『ドラクエ御三家』作曲家・すぎやまこういち氏(86歳)が語るシリーズサウンドへの想い「ドラクエは僕に幸せを運んでくれるゲームです」
エンディングに向かう楽曲『生死を賭けて』は「奏者側も生死を賭けてやっています」
齊藤:
みなさんにお伺いしたいんですが、初演は再演よりも圧倒的な緊張感はあるんですか。
高橋:
そうですね。他のシリーズは何度もやっているので、リズムやテンポなども楽員の中に浸透しているのですが、今回はまだ慣れていない部分があるので楽譜を見ても、どんなテンポだったか、どんな曲だったかを思い出しながら演奏しなくてはいけない。そういった意味では緊張しますね。
岡本:
高橋さんのトランペットは今回、目立つところがありましたもんね。
高橋:
今までのシリーズは全体を通して三分の一くらいしかトランペットは参加しないんです。残りの三分の二は休みという感じだったのですが、今回はあれだけある曲の中で、たった二曲しか休めなかったんです(笑)。
椿姫:
うれしい悲鳴ですね(笑)。
高橋:
とても幸せなことではあるんですがね(笑)。『生死を賭けて』という曲では、本当に奏者側も生死を賭けてやっています(笑)。
齊藤:
ホルンチームは今回どうですか。
西城:
やっぱり大変ですね。ホルンチームも生死を賭けてやっています(笑)。
高橋:
コンサートの流れとしても最後の方の曲なので、本当に命を賭けましたね。
岡本:
でも高橋さん、アンコールも全力で最高でしたよ。
高橋:
あれは力が入りましたね。
椿姫:
アンコールは感動ですね! あれはもう泣かざるを得ないです。ずるいです(笑)。
すぎやま:
ドラゴンクエストをやったことがないオーケストラで初めてやる場合は、ある程度指揮で引っ張っていかないといけないんですが、東京都交響楽団でやるときは、気持ち的には僕自身がメンバーに身をゆだねて、みんなに乗っかっていればいけちゃうみたいな感じなんです。
齊藤:
先生も八曲も連続で指揮をしていたら、すごく大変だろうなと思うんですが。でも、一番かわいいなと思ったのは、パーカッションに指示を出すときに、小さくジェスチャーを……(笑)。
すぎやま:
えっ、かわいい(笑)?
一同:
(笑)
椿姫:
では最後にすぎやま先生から一言いただけますか。
すぎやま:
ドラゴンクエストというゲームは僕自身が大ファンですし大好きですので、その音楽の仕事ができるというのは、この上ない幸せです。この東京都交響楽団という素晴らしいメンバーと一緒に音楽ができるのも幸せです。ドラクエは僕に幸せを運んでくれるゲームです。ありがとうございました。
椿姫:
みなさんありがとうございました。