『ウォーキング・デッド』や『ブレイキング・バッド』、ハイクオリティな海外ドラマの流行が招く“映画産業の終焉”とは。1話製作に6億円をかける作品も
10月29日放送の『岡田斗司夫ゼミ』にて、「秋の映画特集」と題し、岡田斗司夫氏が今秋公開の映画を一挙に紹介。『ブレードランナー2049』『アトミックブロンド』『アナベル 死霊人形の誕生』と、多彩なジャンルの映画を紹介する中で、岡田氏は「映画という産業は既に終わりつつある」と発言。
さらに、「現代のエンターテイメントにおけるセンターは、映画ではなくてドラマである」と畳み掛けます。その発言はどういった意図からのものなのか、詳しく解説しました。
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映画産業は終わりつつある?
岡田:
今回はこの秋に公開する映画の話をまとめてしようと思っているんだけど、まず大前提として伝えたいことは、僕は映画という産業は終わりつつあるというふうに捉えているということなんですよ。
とは言っても、これは「今の映画がダメだ」とか、そういう話をしたいんじゃなく、今のエンターテイメントのセンターに位置しているのはドラマなんですよね。今のネット世界の中心がブログではなくツイッターやインスタであるのと同じように、現代のエンターテイメントにおけるセンターというのは、映画ではなくてドラマ。
たぶん海外ドラマの名作と言われる『ブレイキング・バッド』や、『シャーロック』『デクスター』『ウォーキング・デッド』『ゲーム・オブ・スローンズ』など、このあたりは僕も好きな作品なんだけど、これらが今、エンターテイメントを語るときのメインになっているものなのです。
岡田:
今、コメントでも流れたように映画2時間は長すぎる。ドラマの45分くらいのペースがぴったりだし、それを一気に見るという視聴方法も現代人のライフスタイルに合っているということなのでしょうね。
海外ドラマの周囲では既に膨大な金が動いている
岡田:
聞くところによれば、『ゲーム・オブ・スローンズ』なんて、1話あたり6億円くらいの製作費かけているという話なんですよね。もちろん映画によっては、2時間の映画を作るのに100億以上かけている作品もあるから、その点ではまだまだ比較にはならないんだけども。
岡田:
だけど、1話につき6億円とかの予算をかけて、それを何シーズンも10時間、20時間と作り出されると、そこで描かれるものの重厚さとか深みとか、そういう部分でもうそろそろ映画は勝てなくなっちゃってくるわけですよね。
例えば、『スタートレック:ディスカバリー』というドラマが最近始まって、これは僕も見ていて面白いんだけども、アメリカではCBSの専用チャンネルでしか配信しないと言っているんだ。アメリカ以外の国ではNetflixが配信提供をしているんだけど、この件についてはNetflix側がCBSに払っている配給権の買い取り金額は、1話あたり600万ドルだという記事を読みました。
岡田:
1話あたりNetflixが配信料として6億円もCBSに払っているということは、もうここから先ドラマのほうが優位になって来るだろうというのが見えているわけです。