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竹島問題解決の鍵は“広報力”――「日本人が血と汗で開拓してきたと明確に外国に言えば変わってくる」ジャーナリストが提言

世界へのアピールが得意な韓国。上品すぎる日本の抵抗は「70年遅かった」

角谷:
 88年まで民主国家ではなかった韓国政府が軍事政権を維持しながらその中で教育を怠っていたのと、88年以降の民主国家になってからの違いによる教育というのは少し変化があるんですか。

山田:
 韓国の教育は、日本統治下では日本人と同じ教育を与えられてきて、かなり高度な教育でした。その後はおっしゃるとおり教育が与えられていかない、洗脳しやすい時代になって、そこからまた政治家が意図的に影響を与えています。

 しかも韓国の特徴は政治家ごとに考えが違って、それをそのまま教育に落としてしまった。中には自分の保身のためということも含まれています。その結果がいびつな社会体制になってきて、ころころ説明も変わっていくような実態になっていると思います。

角谷:
 だから竹島のことを「独島はもうずっと自分の国のものだ」と信じ込んでいるのも、刷り込んできた教育があるからですね。日本はどういっていたかとか、逆に日本が強引な奪還をしようとしているということだけが伝わっていて、全く情報としては違うものが国民に刷り込まれているから、確信的に思い込みをしているんですね。

 日本は何となくおっとりしていて、いろんな歴史的経緯はあったにせよ、こういった映像を見れば見るほど、いびつな形で実効支配が行われていることに対して、「こんなになっちゃった」という中で、なかなか手を下せない。

 政治的な理由もあるんでしょうね。例えば自民党政権は「竹島の日」だとか、閣僚を送り込んで……くらいの勢いがあったけれども、どんどんトーンダウンしていてそこまではやり切れない感じがしています。

 慰安婦問題もそうですが韓国が世界に向けてアピールすることが得意だと考えると、上手にやっているという得意さと、奇異にも見えるけれどもとにかく自分のところの言い分を世界に伝えようとするアピールがある。だから日本はちょっと上品過ぎるんですかね。

山田:
 広報戦略でいうと、イルカやクジラ問題も含めてなんですが、日本の正当性というのがほとんど国際社会では認められていないですね。韓国の従軍慰安婦の問題もそうですが、本当にわずかな数の反対論者や、正当を訴えてきているより、はるかに少ない一部の人たちの声が通る手法というのがあるわけです。

 それを見事に使って広報戦略、プロパガンダを打ってきた。それをこれから打ち消すとなると倍以上の体力を使わなければいけない。

 だから日本は「これだけやっている」と満足しないで、どんどん広報戦略を打っていかなきゃいけない。「なぜ日本人はイルカをとるのか、クジラをとるのか」、「日本は戦後こんなに頑張ってきたんだよ」、「韓国の経済のためにこんなに貢献してきたじゃないか。それはどうなっているんだ」と。

 中国に対してもそうですね。この70年間日本人がどれだけ世界に対して貢献しているか。我々の先輩たち、親の世代から働いて生み出してきた税金も大量に送っているわけですよ。そういうことをちゃんと見てもらい、そういうことを訴えられる社会や環境づくりが必要です。

 今は少しずつ外務省や官邸も、広報戦略に目を向けはじめています。ただそれで満足してはいけません。

角谷:
 山田さんがおっしゃったように、「正義が勝つ」と日本人は思っているけれども、その正義よりも宣伝上手だったり、説明上手だったりしますからね。

山本:
 声が大きかったりね。

角谷:
 声が大きかったりするほうが勝ってしまうとなれば、日本はやはり上品過ぎる感じがします。戦略的なものを外務省や日本政府もやり始めているといいますが、やり始めるのが70年遅かったのかなという感じもしてしまいます。

山本:
 竹島に関してはまさにそのとおりですね。

外交力・経済力・“広報力”

山田:
 あまりにも近隣国への配慮がないですね。尖閣の警備も海上保安庁が必死になって人数を増やして守っているだけ。中国は東シナ海のガス田のヘリポートにしても次から次に手を打っている。

 安全保障は必ずしも防衛力、警備力だけじゃないです。外交力、経済力が一体となっていかなければいけないわけですけど、その中でもやはり広報力というのは非常に大きなポイントになっています。

角谷:
 「戦後レジュームの転換」と安倍総理がいうけれども、それは逆にいえば戦勝国と敗戦国の構造とか、その構造を変えない限りはいつまでたっても日本は戦後70年間でいいことをしていても「70年前に戦争をしかけて負けた国じゃないか」といわれる。そのレッテルが世界中に残っている限りは、何をいっても相変わらず70年前の理屈と同じ扱いになってしまう。これをひっくり返すのは外交でしょうか、それとも政治でしょうか。

山田:
 日本が強いのは経済ですよね。経済と外交のどっちが上だとかじゃなくて、経済戦略も外交戦略も一体となっていかなければいけない。そこにこれからは環境という言葉が入ってきたりしますから、国連海洋法条約に基づいた国際法、あるいは海底資源開発、それぞれの国のメリットやデメリットを考え、全部日本が判断し分析しながら総合力の外交戦略というのを打ってでなきゃいけない。

 そのときにやはり強い指導者、リーダーというのが不在というのが今までの大きな問題だったと思うんです。「リーダーは誰なのか」、「リーダーは明確な指針を出してきたのか」という問題ですね。

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