「炎上して集めたアクセスって、どこまで身になるの?」 個人・企業で相次ぐ炎上を徹底討論【ヨッピー&中川淳一郎&Tehu】
ポリティカル・コレクトネスには無理がある
中川:
炎上は何も個人だけではなく、企業にまで及ぶわけです。
「コックゥ~ん! しちゃった…♡」と甘い言葉を連発するCMが下品という理由から炎上したサントリーのビール『頂(いただき)』、任天堂の「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」に関するツイートで炎上し、アカウント停止の措置を取ったシャープ製品公式Twitter。そして! 性的なメタファーとも取れる表現が繰り返され、非難轟轟となった壇蜜出演の宮城県観光キャンペーンCMなどなど、企業だけでなく自治体も炎上する時代に突入していくことになっているわけです。
ヨッピー:
性的なものが炎上しやすいですよね。
中川:
ポリティカル・コレクトネスには無理があるよなぁ。「ポリコレ死ね」ですよ。
ヨッピー:
少年誌の表紙がちょっと過激だったら、「性的によろしくない! 青少年に悪影響だ!」って叫ぶ一方で、「若者のSEX離れが著しい! もっと異性に興味を持つように!」みたいなことが言われているじゃないですか。どっちなんだよ! って(笑)。18歳までは禁欲生活をして、18歳の誕生日を境にヤリまくれってことですか!? そっちのほうが異常だろ!
中川:
よく言った! その通りだ! 17歳と364日目にたくさん牡蠣を食べて亜鉛とタウリンを摂取して、18歳の誕生とともに暴発しろってことだよな。
ヨッピー:
コメントで「化粧もそう」ってあったけど、18歳までは「化粧なんて100年早い」みたいなことを言われて、18歳を過ぎると「化粧ができないと大人の仲間入りはできない」とか言われる。その線引きはなんなの? と。そういうわけのわからない価値観が炎上の片棒を担いでいるのは否めない。
中川:
うんうん。でも、炎上ってネガティブなものとして根付いているけど、ポジティブな炎上ってないのかな?
ヨッピー:
炎上したことで注目されたケースなどは、結果的にネガティブ一辺倒とは言い切れないですよね。
中川:
俺が関わっているメディアなんかは、炎上かはともかく、一言言いたいような記事を出すとウハウハですからね。
Tehu:
なるほど(笑)。
中川:
PV数が上がるので、アドネットワークですごい額を稼ぐことができます。
ヨッピー:
ポジティブなアクセスだろうが、ネガティブなアクセスだろうが、お金には変わっちゃいますからね。見てくれる人が多いというのは根本的に良いことだとは思います。ただ、炎上して集めたアクセスって、どこまで身になるの? とは思いますよ。だって、Tehu君の過去のツイートの内容って何年くらい前だったっけ?
Tehu:
7~8年前かなぁ。
ヨッピー:
それがいまだに攻撃されるわけじゃないですか。そう考えると、あんまり良いことないのかなって。
「ファンビジネスを始めたらヨッピーの伸びしろはない」と思ってください
中川:
イケダハヤトさんなんかもそうだと思うんですけど、彼を叩く人が9人いても、1人が圧倒的に支持するという状況。それがあるからマネタイズできているわけですよね。叩かれたとしても、その後にマネタイズできればいいんじゃないのとは思うなぁ。
ヨッピー:
僕はそれは怖くてできない。基本、見ている人たちが喜んでくれればそれでいいというか。
中川:
例えば、広告業界では囲い込みという概念があると思うんだけど、そういうのはあまり考えていない?
ヨッピー:
あんまり考えていないですね。ぶっちゃけ囲い込みはいつでもできると思うんですよ。信者ビジネスって言われていますけど、オンラインサロンを開いて自分の支持者から毎月お金を巻き上げるみたいなことをし始めると、(身内向けのコンテンツになるから)そこから先は支持者は増えない。そこで頭打ちになる可能性があります。
面白い記事や良い記事なら、ファンじゃなくても楽しめると思うので、当然、伸びしろもあります。僕がファンビジネスみたいなことをし始めたら、「ヨッピーはもう伸びしろがない」と思っていもらってOKですね。
中川:
ということは、VALUもやらない?
ヨッピー:
やらないですね。ただ、物は試しだと思って、かつて登録だけしてみたことはあったんですよ。そして、中身を見てみたら、どうも買う人に何のメリットもないことが分かりました。それで辞めることにしたので、今後もVALUのようなことをすることはないでしょうね。
Tehu:
僕は一度やってみたら、株がドーンと上がって、ドーンと暴落しました(苦笑)。ただ、どうしたらいいか分からなくて、結局、手を付けていません。怖いなと思ったのは、VALUの株って自分の分身じゃないですか? その分身が自分の知らないところで売買されているという感覚。すごい高値で買う人がいるんだけど、僕自身は自分にそんなに価値があるとは思っていませんから。
中川:
VALUって、購入者に対して株主優待みたいなことができるんでしょ?
Tehu:
そうです。僕はFacebookでどういうことをしてほしいですか? みたいな意見交換の場を作ったのですが、誰も投稿してくれませんでした(笑)。
中川:
Tehuさんだったら、「俺の精子をあげます」みたいなことを言えば結構売れるでしょ!?
Tehu:
絶対、炎上するじゃないですか!(笑)
中川:
(笑)
ヨッピー:
かくいう僕もファンの人が買ってくれるだろう本を発売するので、偉そうなことは言えないんですけど(苦笑)。でも、発売するからには皆さん、買ってください!(笑)
炎上はあくまでウェブの中だけで! リアル社会に延焼させるのは厳禁
中川:
今や、炎上は個人、企業、自治体と関係なく、さまざまな場所で燃え広がる性質を持ち始めているわけですね。
ヨッピー:
本来、炎上という形をもってしても、光をあてないといけない問題や企業もありますからね。僕もインターネットで仕事をしているので、いろいろな噂を聞きますし、個人的には「あそこの埃は出さなきゃいけないだろ」と思うことも結構あります。
中川:
たしかに、“叩いて埃を出す”ための叩き≒炎上みたいなケースは少ないかもしれない。今後は、そういった炎上のケースも増えてくるかもね。こう見ると、同じ炎上でもさまざまなパターンがあることが分かる。
Tehu:
みんな、それぞれ叩きたい人はいますからね(笑)。
中川:
しかもTwitterなどで簡単に攻撃できる時代だからね。炎上は怖い!(笑)
ヨッピー:
ただ、炎上を恐れるあまり表現の幅が狭くなっていくのは避けたいですよね。どこでどう火の手が上がるか、僕も炎上したことがあるけど、当の本人ですら分からないケースもあって、ギャンブルみたいなものだと割り切るしかない(笑)。
中川:
最後に一つだけ言いたいのは、ウェブの中で炎上したとしても、リアルの生活まで延焼するようなことはあってはならないということ。それはさすがにイケないことです。
皆さん、いろいろ気に食わないことがわるかもしれませんが、あくまで炎上はウェブの中だけに留めておくこと! 良きインターネットライフをお送るためにもルールは守ろう!
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