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『ブラック・ジャック』ピノコをオマージュしたボカロ曲。「あっちょんぶりけ」といった歌詞が飛び出す豪快なネタ曲『pinoco』

 今回は、可ラッカさんが2023年2月15日に投稿した「pinoco」を紹介します。

取材・文/村上麗奈


 ボーカロイド楽曲には、ユーモアに富んだ歌詞で構成されるネタ曲が数々存在している。これまでもアイデアが炸裂したネタ曲が数々投稿されてきたが、可ラッカ「pinoco」はその中でも群を抜いたセンスと豪快さを備えている楽曲だ。

 ビブラスラップの音色を皮切りに開幕する「pinoco」は、キャッチーなギターリフとシンプルなベースがどことなくインディーズバンドのような趣を感じさせるサウンド感の楽曲。歌詞を聴いてみると、AメロとBメロはひたすら〈しーうーのあらまんちゅ〉を繰り返しており、サビはひたすら〈あっちょんぶりけ〉の連鎖。ベーシックな音楽の魅力と歌詞の異質さが互いを引き立て合っている。

 大胆な歌詞にも関わらず、爽快なギターリフをはじめとするバンドサウンドは何度も聴きたくなる心地良さ。独特の揺れを感じる初音ミクの歌声で奏でられるサビも、数回聞けばしばらく頭から離れなくなるはずだ。

 楽曲タイトルと歌詞のフレーズでピンときた人も多いだろうが、「しーうーのあらまんちゅ」、「あっちょんぶりけ」はどちらも『ブラック・ジャック』の登場人物であるピノコが作中で口にする言葉である。ちなみに「pinoco」のMVではひたすら網の上で肉が焼かれている映像が流れているが、これはアニメ『ブラック・ジャック』のエンディングテーマが大塚愛「黒毛和牛上塩タン焼680円」であることに由来しているのではないかという指摘もコメント欄で確認することができる。歌詞といい映像といい、破天荒なようでいて実はタイトル通りのシンプルな楽曲なのだ。

 可ラッカはこれまでも脈絡のない言葉選びやゆるい雰囲気が癖になる楽曲を多数作曲している。「pinoco」と合わせてチェックしてみてほしい。


「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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