はあちゅうさんの“ #MeToo 騒動”はいったい何だったの? 世界的なセクハラ告発から見る「ハラスメントが持つ構造」を解説してみた
明らかになりつつあるハラスメント構造
山路:
そういうハラスメントのあり方というのが、ちょっとずつ大っぴらになるようになってきた。
小飼:
そういったものを放置している業界、商世界というのは、やっぱり衰退していきますよ。そう見ていくと、大相撲の未来というのはまったく明るくないですね。
山路:
ただ本当に、企業の不正であるとか、大相撲であるとか、みんな同じ構造になっていますよね。
小飼:
ハラスメントのオンパレードですよね。
山路:
巧妙なのは、ある程度ヒエラルキー(ピラミッド型の階層組織)があって、その中で1番権力を持っている人はあんまりダメージを受けずに、階層が下の者同士で争い合うようになってたというか。自分より弱いものを叩くとか。
小飼:
そのヒエラルキーを決める大きな要因のひとつが「肩書き」なわけですよ。その意味では本当に笑うしかないですね、例えば電通というのもその肩書きのひとつなわけです。
山路:
電通という社名自体が。
小飼:
社名自体がそうですよね。そこに勤めていましたというのが。慶応大学というのもそうですよね。慶応大学でギャングレイプした連中が不起訴になったのは、なんでだろう?
山路:
示談金を払ったとか。
キーワードに加えたかった“不起訴”
小飼:
だから、本当であれば”不起訴”というのも2017年のキーワードに上げたかった。けどこの一年だけの話じゃないよな、と。そもそも理由が明かされていない。理由は言わなくてもいいんですかね? 日本の場合は。
山路:
不起訴にした理由。
小飼:
実は日本の場合、公的に刑事を追訴できるのは、検察の特権なんですよ。
山路:
検察が上手く機能してないということでもあるということですか。
小飼:
あるいは、検察が追訴権独占というのは、いいことなのかという話です。よく言うじゃないですか、日本では起訴されたら、99.9%は有罪になります。それも事実なんですけど、もう一方で、半分は不起訴なんですよね。
山路:
ほとんどは理由も明かされずに不起訴になって。非常に曖昧な、なあなあの忖度の世界になっているかもしれないですね。
小飼:
実際のところ、日本はすごく司法の弱い国なので、司法に関わるどの分野も人手不足で、いちいち小さなことにかかずってられないということなのかもしれないですけども。
SNSによって浮き彫りになるハラスメント
山路:
しかし、こういうハラスメントの連鎖みたいなものが表に出るようになってきたのは、いい証拠と楽観的に捉えればいいんですか?
小飼:
それが1番大きい。日干しにするのが1番効く。今までは、普通の一般人がそんなものを日にさらす手段というものがなかったんだけど、今はSNSがあります。
山路:
ただ、私自身はそんなにピンとは来てなかったんだけども、はあちゅうさんの童貞いじりみたいなことで、本当に傷ついていた人も相当多かったということも可視化されたかなというのがあって……。
小飼:
でもこれでひとつ明らかになったのは、前から思っていたけど、はあちゅうさんはすごい古典的な、前世紀的な価値観の持ち主なんだなと。
山路:
ちょっと昭和の男っぽいという感じですかね。それこそ肩書にこだわっていることもありますし。
小飼:
なんでやたら「作家」と呼ばれることにこだわり、童貞にこだわるのかという。別にそんなのにこだわらなくてもいい時代がせっかく来たのに。
山路:
ある意味その彼女自身が、ハラスメントの枠組みの中から抜けてない。
小飼:
ただはっきり言ってしまうと、日本で出世する女性というのは、男性以上におやじなんですよね。
山路:
小池さんとか。
小飼:
稲田さんとか。
山路:
「あのハゲー!」みたいなことを言っていた。
小飼:
豊田さんとか。
山路:
そういうヒエラルキーを登ろうという意欲がある人でないと上にいけないから、というのもあるんですかね。
小飼:
そこでがんばっているうちに、本当におやじになってしまうと。ダークサイドに落ちてしまうと。なんか「スター・ウォーズ」にそのまま入れそうですね。
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