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『ゼルダの伝説 BotW』ゼルダ姫とのラストシーンにめちゃめちゃ心打たれまくる理由をまじめに考えた

 毎週日曜日の夜8時から放送中の『岡田斗司夫ゼミ』。1月21日の放送では、パーソナリティの岡田斗司夫氏が、任天堂より発売されたゲームソフト『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の魅力について語りました。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド – Nintendo Switch(画像はAmazonより)

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『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界に隠されたモチーフ

岡田:
 この『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下『ゼルダの伝説BotW』)という作品については、以前にも、「山登りが楽しい」とか「物理現象が楽しい」といった、ゲームとしての魅力について語りました。(関連記事

 それに対して、今回は、この作品のSFとしての魅力について話してみようかと、最初は思っていたんですよ。

amiibo ガーディアン【ブレス オブ ザ ワイルド】(画像はAmazonより)

 例えば、“ガーディアン”という敵のロボットみたいなものがゲームの中に出てくるですけど。これは、上下を裏返してみればわかる通り、火焔型土器をモチーフにデザインされているんですよね。

 そして、この「登場するメカに火焔型土器っぽい意匠を取り入れる」というアイデアの元は、おそらく『風の谷のナウシカ』に出てきた土鬼(ドルク)の“飛行ガメ”なんでしょう。

火焔型土器(画像はWikipediaより)

 日本人が、こういったSFとかファンタジーモノを作ろうとした時に、西洋的なイメージばかりを持ってくると面白くならない。そこで、こういった火焔式土器のようなイメージを持ってきたところが、やっぱり、宮崎さんのすごさだと思うんですね。

 『ゼルダの伝説BotW』についても、ファンタジー世界に火焔式土器をそのまま持ってきたのもすごければ、さらに、それを上下逆にして脚を生やして、ゲームの世界の中で動くロボットとして使ってしまうというところが、見せ方として上手いなと思ったんですよ。

 どうしてもSFとしての魅力を語ろうとすると、こういう話になっちゃう。これでは、ゲームとしての『ゼルダの伝説BotW』を楽しめている人を対象とした話になっちゃうので、切り口を少し変えてみようと思いました。

ゲームというメディアだからこそ出来ること

岡田:
 なぜかというと、ゲームというのは映画みたいに深いテーマを語ることに向いていないメディアだからなんですね。

 僕が、例えば『天空の城ラピュタ』という作品について、あれこれと細かく解説できるのは、みんなが気付いていないテーマというのが作品の中にいっぱいあるからです。だから、「宮崎駿がやろうとしていたことを、僕らは案外、気付いていないよ」という話が、いくらでも出来るんですよ。(関連記事

 でも、ゲームというのは、本来、そこまで深いテーマを扱うことには向いていないんです。その代わり、語り口を意図的に狭くすることが許されるメディアなんですね。

岡田斗司夫氏

 例えば、宮崎駿は『天空の城ラピュタ』を作る時、最初は「場面転換というものをほとんどせずに、パズーが自分の体験を通して目にした光景だけで、全てのストーリーを描きたい」と言っていたました。だけど、そういった方法で映画を作るのは、ちょっと無理があるんです。

 ところが、ゲームというのは、語り口を狭くすることで、「その世界を見せる」ではなく、「その世界を体験させる」ということが出来るメディアなんです。

 「ゼルダ」もそうですし、「ドラクエ」なんかもそうなんですけど、こういったゲームでは、ほとんどの画面は“プレイヤーの分身である主人公の目を通して見た世界”になるわけですね。それまで見えていたものから別のものを見せようと思うと、その度ごとに主人公を移動させなきゃいけなくなるから、映画みたいにコロコロと場面転換するわけにもいかない。そういうふうに、すごく狭い覗き口から世界を見ることになるんです。

 だけど、逆に言えば、ゲームというのは、プレイする人が「体験している」と感じる度合いが、映画のようなメディアに比べてすごく高いんです。

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