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前回までのボカコレを数値データで振り返る。コメント数40万超えでギネス記録を達成した2022年秋から、今回の注目ポイントを一気におさらい

 2020年秋からスタートしたボーカロイドの祭典『The VOCALOID Collection』(以下、ボカコレ)。6回目は、今年3月18~21日に開催される。
 イベント中はプレイリスト企画やボカロ文化を牽引する多彩なクリエイターへのインタビュー、Stemデータの公開など。様々な角度でボーカロイドを楽しめる催し物が目白押しとなっている。

 投稿祭メインとなる楽曲TOP100部門や、新人Pによる切磋琢磨が繰り広げられるルーキー部門REMIX演奏してみたMMD&3DCG部門など、作品を創る人々に対して、とても広い窓口が設けられているのがボカコレの魅力のひとつでもある。

 本記事では、前回開催時の盛り上がりを実際に数値で表されたデータを元にして、ボカコレのここまでの歩みや前回の振り返り、そして今回の2023年春開催の傾向を予測してみたい。

文:曽我美なつめ

年々拡大する参加者数!ボカコレ参加クリエイター推移

 まずこちらは過去5回の開催時に、ボカコレに参加したクリエイター総数の推移を表したグラフとなる。
 特筆すべきはやはり2021年開催の2回の参加者数の伸びだろう。振り返ってみれば2021年は、ここ近年でも特にボーカロイドシーンが盛り上がった1年でもあった。
 ボカコレの開催時期からはやや外れるものの、この年に投稿された曲としてはDeco*27ヴァンパイア』、ツミキフォニイ』、ピノキオピー神っぽいな』などが挙げられる。これらの曲が、今なおチャートを賑わせる息の長い定番曲となっていることは周知の通りだ。

 さらに話を遡れば、ここまでボカロシーンが復興したきっかけのひとつには、前年2020年の邦楽メジャーシーンにおけるボカロ出身クリエイターの活躍も一つの要因となるだろう。
 syudouが手掛けた『うっせぇわ』は2020年10月のリリースからわずか2ヶ月でYouTube再生数1000万回を突破。同年年末の紅白歌合戦にはコンポーザー・Ayaseを擁するYOASOBIが初出場し、また同じく“夜行性ユニット”として括られることも多かった、コンポーザー・n-buna率いるヨルシカの活躍も記憶に新しい。

 上記の様々な要素から、2021年にはボカロの祭典としてその存在を確立させたボカコレ。
 その中でも一際盛り上がっていた“歌ってみた部門”が“歌ってみた Collection”(以下、歌コレ)として別イベントへと独立した2022年春、続いて“踊ってみた部門”が“踊ってみたCollection”(以下、踊コレ)として独立した2022年秋も、参加クリエイターは数を落とすことなく増え続けている。
 加えて前回開催時より、こちらも爆発的な盛り上がりを見せるルーキー部門が楽曲TOP100部門から完全に分離。従来と違いどちらかの部門のみへの参加条件となったことで各部門共に、より一層参加クリエイターの窓口が拡大したのではないかと予測できる。

 数ある楽曲の中から上位に輝く栄光のみならず、昨年同様ランキング上位には非常に多彩な副賞も用意されている今回のボカコレ。
 一体どんな作品が大勢のボカロリスナーを魅了するのか、注目したいところだ。

意外な激戦区!?2022年秋開催時の楽曲部門投稿作品数の3日間推移

 こちらのグラフは前回開催時、2022年秋のボカコレのランキング企画にて、メインの楽曲部門に投稿された作品数の期間中推移グラフとなる。
 3日間のうちに投稿されたオリジナル楽曲作品は累計4744件。意外に思うリスナーもいるかもしれないが、実は投稿された全楽曲のうち約2/3以上がルーキー部門への参加作品となっている。これからの時代を担うであろう大勢の新人Pたちが、このボカコレの盛り上がりを支えているといっても過言ではない。

 初投稿から2年以内の期間を縛りとし、ルーキー部門に参加する新人Pたち。実はこの新人Pだけで、第3回→第4回、第4回→第5回のボカコレでは共に600人以上の新たなクリエイターが本ランキングに参戦している。
 そんな背景を踏まえると、いかにこのルーキー部門が激戦区となっているかが非常によくわかる。若手クリエイターの登竜門として、おそらく今回も多くの新人Pがここで切磋琢磨することとなる。

 一方で、今回は総合TOP100部門の盛り上がりも見逃せない。
 ボカコレも3年目に突入し、今回が「ボカコレ初回から参加する歴戦のルーキー」たちが総合TOP100でしのぎを削り始める、ちょうど分岐点の開催ともなるからである。ボカコレをきっかけに、憧れのボカロPとして活動し始めたクリエイターたち。おそらく今回開催から徐々に、彼らによるルーキー部門から総合TOP100部門への移動が始まるはずだ。

オリジナルだけじゃない!2022年秋開催時の二次創作部門作品数の3日間推移

 オリジナル楽曲のみならず、ニコニコ動画発祥のボーカロイドならではの“楽曲二次創作部門”も例年好評を博している。先述の通り、過去この部門で開催していた“歌ってみた”“踊ってみた”に関しては今や独立し、歌コレ&踊コレという別イベントとして確立されているほどの人気だ。

 現在このランキングには、“REMIX”“演奏してみた”“MMD&3DCG”の三部門が設立されている。
 その中で“REMIX”部門に関しては、オリジナル楽曲部門とあわせて応募するクリエイターも多く見受けられる「隠れ人気部門」だ。事実これまでにも数多くの有名Pが参戦しており、『キャットリビング – john remix』や『炉心融解(OSTER projectが本気でアレンジ)』、前回総合優勝者のいよわによる『アニマル』REMIXなど、多彩なクリエイターの遊び心あふれるアレンジが聴けるのも、この部門の大きな魅力だろう。

 もちろんREMIXに限らず、いろんな人気曲や定番曲の新たな一面や解釈、クリエイター同士の才能の化学変化が、この二次創作部門の醍醐味でもある。
 今回の春開催では、オリジナル楽曲のみならずぜひこちらの三部門もあわせてチェックしてみよう。まだ見ぬ神動画との出会いを、もしかしたらここで叶えることができるかも。

リスナーの熱い熱量も反映!ボカコレ期間中の投稿作品へのアクション数

 筆者も含めたリスナーの存在も、ボカコレには不可欠だ。彼らがこれまでのボカコレをどのように楽しんできたかを示すのが、こちらの投稿作品へのいいね!・コメント・マイリスト数の合計推移を表したグラフとなる。

 先ほども述べた歌コレ独立の影響もあってか、2022年春は総数をやや落としたものの、前回の2022年秋開催時には全項目がギネスを記録。動画内でも目に見えてわかりやすいコメントに関しては、全投稿作品への総数がなんと40万件を超える盛り上がりともなった。
 回数を重ねるごとに、ボカコレではリスナーが楽しめる企画も多数開催。そういった取り組みも、この結果に影響を与えていることだろう。

 今回の2023年春開催も、クリエイターのみならずリスナー参加型の催しが満載だ。
 「隠れた名曲をもっと知って欲しい!」「推しボカロPをもっとアピールしたい!」という人には、「ボカコレジュークボックス」や「ぼかれびゅ」への参加もお勧めだ。


 クリエイター、リスナーの枠に囚われず、多彩な楽しみ方ができるボカコレ。ぜひ今年の春は自分だけの楽しみ方を見つけて、半年に一度のボカロの祭典を目一杯楽しんではいかがだろうか。

Information

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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