「韓国は日・米・中の枠組みに北朝鮮を引きずり込もうとしている」平昌五輪後の韓国・北朝鮮の関係を戦略国際問題研究所研究員が解説
中国をどのように取り込んでいくかが今後の鍵
山本:
そこで渡部さんに少しお聞きしたいのですが、中国ですよね。誰が見ても中国が鍵を握っている。もちろんロシアも中国が石油を制限するみたいなことなったら、ある程度は肩代わりはできるかもしれないけれど、命脈は中国が握っている。北朝鮮ともあまり上手くいっていないみたいですね。
渡部:
いっていないですね。
山本:
中国は一体何を求めてるのかというところですよね。中国とアメリカが相談して金正恩の首をすげ替えるというのが一番いいという話があったり、結局、金正男(キム・ジョンナム)さんが亡くなった原因も張成沢(チャン・ソンテク)が首をすげ替えようとしたということが分かったじゃないですか。中国は最も何を望んでいるのでしょうか。
渡部:
中国が望んでいるのは、大きなトラブルを起こして欲しくない。混乱を望まないっていうことが一番大きいんだと思います。
その次は何かと言うと、北朝鮮の今のレジームが残ったことが一番いいとはもう思っていないと思うんです。今の一件があったので。今、中国は厳しいでしょう。朝鮮半島が暴発みたいになって、統一朝鮮ができて、しかもそこが韓国主導になってアメリカの同盟国になると。これは嫌ですよね。地続きで米軍が中国と対峙してしまう。
山本:
まず米軍が来ると思いますよね。
渡部:
そうならないようにするのが彼らの目標。なので混乱がなければ、逆に言えばある程度は北朝鮮が核を持たない方向で合意してもいいわけです。むしろ北朝鮮が核を持ったらますます言うことを聞かなくなるので、中国は嫌なはずなんです。北朝鮮が核を持ってさらに混乱を深める可能性は十分にある。
山本:
矛先が中国に向かないとは限らない。
渡部:
限らないですよ。そうすると中国としては協力する要素はあって、現に今、かなり制裁に協力しています。アメリカは最後まで決めていないんじゃないかと言いますが、中国だって決め打ちはしていないです。どちらも可能性は考えているけども、これは相互リアクションですよね。お互いの思惑とかで決めていくわけで、そういう意味ではチャンスがある。中国をどのようにそこの流れに入れていくかというのは、日本もアメリカも考えるべきかなと思います。