「ミサイルは北朝鮮の領土で撃ち落とせる事が理想」——小野寺防衛大臣が、ミサイル防衛について語る
中国、ロシアが率先して北朝鮮問題を解決していくことが大事
山本:
最近小野寺大臣が何度か発言されていますが、イージス・アショア【※】地上配備型のミサイル防衛システムの配備をできるだけ急ぐと仰っていました。そのあたりについては、どのようにお考えですか。
※イージス・アショア
イージス艦に搭載されたレーダーや弾道ミサイルに対する迎撃ミサイルの発射システムなどを陸上に配備したもの。
小野寺:
私は「イージス・アショアを中心に新しいアセットを」と言っていました。今のイージス艦だけのミサイル防衛、地上配備型のPAC3のミサイル防衛だと、こういう状況で十分対応できるのかどうか。北朝鮮も能力を上げてきますから、こちらも防ぐ能力を高める必要がある。
そういう意味では新しいアセットを予算要求として出させてほしいというお願いをしています。いずれにせよ国会での議論を経て、はじめて予算化されます。
このシステムはアメリカが唯一持っている最新のシステムですから、そういう意味ではアメリカの協力も必要です。
山本:
先ほどのアンケートにもあったのですが、敵地攻撃能力の保有は自民党内でもいろいろと議論がありますが、改めて防衛大臣の立場としてどう思われますか。
小野寺:
防衛大臣の立場としては、安倍総理が最高指揮官で防衛大臣は現場指揮ですから、総理が言うように、保有の検討を考えないこともない、というお話もされていらっしゃいます。
ただ、自民党の中の安全保障調査会の中で議論されていることを改めて説明すると、弾道ミサイル防衛というのは、飛んでくるミサイルを撃ち落とします。どこで撃ち落とすかと言うと、高いところで撃ち落とす。もしくは落ちてくるところを撃ち落とす。
どこで撃ち落とすのが一番いいのかと言うと、やはりミサイルが飛ぶ前です。もう一つはミサイルが飛んで、ブーストという加速段階で撃ち落とすのが確実なんです。ところがこれは北朝鮮の領土か領空になるわけです。
小野寺:
今まで一貫して「相手の領土まで届くような装備は持たない」と言っていましたが、相手の基地を攻撃するとかではなく、同じミサイルを撃ち落とすのであれば、撃ち落としやすく効率的なところで検討するのはどうか、と提言をしたんです。
そうしたら総理は「今のところはそういった考えは持っていない」と仰っていますので、現在の防衛システムを厚くするところで私どもは検討をしています。
山本:
しかし状況によっては非核三原則を見直していく必要もあるという話もありますが、そこについてはどうでしょうか。
小野寺:
非核三原則については、これからもしっかり守っていくというのが日本のスタンスです。そして日本や韓国でもそのような議論が出てくることを恐れているのは、中国やロシアだと思います。
そういった議論にならないように、中国やロシアが率先して北朝鮮の問題を解決することが一番大事じゃないかと思います。
そういう意味もあって、中国・ロシアが安保理の中で中心的に発言すべきだと思っています。