『アイドルマスター シンデレラガールズ』声優陣はプロデューサーの期待とどう向き合ったのか? 辻野あかり・久川颯・ナターリア役声優が明かす収録秘話
突然知らされたソロ新曲の収録
──プロデューサー視点としては、ボイスが実装されたら、ライブ出演、そして新曲のリリース……なんて期待しちゃうものなのですが、今回のソロ曲リリースについてはいつくらいに知らされていたんですか?
長江:
プロデューサーのみなさんと同じように、ライブ中の告知映像で知ったよね?
生田:
私、その前から知ってたな。
梅澤:
じつは、私も……。
長江:
うそぉ! なんで!?
──謎ですね……。梅澤さんと生田さんはいつごろお話があったんでしょう?
梅澤:
私は、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! MerryMaerchen Land」(2021年10月2日・3日に開催)の直前にソロ曲デビューについて教えてもらいました。
リハーサルのときに、音楽プロデューサーさんとお話していて、「(今日は)がんばります!」と私が言ったら、「あなたはライブが終わっても、ソロ曲の収録があるからね」と返されて。「ええっ!?」って(笑)。
──ライブ直前なのにすごいサプライズですね(笑)。
梅澤:
たぶん、このライブをやりきったらようやく一時的に緊張から解放されるな、という私の気持ちを察知されてしまったんだと思います。
生田:
でも、私もめぐちゃんと同じような感じだったよ。
私の場合は「EVERLASTING」の収録のときで、スタッフさんに「ナターリアとしていろんな曲が歌えて楽しいです~!」って言ったら「あなた、まだ年内に収録あるからね。急ピッチで仕上げなきゃいけないやつだから、がんばって!」って。しかもそれがソロ曲で「えー!」ってなったよ~。
梅澤:
私のときと、同じ顔で言われてそう(笑)。
生田:
絶対、私たちの反応を見て楽しんでるよね(笑)。ちなみに急ピッチだった理由は、年明けのライブで披露するからだったことが後に判明しました。
──長江さんはライブでの発表までまったく連絡はなく?
長江:
そうですね。私は、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! CosmoStar Land」(2021年12月25日・26日に開催)の発表で知りました。
私が参加する公演ではなかったのですが、たまたまスケジュールの都合がついて、配信で観ていたんです。そしたら告知映像が流れて、「わっ!」って。
生田:
それはびっくりするね。しかも、たまたま観られたからよかったものの、もしかしたらSNSとかで知ってた可能性もあったってことだよね?
長江:
それなのよ! 本当に観ていてよかったです(笑)。マネージャーさんもそれまで知らなかったみたいなんですが、「いつもこんな感じで、前触れなく発表されることが多いよ」とも言われました。
──それは驚いちゃいますよね。
長江:
私は双子のユニット曲でデビューしていて、凪のソロ曲も先に出ていたので、はーちゃんのソロデビューはしばらく先かなと思っていたのもあってビックリしました。
洗脳するように歌った辻野あかりソロ曲「トキメキは赤くて甘い」
──ここからはみなさんのソロ曲について根掘り葉掘りお聞きしていければと。まずはあかりちゃんのソロ曲「トキメキは赤くて甘い」について。歌われている梅澤さんから見て、この曲にはどのようなテーマが込められていると思いますか?
梅澤:
あかりちゃんのソロ曲「トキメキは赤くて甘い」は、表面的にはりんごのことを歌っているような歌詞になっています。でも、裏テーマとしては、あかりちゃん自身のことを言っていると思うんです。
──ふむふむ。どういうところが「あかりちゃん」っぽいんですか?
梅澤:
たとえば、「ピカピカに磨かれた おめかしで誤魔化しても ダメダメな中身では 手に取ってもらえない!?」は、りんごのことに見せかけてあかりちゃんの内面を投影するような歌詞なのかなって。
でも、本人はきっと山形りんごの宣伝ソングだと思い込んでいるから、自分自身では気付いていないんですけど……本意としては、あかりちゃん自身を歌っている、という仕掛けがおもしろいところだと思います。
──これは歌詞に注目しないとですね!
梅澤:
あと、じつは曲のなかで、こっそりとささやき続けています。ウィスパーボイスで言っているのでみなさんのリスニング能力が試される部分だと思うんですが、私としてはそこがいちばんあかりちゃんぽいな、って感じました。
きっと、指示があったわけでもないのに、ずっと図太く山形りんごの宣伝をしているってことなんだろうな、と。歌詞カードに載らないということは、彼女が独断でやっているようにも捉えられるじゃないですか(笑)。
──やっていてもおかしくない……というか、あかりちゃんなら間違いなくやるんだろうな、と想像できますね(笑)。ちなみに収録の際にはどのようなやりとりがあったんでしょう?
梅澤:
音楽スタッフさんからは、先ほども触れた歌詞にない部分を「洗脳するように歌ってください」とディレクションを受けたことが印象に残っています。
──洗脳ですか(笑)。
梅澤:
はい(笑)。「居眠りしているプロデューサーの耳もとで、コソコソささやくように」とも言われたので、私もマイクに手を添えて歌ってみたのですが……。
──音楽スタッフさんの反応は……?
梅澤:
何度も何度も、「それだとまだ洗脳できないよ!」、「もっと洗脳して!」と。洗脳なんてしたことないよぉ……って四苦八苦してしまいました。
あ、でも、洗脳以外の部分はあかりちゃんらしい元気な感じで仕上がっています! ただ、やっぱりCDじゃ完成されない曲なんだな、と思いましたね。ライブになって、初めて完成される曲だと思います。
生田:
ライブで洗脳しちゃうんだ?(笑)
梅澤:
……っていうのもあるんですけど(笑)。いずれまた、ライブで声出しができるようになったら、とっても楽しい曲だろうなって!
「一番のりんごはなにりんご? (山形りんご)」という歌詞が歌い出しになっているんですが、たとえば「あかりんご!」ってコールしてもらうこともできそうじゃないですか。そこはプロデューサーさんしだいなところなのですが、本当に楽しみです。
はーちゃんの好きなモノが全部詰まった久川颯ソロ曲「Packing Her Favorite」
──続いて、颯の「Packing Her Favorite」についてお聞きできればと思うのですが、この曲をひと言で表すとどんな曲なんでしょう?
長江:
「Packing Her Favorite」というタイトルの通り、はーちゃんの好きなモノをぜんぶ詰め込みました! という曲になっています。東京にとにかく憧れを抱いて、徳島から出てきた子ですからね。
詰め込みすぎて、「って待って やっぱ入んない!(えーん)」となっている部分もあって、そんなおてんばなところまで凝縮されている、本当にはーちゃんらしい曲だと思います。
──颯のソロ曲は、ラップパートの比率がかなり多いのが印象的です。
長江:
ラップパートには、ぜひ注目して聴いていただきたいです! ラップというと、むしろ凪のほうが得意なイメージが強い気がするだけに、私としてもすごく新鮮でした。
ラップは過去に経験したこと自体はあったのですが、正直あまり自信がなくて。けれど、自信がないままだと自信のなさが声にも乗ってしまうから思い切ってやろう! と挑戦しました。
そしたらそれがハマって、私、意外とできるじゃん、と思えたんですね。だから、今回の収録でもかなり自信満々に歌えたので、本当に楽しかったです。
──曲を聴いた際の第一印象はいかがでしたか?
長江:
デモテープを聴いた段階では、オシャレな曲だな、と感じました。だから収録の最初のほうでは、優しく、癒やし系な雰囲気で歌ってみました。
そしたら、「はーちゃんの曲だから、元気に歌って大丈夫だよ」とディレクションをいただいたんです。なので、オシャレな曲調だけれど、そこに流されないように元気に歌うということに苦戦しましたね。
──オシャレに元気に、聞いているだけで難しそうです。
長江:
そうなんですよ。あまり息を入れないように……吐息を入れると大人っぽくなってしまうので、キュッと喉を絞ることを意識して。中学2年生なりの幼さも出しつつ、つねに曲調にあらがって元気よく歌いました(笑)。
──そもそも、ご自身として歌うのと、キャラクター(アイドル)として歌うのとでは、まったく別のスキルが要求されると思うんですが、いわゆる“キャラソン”を歌ううえでは、どのような苦労があるのでしょうか。
長江:
むしろ私は、どちらかというと自分として歌うほうが難しいと感じます。というのも、自分の個性がどこにあるのかが、いまいちわからないんですよね。
その点、颯らしさをイメージして、こんな歌い方をすれば、その子に近付けるんじゃないかな、と妄想ができますから。私はキャラソンのほうが歌いやすいです。
──どういう風にアイドルを捉えていくんでしょう?
長江:
とにかく、歌詞の一文にいたるまでクセのようなものを見つけていって、私自身ではない別の解釈を歌声に乗せられるようにとの想いで、いつも歌っています。
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太陽のような明るさで輝くナターリアソロ曲「ソウソウ」
──ナターリアの新曲「ソウソウ」は、ナターリアらしい明るく楽しい曲になっていますよね。このインタビュー直前に、今回発売される楽曲を順々に聞かせていただいたんですが、「ソウソウ」を聴いているときはみんな(ライター、編集、カメラマン、日本コロムビア担当)で「聴いてるだけで世界が平和になる」「身体に染み渡る陽気さ」と和んでいました。
生田:
ありがとうございます! ナターリアは、本当にどこから沸いてくるんだ? というような底抜けの明るさを持っている子で。そんな部分が、イノタクさん【※】の手掛ける歌詞とメロディにギュッと詰まっていると思います。
イノタクさんにお聞きしたんですが、タイトルの「ソウソウ」はポルトガル語で「Sou O Sol」=「私は太陽」って意味なんだそうです。みなさんが覚えやすいようにとかいろんな理由で、最終的にはカタカナ表記になったみたいです。
※TAKU INOUEさんの愛称。「ソウソウ」の作曲・編曲、またMCTC名義にて作詞を担当。
梅澤:
えぇーっ! 素敵すぎます!!
長江:
めっちゃいい~~!
生田:
「私は太陽」というド直球なタイトルの歌を歌えるところが、ナターリアらしいなぁって。レコーディング当日は、自分自身に「太陽だ、私は太陽なんだ!!」って言い聞かせながら元気いっぱい収録に臨みました。
ブラジルからひとりで、アイドルになりたいという想いだけで日本に来たという彼女の不安な気持ちや、「それでも!」と不安な気持ちを振り払って、「おおげさな声あげて」みんなで歌おう、と盛り上がっていく。
歌詞はもちろん、曲調もサンバのようなラテン系のリズムだったり、コーラスには大勢の人の声が入っていたりと、カーニバル感満載のナターリアらしい明るくて楽しい曲に仕上げていただきました。
──さすがナターリアPとしても知られるイノタクさん……! タイトルには、そんな素敵な想いがこめられていたんですね。
生田:
「ソウソウ」について、イノタクさんからは「野外の広いフェスティバル会場のような場所で、いっぱいのお客さんの目の前で歌っているような曲」だというお話がありました。
収録のときは、「こんなにたくさんの人の前で歌えて幸せ!」って気持ちだったり、「みんなで歌うのってこんなにも楽しいんだよ!」って気持ちだったりを乗せてほしいともディレクションがありました。
ふだんの私は、収録のときにナターリアの3Dモデルやイラストを思い浮かべながら、「こんな表情かな?」「こんな仕草をするかな?」と考えて歌うことが多いのですが……。
──今回は、違うものが見えた?
生田:
はい! 「ソウソウ」の収録のときは、そうしたディレクションを意識していたからか、私自身がナターリアの視点になって、一心同体になったような感覚で歌っていたことに、歌い終わった後で気付いたんです。
長江:
その気持ち、すごくわかる。歌の力って本当にすごいし、作詞・作曲の方もアイドルのイメージに合わせて曲作りをしてくださるから、それがドンピシャにハマったときに、本当にアイドル自身になったように歌えちゃうんだよね。
生田:
そうなの! だって、本当に目の前に見えたもん。リオのカーニバルが!
「ソウソウ」を聴いてくださった方にも同じ景色が見えていたら嬉しいなぁ~。身も心もナターリアとして歌うことができた、特別な一曲になりました。
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3人のソロ新曲に期待。CD、買おう!!
──ここまでいろいろお話をお聞きしてきましたが、みなさん本当に仲良くて驚きました。ふだんから現場などでご一緒される機会は多いのですか?
長江:
この3人で一緒に会えたのは、ちょうど昨日【※】あった「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND!!!」のゲネプロ(通しリハーサル)が初めてですね!
※取材日は2022年3月某日。
──なんと、そうだったんですね。ゲネプロはどうでした?
長江:
包み隠さずに言うと、本当に大変でした(笑)。
生田:
いつものライブ以上に今回は長丁場だもんね。
梅澤:
肉体的に疲れたというよりは、自分の出番を待つことに疲れた感じがします。
生田:
セットリストが50曲くらいあるので、待機時間もたくさんあって。そのなかで自分の番が来るまで気を張り続けていないといけない。昨日は、1日中そんな感じでした。
──記念すべき10周年ライブということで、出演メンバーも非常に多いですしね。
生田:
そうですね。お稽古着のおそろいジャージを着ていると、髪型や背格好が似ているメンバーが、スタッフさんから間違えられちゃうこともあったりして(笑)。
梅澤:
しかも、いまはみなさんマスクをしているから、余計にわからなくなっちゃいますよね。
長江:
そういえば、大空直美さん(緒方智絵里役)がマスクに大きく「大空」って書いていて、天才だ! って思った(笑)。
生田:
えっ!? 気がつかなかった! 私もそれ、真似したいなぁ~!
──いいかもしれませんね。さて……できることならこのまま永遠にみなさんの楽しいお話を聞いていたいところですが、そろそろお時間も迫ってきているということで……最後に、ソロ曲を心待ちにしているプロデューサーのみなさんに向けたメッセージをお願いします。
梅澤:
これからも、辻野あかりちゃんと、ソロ曲「トキメキは赤くて甘い」を……そして、山形りんごをよろしくお願いします!
長江:
おっ! 潔くまとめたね!
梅澤:
シンプル・イズ・ベストです!(笑)
長江:
(笑)。颯のソロ曲の「Packing Her Favorite」が生まれたことは、本当にみなさんのおかげだと思っています。これからもみなさんにはーちゃんの魅力をお届けできるよう、これからも魂を込めてがんばります!
生田:
ナターリアのソロ曲「ソウソウ」は、聴くだけでいつでも元気になれるような曲だと思います。ぜひ、たくさん聴いていただいて、もっとナターリアのことを好きになっていただけたら嬉しいです。
──本日は、ありがとうございました!(了)
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
『デレマス』における“アイドルへのボイス実装”──いわゆる“アイドルに声がつく”瞬間とは、いちプロデューサーとして紛れもない慶事であると感じている。
それは、プロデューサーたちのプロデュースがある種、実を結ぶ瞬間であるのと同じくして、制作スタッフからの“アイドルの声を届けたい”という想いと、そのアイドルを最も幸せにしてくれる担当声優の方が繋がった瞬間でもある(と思っている)。
だからプロデューサーたちは、担当声優さんたちに対して真っ先に「担当してくださって、ありがとうございます」と感謝の意を述べるのだろう。そこには当然、まだボイスが未実装のアイドルに対するリスペクトも込められているはずだ。
心からプロデュースしたいと思えるアイドルがいるからこそ、そのアイドルの担当声優さんに対しても、プロデューサーとして胸を張れる自分自身でありたい。そう思わせられる土壌が、文化がここにはあるのだと、今回の取材を通して改めて実感した。
ただただ、いま一度、梅澤めぐさん、長江里加さん、生田輝さんのお三方に──ひいては「シンデレラガールズ」の皆さんに、この場を借りて「声を担当してくださって、ありがとうございます」とお伝えしたい。
梅澤めぐさん、長江里加さん、生田輝さん直筆サイン色紙をプレゼント!
インタビュー後、梅澤めぐさん、長江里加さん、生田輝さんの3人に色紙へ直筆サインを書いていただきました。今回はこのサイン入り色紙を抽選で3名様へプレゼントします!
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辻野あかり役の梅澤めぐさん、久川颯役の長江里加さん、ナターリア役の生田輝さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼント🎁 #idolmaster
— ニコニコニュース (@nico_nico_news) April 20, 2022
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締切:2022/4/27(水)23:59 当選はDMでお知らせします pic.twitter.com/jS9Yvm24fm