(笑)。おいおい! 今、その話はやめろよ! みたいな(笑)。

週刊文春は本当にタブーなき週刊誌なのか!?

中倉:
 30代の男性からの質問で、「文春と言えどもタブーはあるのではないですか?」という質問が届いているのですが、実際あるのでしょうか?

中村:
 僕はあると思いますね。

中倉:
 あるんですか!?

中村:
 僕は20年間文春に在籍して、その間に7人、編集長が変わっています。平均して一人3年くらいかな。週刊誌って面白くて、編集長によって色がまったく変わります。たとえば前任の編集長は政治的なネタが大好きで芸能ネタはあまり好まなかった。ところが、新任の編集長は芸能ネタを好む傾向にあるとか。すると、前編集長のときには通りやすかった政治ネタが、いまでは通りにくくなる……そういったことは珍しくないんですね。

中倉:
 編集長の好みで方針が変わる、と。文春くんはタブーはないと思いますか?

文春くん:
 僕は、今まで興味のあることは全部やらしてもらっているので。面白くないね、ってことで落とされるときもありますが、基本は自分が考えて通ったプランばかりをさせてもらっているので、タブー感はないです。

中村:
 案件の度合いなども鑑みたときに、まったくタブーがないというのはさてどうなんでしょうかね。例えば、芥川賞作家、直木賞作家のスキャンダルってありましたか? ってなると思い当たる節がない。

中倉:
 たしかに。

中村:
 タブーはないという姿勢や矜持を持って仕事をすることは素晴らしいですし、その意気込みで情報発信しているのが文春ですけれど、、「タブーがない」そこだけ切り取られると、、かえってそれが嘘だととられかねない。というのも、かつて僕は新聞各紙が一面で扱うような日本航空(JAL)のスキャンダルをすっぱ抜いたことがあったんです。

中倉:
 ほほう。どんな内容だったんですか?

中村:
 ボーイングのトリプルセブンのエンジンに構造的な欠陥があるということを、ネタ元から技術的なことを含めて聞いて、これを野放しにしていると事故につながるという話があったんですよ。全日空(ANA)と日本航空(JAL)に取材をしたところ、ANAは認めたのですが、JALは隠ぺい体質があって「それについては認めない」と。取材を繰り返して、あとは「いつこの記事を出すか」というところまでいっていた。当時デスクだった新谷さん(現・編集長)に「今週出せますかね?」と聞いたところ、「竜ちゃん、悪いんだけど今週と来週は待ってくれる!?」と言われた。

中倉:
 理由は何だったんですか?

中村:
 JALの広告が入っていたから(笑)。

一同:
 ははははっ!

中倉:
 それはタブーですね!(笑)

中村:
 ね!?(笑) とは言え、このまま掲載できないでいると、12月の旅行シーズン、繁忙期と重なってしまう可能性がある。そうすると大きなトピックとしてテレビでも扱われるだろうから、利用するお客さんの不安を駆り立てることにつながる。僕としても望まないから早く出したいんだけど、文春には文春の都合がある。

中倉:
 そう考えたらタブーはありますねぇ。

中村:
 僕は経験上、タブーを痛感した一人です(笑)。

中倉:
 文春くん、今の解説を聞くとタブーはありますよね?

文春くん:
 今現在、週刊文春に在籍している僕は、何も言えないですよ!(笑) 言ったら…明日から会社でどうすんだよ!? 

一同:
 だははははっ!

文春くん:
 怒られるどころじゃないよ! 話題を変えてくれよ!(笑)

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