『けものフレンズ』たつき監督降板、『るろうに剣心』原作者書類送検など激動のアニメ・漫画界を総ざらい【2017年下半期】
11月・『るろうに剣心』原作者・和月伸宏、児童ポルノ単純所持容疑で書類送検。「本人を叩いて終わり。それでいいのか?」
乙君:
11月。「『るろうに剣心』原作者・和月伸宏、児童ポルノ単純所持容疑で書類送検」と。
山田:
これ、非常にいびつな話だと思うね。例えば、幼児もののエロコンテンツがあることによって、人権侵害が起こる。
乙君:
うんうん。
山田:
これは表面的な問題じゃなくて、もっと深刻な深い問題だよね。しっかりちゃんとそこまでメスが入ってるんだったらいいけども。
例えば、海外における少女買春を、日本が買いに行ってるとかでも、全部つながってくる話じゃないの? という話で。そんな中で、この漫画家が持っていたデータの一部を云々と言ったところで、彼自身を叩いて話が終わってしまうんだったら、これ一体何だったんだ? っていう話にならない?
しみちゃん:
確かに。
山田:
子供の人権を守るっていうのは、一番大事なことじゃん。だから、それを守るんだったら、「え? この人達だけじゃないんじゃないの?」って気がするし、もっと根本的な問題じゃないかっていう話なんだよね。
子供を性の商品化にする時に、そのお客さんになってる人はどうなんですか? っていう話とか全部含めて、ちゃんと公平にやってもらいたい、というところがすごくあって。
山田:
このいびつさは、生理的に考えてもわかるんだけど、とにかく腑に落ちないことばかりだよね。もちろん彼が正しいことをやったとは言えないよ。だけど、もっとヤバいことをしている人が山ほどいるんじゃないの? そこはどうなんですか?となる。
例えば最近だと、誰がレイプされたとかしないとかで、揉めてるじゃん。あれも、グレー且つどんよりした感じになっていたりするのに、漫画家一人を吊し上げて終わり、という問題ではないんじゃないかな、という気はするよね。
乙君:
児童ポルノの顧客リストに、たまたまいたのが和月さんで。
山田:
なぜ名前を挙げて、吊るし上げにするかね。
乙君:
それを見せしめにして。
山田:
でしょうね。
乙君:
それで、他の犯罪を未然に防ぐっていうことは、一応効果としてはあるんじゃないかと思いますね。
乙君:
『るろうに剣心』という1つのヒーロー物で、正義を語ってきた漫画を作ってきた人が、そういうその闇の部分を持っているというのは、個人的にはすごくいいなって思うんですけど。
ただ、世間一般的に見ると、あの時ずっと熱中して読んでいた、セリフの一つひとつが、また違った意味に感じたりということになっちゃうのが残念だな、という。
山田:
だから、そういう娯楽になっていたんじゃないかなと思う。清純派なベッキーが落ちた時と一緒で、これはいわゆる“ガッカリしましたコンテンツ”なんだよね。
出版社の衰退が目立った一年となった。「すごい漫画家が現れても、人知れず消えていく」
乙君:
12月は「『名探偵コナン』青山剛昌さん、長期休載発表、病気療養へ」と「『Fate』年末特番で新作アニメ放送」と「『キャプテン翼』15年ぶり3度目のアニメ化」ということで、それらのニュースで今年は終わりますね。
山田:
今年のまとめとしては、「すごい漫画家が現れても、人知れず消えていく」というところです。逆に可愛い!みたいな奴は生きやすいでしょ。
例えば『ゲ・ゲ・ゲの鬼太郎』とか最初に売れなかったというし、『宇宙戦艦ヤマト』も、実は打ち切られている。『機動戦士ガンダム』もそう。だから、最初は皆わからないんだよ。わからない内に、みんながいなくなってしまう。
つまり、それらを支える体力が、これまでは大手出版社にあったんだけど、それがいよいよなくなってしまう。そういう時代に突入する、というのが、実際のところですね。今年はそんな感じです。
乙君:
なるほどね。ありがとうございました。
―関連記事―
『けものフレンズ』最終話まで観た漫画家がドッタンバッタン大総括! 大ヒットの理由を3つ考えてみたよー!
『モブサイコ100』はドラえもんへの回答――作者の友人漫画家が小学館漫画賞受賞作品を語る