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『アイドルマスター シンデレラガールズ』声優が“ファンからアイドルの声を担当してソロ曲を歌うまで”──西園寺琴歌、八神マキノ、南条光役声優が明かす収録秘話

 『アイドルマスター シンデレラガールズ』(『デレマス』)の歴史は長い。

 2011年にMobageにてリリースされたソーシャルゲーム『デレマス』を原点とし、2015年には音楽ゲームアプリ『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(『デレステ』)を送り出すなど、いまなおその世界観を広げ続けている。

 歴史もさることながら、驚くべきは本作に登場するアイドルの人数で、総勢190人。ボイスが実装されているアイドルに限っても96人に及ぶ。

 ゆえに『デレマス』に登場するアイドルたちにとって、ソロ曲とは、そのアイドルの個性を最大限に花開かせることのできる場。いわば“名刺代わりの一曲”だ。

 2023年6月7日、西園寺琴歌、八神マキノ、南条光3人のアイドルたちのソロ曲が収録されたCDが発売される。

 今回、ニコニコニュースオリジナルでは、CD発売に合わせて、西園寺琴歌役の安齋由香里さん、八神マキノ役の二ノ宮ゆいさん、南条光役の神谷早矢佳さんの3人にインタビューを実施。

 じつは、演じるアイドルのオーディションを受ける以前より、『デレステ』をプレイしていたお三方。ソロ新曲の収録秘話や楽曲の魅力についてはもちろん、オーディションにて役を射止めるまでのエピソードにも話は波及。

 加えて、「シンデレラガールズ」【※】の新たな仲間として迎え入れられた際の思い出もたっぷり語っていただいた。

※ 『デレマス』にてアイドルたちを演じるキャスト陣の総称。

左から、八神マキノ役の二ノ宮ゆいさん、西園寺琴歌役の安齋由香里さん、南条光役の神谷早矢佳さん。

・安齋由香里さんTwitterアカウント
・二ノ宮ゆいさんTwitterアカウント
・神谷早矢佳さんTwitterアカウント

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文/レットイット山本
編集/竹中プレジデント
撮影/かちゃ

担当アイドルを演じる以前から『アイドルマスター』シリーズのファンだった

──本日はよろしくお願いします! 長い歴史を誇る『アイドルマスター』シリーズに、『デレマス』登場アイドルのボイス実装という形で「シンデレラガールズ」の一員となったお三方ですが、事前情報によると声を担当する以前から『デレマス』をプレイしていたとお聞きしています。

安齋:
 『アイマス』シリーズも『デレマス』も声優になる前から大好きな作品でした!

 声優1年目のころから事務所の方にたびたび「『アイマス』のオーディションってありませんか!?」って聞いていたくらいで……なので、琴歌のオーディションは、まさに念願の機会でした。

──好きな作品に登場するアイドルを演じるチャンスが巡ってきたわけですから、純粋にうれしいですよね。

安齋:
 いざオーディションに臨んだ際には、緊張のあまりボロボロと泣いてしまったんですが……スタッフさんがたくさん声をかけてくださって、『デレマス』の現場ってなんて温かいんだろうと胸がいっぱいになりました。

 これはもう、落ちてもいい思い出になるし、今後の励みにもなるだろうと思って、「たくさんお話をしてくださってありがとうございました!」って伝えて帰宅したことを覚えています。

──すると、合格と聞いたときには安齋さん自身ものすごく驚かれたのではないでしょうか?

安齋:
 本当に、現実が受け止めきれないというか、マネージャーさんから電話で合格の連絡をいただいたときも半信半疑でした。自分は夢を見ているんじゃないか……と。メール(文章)で合格の知らせがきたときに、ようやく実感が湧きました。

──二ノ宮さんも、八神マキノ役のオーディションを受ける以前から『デレステ』をプレイされていたんですよね。

二ノ宮:
 はい。私も由香里ちゃんと同じで、マキノちゃんのオーディションを受ける前から『デレステ』はプレイしていて、声優として『アイマス』シリーズにはいつか関わりたいという思いをずっと持っていました

 ただ、何度か受けた『アイマス』関連のオーディションではよい結果に繋がらなくて。回数を重ねるごとに自分の中でもどんどん焦りが出てきて、「私にはご縁がないのかな」と悩んでいたんです。

 そんななか、マキノちゃんのオーディションを受けることになったんですが……私はクール系の女の子に目がないので、コミュ(ストーリー)を読んで彼女を知っていくうちに「この子、めちゃめちゃ好きだな!」って“マキノ沼”にハマってしまって! どうしてもマキノちゃん役に受かりたかった私は作戦を立てたんです。

──おおっ!? その作戦とは?

二ノ宮:
 これまでの経験から『アイマス』のオーディションにスタッフさんとの質疑応答の時間が設けられていることを知っていたので、そこでの受け答えを事前にシミュレーションしておいたんです。

神谷:
 すごい! マキノちゃんばりにデータを集めて、傾向と対策バッチリで向かったわけだ!

二ノ宮:
 そうとも言えるかも(笑)。「これだけ対策していってダメだったら後悔はない」くらいの勢いで臨んだので、合格の連絡をいただいたときには飛び上がるくらい嬉しかったですね。

 「マキノちゃんに懸けてよかった。生涯この子を大事にしていくぞ!」という気持ちが、そこでグッと湧きました。これまでのすべては、マキノちゃんに出会うためにあったんだって心から思えました。

──神谷さんも南条光の声を担当する以前から『デレステ』をプレイされていて、新田美波のプロデューサーであることも公言されていましたよね。

神谷:
 はい! 新田美波担当を自称させていただいております

──声を担当する以前は光ちゃんに対してはどのような印象をお持ちでしたか?

神谷:
 美波を中心に高校生以上のアイドルを主に応援していたので、光のことをちゃんと知ったのはオーディションを受けることになってからでした。

 光のプロフィールを読み込みながら、「ハンバーグが好きなんだ、私も同じだな」とか、「ここは私とは考えかたが違うな」とチェックをつけていったりして……台本を読んでいくうちに、一見ボーイッシュな子かと思いきや、特撮が趣味というだけで結構ふつうの14歳の女の子なんだなと。

 オーディションではスタッフさんと、「小さいころはよくサッカーとかやっていました」とか「ひざを擦りむいてよくお母さんに怒られていましたよ」なんて話もした覚えがあります。

──そんなおてんばエピソードも、スタッフさんには好印象だったのかもしれませんね。

神谷:
 ただ、それ以上に忘れたくても忘れられない“やらかし”をしてしまって……オーディションの時間を間違えて1時間早く会場に着いてしまったんです。

 光のオーディションが事務所に入って初めてのオーディションだったので、緊張しながら「よろしくお願いします!」と入っていったら、スタッフさんから「神谷さんは1時間後です」と。

──まさかのミスですね……。

神谷:
 そのときは頭が真っ白になってしまいました。会場の近くで時間を潰して1時間後に戻ったら、スタッフさんたちが「おかえりなさい」と迎えてくださって。そのときは本気で、「ああ、終わった……」って思いました。

キャストひとりひとりが責任を持って作り上げていく“シンデレライズム”

──もともと好きな作品で、憧れでもあった「シンデレラガールズ」の仲間入りをしたわけですが、実際に一門に入ってみていかがでしたか? 現場の雰囲気で印象に残っていることがもしあれば。

二ノ宮:
 先輩キャストさんたちの演じるアイドルへの想いや理解度がとにかくすごいんです。ライブのときにも先輩たちは振付や演出について「ここはこうしてみたい」という提案をスタッフさんにガンガンされているんですよ。

 そうやって、キャストさん自身が誰よりもアイドルや楽曲のことを理解して、提案し、自分たちでライブを作り上げていこうとしているからこそ、プロデューサーの皆さんの期待を上回るライブが毎回できているんだなと感じます。

安齋:
 振付としては同じだとしても、このアイドルならこう動く、このアイドルならこう見せる、というのは私たちキャストが確立していかないと……というのはより意識するようになりました。

神谷:
 そう。全部を指示通りにこなすだけではなく、演じる私たちキャストがアイデアを出し合ってライブを作り上げていく先輩たちの姿を見て、自分たちもその想いを引き継いでかないと! という責任感のようなものが生まれたと思います。

二ノ宮:
 先輩たちが積み重ねてきた歴史の重みはひしひしと感じますし、同時に私たちも、そんな“シンデレライズム”を繋いでいきたいです。

──ひとりひとりの愛がすごいですね。キャストさんからの提案に対してスタッフさんたちはどういう反応なんでしょう? 

二ノ宮:
 提案に対しては「やってみようか」と前向きに受け止めてくださることが多いですね。

安齋:
 提案に対して「じゃあこういう風にするのはどうかな?」と、こちらの提案を受けての新しい案を提案してくれて、それがライブで反映される……みたいなこともよくあります。

神谷:
 ざっくりとしたイメージを伝えても、それをしっかり受け止めてくださる。

二ノ宮:
 たとえばダンスの振付で「ここの振りのニュアンスを少し変えたいんです」と提案すると、すぐに演出家の方に連絡してくれるよね。演出家さんからもすぐに「OKです!」とお返事があって。

神谷:
 すごいスピード感だよね。

二ノ宮:
 つねにキャスト・スタッフ間で話し合いながら、ベストな形を追求していこうとする雰囲気が築き上げられているんだなと感じます。

安齋:
 いいものを作ろうという想いがみんなそれぞれあって、それが集約されてライブが作られているんだなと、「シンデレラガールズ」の一員になって改めてそのすごさを実感しました。

初ライブでは先輩キャストから手厚いサポートが

──そんなライブにお三方が初共演したのが2021年11月【※】。安齋さん、二ノ宮さんにとっては『デレマス』でのライブ初出演の場でもありました。

※「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! Celebration Land」Day2

安齋:
 琴歌役として、初めましてのステージ、初めましての曲たちだったので本当に緊張しました。

 ただ、先輩のみなさんがリハーサルのときからすごく優しくしてくださって。「We’re the friends!」を一緒に歌った、るるさん(城ヶ崎美嘉役の佳村はるかさん)にも手厚くサポートをしていただきました!

二ノ宮:
 るるさんー! 私も本当にお世話になっています。もう「シンデレラガールズ」にとっての、“みんなのお姉ちゃん”なんですよね。

安齋:
 私はライブ前ってガチガチに緊張してしまうタイプで、けっこうひとりでいることも多いんです。

 そんなときに、るるさんはスッと隣に座ってくださって。いい意味で緊張感は保ちつつも甘えさせてもらえるみたいな……そんな雰囲気がある方なんです!

二ノ宮:
 そうそう! るるさんが隣にいてくださると、すごく落ち着くよね。

安齋:
 るるさんには、歌唱中に顔を見合わせるポイントとか、セリフの掛け合いなど、いろいろな部分で相談に乗っていただいたり、松嵜麗さん(諸星きらり役)からもお花の髪飾りを付けることを提案いただいたり。

 初めてライブでご一緒して、「先輩がたはこうやってライブに向けて準備をされているんだ!」ってたくさん勉強させてもらいました。

──同じく初ライブだった二ノ宮さんにとってはどのようなライブでしたか?

二ノ宮:
 私は、由香里ちゃんと井上ほの花ちゃん(浅利七海役)と一緒に歌った「Let’s Sail Away!!!」のほかに、「メッセージ」、「Trancing Pulse」の2曲も歌わせていただきました。

 もともとマキノ役をいただく前から『デレステ』はプレイしていたんですが、数ある曲のなかでも「Trancing Pulse」は最初に好きになった曲だったので、セットリストを見て「えっ!?」って卒倒しそうになりました……。

──好きな曲をまさか自分が……と。

二ノ宮:
 一方の「メッセージ」では、同じ事務所の憧れの先輩でもある大橋彩香さんとご一緒できたことが本当に嬉しかったです! やっぱりずっと第一線で活躍されてきた方で、『デレマス』でも島村卯月ちゃんを担当し、皆さんをリードされてきた方なので。

 この場を借りて白状すると……当時のリハーサルの際に、私と大橋さんのふたりで歌っているところを録音した音声チェック用のデータをもらえたんですが、そちらは大切に保存していて、いまでもよく聞き返しています(笑)。

──世には絶対に出回らない激レア音源ですね(笑)。神谷さんは2018年9月に開催されたライブ【※】が初出演の舞台でしたが、印象に残っていることはありますか?

※「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」

神谷:
 私の場合、そもそも声優としてデビューしてから3ヵ月目くらいのころに、「ライブやります。場所はヤマダグリーンドーム前橋です」って突然の連絡からのライブ参加だったので、正直頭が追いついていなかったですね。

 もう何をしたらいいかわからなくて、静かに座っているしかない状態だったんですが……そうしたら、のじょさん(城ヶ崎莉嘉役の山本希望さん)が「かみちゃんって、これが初出演とは思えないくらいに落ち着いてるよね」って声をかけてくださって。「(落ち着いているように見えるのは)何をしたらいいのかわからくて……」と返したことを覚えています(笑)。

──(笑)。

神谷:
 あと、私のときは、ボイス実装同期組の深川芹亜さん(喜多日菜子役)と、森下来奈さん(鷹富士茄子役)の3人でのゲスト出演という形で、しかもサプライズ出演だったんです。

 ステージのスクリーンに3人のアイドルのイラストがバーン! と映し出された後にキャストが登場するという演出だったから、「プロデューサーさん達はどんな反応をするんだろう」とめちゃめちゃ緊張しました。

安齋:
 私たちの初出演のときも、あんな感じで登場することになるのかな……? って思ってビクビクしていました(笑)。

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