「シビリアンコントロールにかかってくる大変な問題」森友文書改ざん・イラク日報隠蔽に見る日本の“公文書管理”について自民党議員が言及
学校法人・森友学園への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた問題で、現在も議論が紛糾しています。
この話題を受け、自民党の山本一太議員は、自身がホストを務める番組「山本一太の直滑降ストリーム」の中で、「財務省の対応には全く納得がいかない」と語り、国民に真相をしっかり明らかにすべきだと指摘。また自衛隊の日報問題にも話題は及び、公文書の保存の重要性についても持論を展開しました。
「隠蔽を政治の力でこじ開けた」自民党議員ら“森友学園文書改ざん”について財務省に怒りのコメント【話者:山本一太×和田政宗】
どんどん証人喚問に呼ぶべき人を呼んで、国民に真相を明らかにするべき
山本:
森友決裁文書が改ざんされたという問題。今とにかく永田町はちょっとした嵐が襲ってるような状況なんですね。私の立場はみなさんご存知の通り、内外難しい情勢の中で、ここは安倍総理にしっかりと政権を担当してもらうしかないと。
不祥事がなかなか出口が見えない状況で、毎日いろいろな疑惑とか報道が出てくるという状況になっています。まず森友決裁改ざん問題なんですけれども、この番組でも申し上げた通り、安倍総理と麻生大臣は全く関係がないんですね。
この二人は全く知らなかった。これは間違いないと思うのですが、では財務省の中でどういう指揮命令系統でこの改ざんが行われたのか。これはちゃんと明らかにしないと、なかなか国民の理解は得られないというふうに思っています。
大阪地検がリークしたんじゃないかとか、してないんじゃないかとか、いろいろなこと言う人がいますけども、少なくとも今、麻生財務大臣が指揮を執って財務省で調査をしてるわけなので、これをしっかりやってもらうことは大事だと。
大変申し訳ないのですが、この財務省の対応には全く納得がいきません。もし理財局だけでやってるということであれば、もうとっくに分かっているはずなんですね。
でもこれが出てこない。中間報告もやらない。最終報告もやらない。これではとても、私は国民の理解は得られないというふうに思っています。
佐川前国税庁長官とはそんなに親しいわけではないのですが、何度か議員会館でお目にかかったことがあります。非常に真面目で優秀な役人なんですけれども、このあいだの証人喚問ではとても真相究明には程遠いと思うんですね。
つまり誰が、何のために、いつ改ざんしたのかということについて、一切明らかにならなかったんですね。やはり安倍総理自身が「この問題は徹底究明していく」と「膿を出し切る」と言ってます。
国会も政府もそれぞれできることをやって、とにかく膿を出し切ると。「大阪地検の捜査にも全面協力する」と言っているわけなので、これを受けてしっかり必要な調査をやる。
国会でも、やはり話を聞かなきゃいけない人はどんどん呼んで、国民の前に真相をしっかり明らかにしていくということを是非、私はやってもらいたいと思いますし、そのことを主張したいと思っています。
イギリスは性悪説、アメリカは永久保存が前提。日本の「公文書のあり方」とは?
山本:
イラクの日報問題。これも呆れて物も言えないんですが、今日もまた新しい文書が発見されました。南スーダンのPKOもそうですが、イラクのPKOも連日新しい文書が発見されるという話で、これも相当批判を浴びています。
特に防衛省、自衛隊の存在を考えると、まさしく文民統制(シビリアン・コントロール)にかかってくる大変な問題だということであるんですけども。
この問題も小野寺防衛大臣が先頭に立って全力で究明しようとしているということなんですが、改めてこの日報っていうものは、どういう種類のものなのか、他の政府の行政文書と同じようなものなのか。
例えばアメリカなんかでは、こういう日報を公開するっていうのは考えられないので、永久保存しておそらく30年40年後に開示するっていう種類のものなんですね。
今回の一連の事件で我々が考えなきゃいけないことは、公文書とは何か、行政文書とは何か、公文書の管理のあり方みたいなものも、ここでしっかりやっておかないと、同じようなことが起こるということですね。
実はイギリスでは公文書の改ざんはあまり話題になってないと私の友人から聞いたんですね。なぜ? と言うと、イギリス人はあまりこういうことに興味がないと。イギリスはもともと公文書管理の法律は性悪説に基づいて作られていると。
つまり日本の公文書管理法というのは結構新しいんですけれども、まず役人が意図的に改善するということは全く想定してません。しかしイギリスの法律は、最初から公務員なんて悪いことするに決まってるじゃないかと。悪いことをしないように罰則もしっかり設けて、公文書管理をやるという発想が違います。
それとアメリカですが、私の事務所にマンスフィールドフェローシッププログラムという、アメリカの政府の職員が日本に来て、例えば国会議員の事務所とかで研修するという非常にいいプログラムなのですが、そのマンスフィールドフェローシッププログラムで、あるアメリカ人の女性が来ていたんです。
とても優秀で素晴らしい人だったのですけれども、その彼女にアメリカの公文書のことを調べてもらいました。アメリカの公文書管理のコンセプトは全然違うんです。もともとアメリカの憲法ができた時から、公文書は全て永久保存すると。
もれなく永久保存するってことは決まっていたのですけれども、あまりにも文章が増えてきて法律で「これはもういいんじゃないか」「これはちょっと例外にしてもいいんじゃないか」みたいな流れになってきたと。
例えばウォーターゲート事件【※】っていうのがニクソン政権の時にあったんですけど。あのウォーターゲート事件が起こった後、この反省からやっぱり大統領のやり取りっていうのは、ほとんど公文書じゃないかみたいな流れになったりして。
※ウォーターゲート事件
1972年にニクソン大統領の再選を図るアメリカ共和党の大統領再選委員会が、ウォーターゲートビル内の民主党本部に盗聴器をしかけようとした事件。
もともとアメリカは公文書を全部永久保存していく発想から、とてもこれはこのままじゃ全部は無理だってことで、だんだん例外措置を作っていったみたいな流れなので、これは日本と全然違う。だからここら辺も含めて、改めて公文書、行政文書のあり方っていうものを我々はこうした問題を契機に考えていかなければいけないと思います。
「隠蔽を政治の力でこじ開けた」自民党議員ら“森友学園文書改ざん”について財務省に怒りのコメント【話者:山本一太×和田政宗】