ようこそ心が温かくなる“やさしい世界”へ。『大獣公とユニコニスの乙女』は童話のようなファンタジー
ニコニコ漫画「FLOSコミック」にて掲載中の『大獣公とユニコニスの乙女』は、細工作りが大好きな心優しい少女の物語です。
奴隷のような生活をおくっていた少女の運命は、とある男性との出会いをきっかけに動き出して……。ついつい応援したくなる少女・ラナを見ているだけで心が温かくなります。
作者:杉町のこ(@sugilight)
原作:柚原テイル(小説家になろうマイページ)
隠れ里の能無し少女ラナ
「いったいいつまでかかってるの?」と、女たちから叱責を受けるボロボロの少女。
彼女の名前はラナ。何ら取り柄のない亜族(メディム)として、奴隷のような暮らしを送っていました。
シアーウッドの隠れ里は、物作りに長けたドワーフたちが暮らす集落。
ラナ自身もハイドワーフである母の血を引いているはずなのですが、なぜか彼女には才能がなく。
そんな両親も死んでしまったいま、ラナは心を殺して日々雑用をこなすことだけが生きる道だったのです。
ラナの生活は日々過酷で、仕事を終わらせるまでは食事の許しさえも与えてもらえません。
そんな彼女を心配そうに見つめるのは、この村唯一の獣族(ビーストン)である長老です。
「仲を取り持ってやれずにすまんの」と申し訳なさそうにする長老でしたが、ラナは「それでも……好きな時間もありますから」と笑顔を見せます。
じつは彼女にとって、この一日の終わりにやる仕事こそが生き甲斐とも言える時間となっていたのです。
夜遅く、誰もいなくなった工房へと足を運んで月明かりに顔をほころばせるラナ。
そして出荷間際の商品が詰まった箱を開き、中に入っていた細工を丹念に磨いていきます。
細工作りの才能はないものの、細工に対する愛は人一倍。この時間こそ、彼女が細工に触れることを許される唯一のチャンスなのでした。
生きて行くので精一杯ではありますが、長老だって気にかけてくれるし、窓辺にはかわいい小鳥の友人・リトの姿も。
決して毎日辛いことばかりではないと思い直したラナは、折れない心で今夜も細工に向き合います。
両親との思い出と、ラナの転機
古族(エイシェ)のハイドワーフの母と、人族(ヒューイ)のあいだに生まれた亜族であるラナ。
ラナが細工のことを好きになったのは、やはり手先が器用だったお母さんの影響なのでしょう。
幼き日に母の作った細工を取り扱う店に連れて行ってもらったことは、ラナにとってかけがえのない思い出。
制作中から大層気に入っていた細工を母からプレゼントしてもらえることになり、ラナは目を輝かせます。
それを隣で見ていた父親は、母からプレゼントされる予定の細工を手にとって祈りを込めるようなポーズを取ります。
すると、手の中に不思議な光が集まっていき……父は「ラナを守ってくれますようにって思いを込めていたんだよ」とひと言。
あの光の正体は果たして何だったのか。幼きラナには知る由もありません。
……もうあのころには戻れなくとも、あの日両親からもらった細工はいまも彼女の髪に輝き続けています。
自分もあんな細工を作りたい。そのためにできることを精一杯やり続けていこうと、ひたむきにがんばるラナ。
そんな彼女の想い、これを手に取る誰かに向けた想いは、かすかな光となって細工に込められていきます。
そんなラナの運命を大きく変えることになったのが、人族と亜族の混合部隊が里にやってくるという知らせ。
戸惑う里の住人たちは避難する間もなく、到着した部隊に制止されてしまいます。
どうやら彼らはある細工の制作者を探しに来た様子。それを紛れもなくラナが磨いた――この里で作られた細工にほかなりません。
追い詰められた住人たちが沈黙するなか、ラナはあのハーフドワーフの女性から背中を押され……。
この里出身でもなければ家事と細工磨きしか能がないにもかかわらず、まんまとスケープゴートにされてしまったラナ。
しかし、だからこそ、こんな私でも役に立てるのならばと、彼女はみずから細工の制作者として名乗りを上げます。
ただごとでは済まされない雰囲気のなか、いったい彼女にどんな運命が待ち受けることになるのか。
覚悟を決めたラナ。その細腕を優しく引き寄せた部隊長らしき男性は、「俺と一緒に来ないか?」と優しく語りかけるのでした。
不器用な公爵様、レイフォルドの思惑やいかに……?
理由もわからぬまま、人族たちに連行されてしまったラナ。
警戒心MAXのなか長旅をさせられることになり、道中では紆余曲折あった末に気を失ってしまうのですが……。
つぎにラナが目を覚ますと、そこは整った一室のベッドの上。
隣りではあのとき彼女に手を差し伸べた男、レイフォルドが見守っていました。
まだ罪状も知らないラナでしたが、里のことを思うと気が気ではありません。
怯えるラナがひれ伏すと、見かねたレイフォルドはそばに腰を下ろします。
強面なレイフォルドは努めて落ち着いた口調で、あの細工の制作者に罰を与えることが目的ではないと語り聞かせます。
そして不器用ながらも笑顔を浮かべながら、ここがラキアナ王国のオルディア公爵領だと説明。
人族が統治しながらも、多様な種族が暮らすラキアナ王国。彼はそこで橋渡し役の“護獣官”を務める公爵様でした。
ただ、理想と現実のあいだにはなかなかに大きな隔たりがあるような素振りも。
他種族の調和が思うように進まない原因には、王国の頂点に君臨する王妃様が少なからず関係しているようで……。
あらゆる物に触れるだけで“祝福”を与えることができるという、この世で唯一の力を持つラキアナ王妃。
彼女の言動からは、あからさまな種族差別の意識も感じられます。
こうした王妃の姿勢は目に余るものがあり、騎士団の中で唯一の獣族であるレイフォルドに対してもこの態度。
ただ、そんな王妃はつぎの品に“祝福”を付与しようとしたきりはたと手を止めます。
王妃がひと目見て戦慄したその品こそ、ラナが磨いたあの細工だったのです!
「私と……同じ……?」という言葉から察するに、すでにその細工には“祝福”が込められていたとみて間違いないでしょう。
謎が謎を呼ぶこの展開。果たしてレイフォルドは、王妃と同じ力を持つラナに何を見出したのか!? 気になった方は、ぜひ続くエピソードをチェックしてみてください!
(画像はニコニコ漫画『大獣公とユニコニスの乙女』より)
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