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なぜ「板ガム」は「粒ガム」にシェアを奪われたのか? 機能性や社会環境の変化からその理由を考察してみた

 今回紹介する、敗北図鑑ゆっくりルーザーズさん投稿の『【板ガム】美味しかったのに何故・・・【ゆっくり解説】』。
 この動画では、音声読み上げソフトを使用し、昭和から平成にかけて愛された板状ガムが突如消えてしまった理由について考察しています。

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■粒ガム全盛時代へ。板ガムはどこへ消えた?

霊夢:
 パク。モグモグ。パク。モグモグ。

魔理沙:
 霊夢、何食べてるの?

霊夢:
 ガムだよ。美味しいんだこれが。

魔理沙:
 確かに美味しそうだな。でもスナック菓子みたいにムシャムシャ食べるのはやめな?

霊夢:
 カリッとした食感が美味しくてつい……。

魔理沙:
 確かに粒ガムの食感は魅力だな。板ガムと違ってコーティングされた部分が美味しいよね。

霊夢:
 板ガム? あー懐かしいね。

魔理沙:
 懐かしいでしょ。

霊夢:
 スウィーティーの板ガムなんかは、フルーツのような果汁感があって大好きだったよ。それにしても、板ガムって最近見なくなったよね。

魔理沙:
 たしかにな。

霊夢:
 前までは、板ガムばっかり売ってたのにね。

魔理沙:
 10年前くらいまでは、板ガムが主流だったよな。今はすっかり粒ガムに取って代わられてしまったね。

霊夢:
 粒ガムも美味しいけど、たまには板ガムも食べたいな。

魔理沙:
 実は、ガム市場で板ガムが淘汰され、粒ガムが主流になったのには理由があるんだ。

霊夢:
 え、そうなの?

魔理沙:
 ということで、今回は板ガム敗北の歴史について解説する。

■ガムとは?

魔理沙:
 そもそも霊夢は、ガムが何か知ってるか?

霊夢:
 え、知らない。よくよく考えたらアレって一体なんなんだろう。

魔理沙:
 意外と知られていないよね。ガムは、南米に生息する樹木、「サポディラ」の樹液を煮て作ったものなんだ。

霊夢:
 へえ~、元は樹液なんだね。

魔理沙:
 この樹液を熱で溶かして、硬さや弾力性を出す原料を加えるとガムベースになるんだぜ。

霊夢:
 ガムベース?

魔理沙:
 噛み終えたあとのガムのような、味の無い状態を言う。ガムベースに砂糖や香料を加えて柔らかい固まりにしたものが、霊夢が食べてるガムなんだぜ。

霊夢:
 へえー、知らなかった。そう考えるとガムって、かなり特殊な食べ物だよね。

魔理沙:
 もともとは、アメリカに住んでいたマヤ族などの先住民族がサポディラの樹液を噛む習性を持っていたんだ。文明が滅びたあと、マヤ族のこの習性が他民族に受け継がれ、広まったことで今に至るんだ。

霊夢:
 樹液を噛む習慣自体は昔からあったんだね。

■ガムはどのようにして日本で普及したのか

魔理沙:
 1800年代、アメリカで味の無いガムが発売されたことをきっかけに、甘味料を加えたガムや、甘味料に加え香料を加えたガムが次々に開発されたんだ。

霊夢:
 それが日本にも普及したってことだね。

魔理沙:
 その通り。日本には1916年に初めて輸入され、1928年から日本国内でも生産されるようになったんだ。

霊夢:
 100年ほどで色んな種類のガムが開発されたわけだね。

魔理沙:
 ガムはその製造方法の特性上、形や味を自由に決められるから、種類がたくさんあるんだ。

霊夢:
 ガムベースに何を混ぜて、どう成形するかによるからだね。

魔理沙:
 その通り。その中でも特に人気を博したのが、板状タイプの板ガムと、表面をコーティングした粒ガムだ。 第二次世界大戦後、1954年に、ロッテが国産初の板ガム「バーブミントガム」を発売したんだ。

霊夢:
 少し時代を感じるパッケージデザインだね。

魔理沙:
 同年にスペアミントガムも発売し、日本では、この年から本格的にガムが流行したんだ。さらにロッテは「グリーンガム」を発売した。

霊夢:
 グリーンガムは、いまでもたまに見かけるよね。

魔理沙:
 グリーンガムは、お口のエチケットガムとして、若者の間で評判になり、超ロングセラーとなったんだ。

霊夢:
 この時点では板ガムばかりなんだね。

魔理沙:
 そうなんだ。板ガムはこの地点でガム市場の頂点に君臨していた。

??:
 その通り!

魔理沙:
 こ、この声は!?

板ガム:
 私だ。時代の寵児、板ガムだ。

霊夢:
 え? 君しゃべるの?

板ガム:
 当時はガムと言えば、この私、板ガムのことだった。

魔理沙:
 ロッテを皮切りにお菓子メーカーがガム市場に参入したが、商品のほとんどは板ガムだった。

霊夢:
 板ガムってすごいんだね。

板ガム:
 うんうん。

霊夢:
 何がそんなに人気だったんだろうね。

魔理沙:
 板ガムは表面が広く、やわらかいため、ボリューム感と食感が人気の理由だったんだ。

板ガム:
 そうだぞ。ガムと言えば板ガムってくらいだったんだから。

霊夢:
 へえー。板ガムってすごいや。でもなんで今は見かけなくなったんだろう。

魔理沙:
 それは、ガムという商品が、徐々に機能性を求められるようになったからなんだ。

霊夢:
 機能性?

■ロッテが目的ガムを開発

魔理沙:
 1980年代前半、日本では、栄養学、予防医学、家庭医学の知識が急速に普及したんだ。

霊夢:
 それまでは健康志向は、流行りではなかったのかな。

魔理沙:
 そうなんだ。1980年代、ガムメーカーのトップを走っていたロッテは、いち早く健康志向のニーズをガムに取り入れた。

板ガム:
 ロッテさんは、従来の板ガムに、新しい機能を付加させた「目的ガム」を開発したんだ。

霊夢:
 も、目的ガム?

魔理沙:
 本来ガムには、噛むことによる3つの機能がある。この機能をロッテ風に言うと、お口スッキリ、眠気すっきり、お口をうるおわす、だ。

霊夢:
 確かにガムには、その側面があるね。そうした機能を全面に押し出したのが、目的ガムってこと?

魔理沙:
 そう。中でも、眠気を吹き飛ばす、頭をスッキリさせる、歯磨き効果があるといったガムの機能に消費者ニーズがあるとロッテは睨んだ。

霊夢:
 目の付け所が良い気がするね。

板ガム:
 ロッテさんほんまに有能やで。

魔理沙:
 そうしてロッテが開発したのが、眠気スッキリの「ブラック・ブラック」お口スッキリの「フラボノ」歯につきにくい「フリーゾーン」だ。

霊夢:
 どれも何らかの目的に特化しているんだね。でもこの地点では全部板ガムだね。

魔理沙:
 板ガムが下火になってきたのは平成に入ってからなんだ。平成に入ると、ガムの目的化はさらに顕著になった。まず、社会のヘルシー志向に応えるようにして、シュガーレスガムが登場した。

霊夢:
 シュガーレスは確かにここ10数年で一気に広まった感じがするね。

■キシリトールガムの登場

魔理沙:
 シュガーレスガムに続いて話題を集めたのが、キシリトールガムだ。

霊夢:
 あーキシリトールってすごくよく聞くよね。

魔理沙:
 ロッテはキシリトールガムを発表する20年も前から虫歯の原因となる酸を作らない甘味料である、キシリトールに着目し、砂糖に代わる原料として研究していたんだ。

霊夢:
 キシリトールは甘いけど虫歯にならない原料なんだね。

魔理沙:
 そうなんだ。そして1997年、とうとうキシリトールガムの商品化が実現したんだ。

霊夢:
 おお! すごい! で、それが板ガムが落ちぶれたのとどう関係するの?

板ガム:
 君失礼だな。

魔理沙:
 キシリトールを配合したガムが登場して以降、粒ガムが急速にシェアを伸ばしたんだ。

霊夢:
 キシリトールガムは粒ガムなんだね。

魔理沙:
 そう。キシリトール配合のガムが市場に登場したとき、そのほとんどの商品が粒ガムだったんだ。粒ガム自体は1990年代に入って、すぐに登場していたが、キシリトールガムの普及に合わせる形で、粒ガムもシェアを伸ばしたんだ。

霊夢:
 なんで急に板ガムから粒ガムに切り替わったんだろう。

板ガム:
 不思議だよなあ。

魔理沙:
 粒ガムはカリッとした表面の斬新さや、ヘルシーなイメージによって世間に定着したんだ。また、食べるときに口を大きく開けずに済む点も、女性ニーズを捉えたんだぜ。

霊夢:
 色々と粒ガムならではの利点があるんだね。

板ガム:
 そ、そうだったのか……。

魔理沙:
 他にも、ガム同士がくっつかない利点を生かしたボトルガムの登場も粒ガム台頭の要因となった。

霊夢:
 たしかにボトルガムも粒ガムでしか出来ないよね。

魔理沙:
 ガムに機能性が求められるようになり、粒ガムが普及する中、板ガムは良くない点が目立つようになっていった。

霊夢:
 良くない点?

魔理沙:
 例えば包装紙。個包装だからコストがかかるしゴミも出る。暑いところに置いておくと溶けてベタベタになるし、ニオイも強くてバッグなどにうつってしまうこともある。

霊夢:
 た、確かに。

魔理沙:
 粒ガムが主流になった理由はこんなところかな。

霊夢:
 板ガムは負けるべくして負けたって感じだね。

■社会環境の変化による「ガム離れ現象」

魔理沙:
 でもね、板ガムが無くなって以来、ガム市場全体の売上が落ちているんだ。実は「ガム離れ現象」が起きているんだ。
 日本市場の場合、ガム小売市場のピークは、2004年の1,881億円なんだけど、2005年から市場は縮小に転じ、2017年にはピーク時と比べて4割減少。市場規模は1,005億円まで落ち込んでいるんだ。

霊夢:
 え? どうしてそこまで落ち込んだんだろう。

魔理沙:
 ガム離れの原因は、社会環境の変化だと言われているぜ。

霊夢:
 社会環境?

魔理沙:
 1990年代まで、ガムの大きな役割は、移動中や待ち時間の「暇つぶし」だったんだ。

霊夢:
 それは分かる気がする。

魔理沙:
 ところが、現在では待ち時間や移動中、みんなは何をしてるかな?

霊夢:
 スマホを触ってるね。

魔理沙:
 そう。実は、携帯電話やスマートフォンの普及が、ガム離れの最も大きな理由だと言われているんだ。かつては暇なときはポケットやカバンからガムを取り出して食べていたが、最近ではガムではなくスマホを取り出して、インターネット検索することが多くなっているんだ。

霊夢:
 ガムの代替品が食べ物じゃないってのは面白いね。

魔理沙:
 ガム離れに対する明確な回答は、いまだガムメーカーは得られていないようで、市場が縮小している中でガムの機能性を追求し、付加価値をいかに高めるかが課題になるんだ。

霊夢:
 機能性重視の考え方になると、ますます板ガムは市場に帰ってこれなさそうだね。

魔理沙:
 まあそうだね。

板ガム:
 シュン……。

魔理沙:
 でも、時代が変わっても板ガムの持つ魅力自体が衰えたわけではないからな。さっき言ったように、板ガムにはボリューム感という、他のガムには無い強みがある。

霊夢:
 まあね。板ガムが売ってるのを見たら思わず買っちゃうかも。

板ガム:
 ありがとう! またみんなに噛んでもらえる日を楽しみにしてるよ。

 

 ガムに求める機能性やデメリットなどを考えると、板ガムが消えてしまった理由も理解できる気がします。解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

【板ガム】美味しかったのに何故・・・【ゆっくり解説】

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