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ヨッピー&中川淳一郎、ネットにクソメディアが氾濫する理由を語る「ちゃんと取材して記事を書いたら大赤字なんですよ」

実費のかかる丁寧な記事vs低コストのコタツ記事「そりゃコピペしますわ」

ヨッピー:
 たしかに一時期の無法な流れは少し収まったと思うのですが、やっぱりまだまだ跋扈している現状があるんですよね……。

中川:
 というと?

ヨッピー:
 僕は現在『SPOT【※】』というサイトの編集長的な仕事をしているんですけど、なぜそのサイトをやろうかと思ったかというと、「大阪 観光」で検索をかけると、無茶苦茶雑な情報が最初の方に表示されるんですね。
 「あきらかに現地に行ってないやろ!」という記事がたくさん出ることが気に食わなくて、ちゃんと現地に行って、その地に詳しい人が書くというコンセプトの下、『SPOT』を運営し始めることにしたんです。そうするとですね……大赤字なんですよ!

※SPOT
ヨッピーさんが編集長を務めるSPOT。運営元はアドウェイズ

中川:
 それって交通費とかもかかっているからですか?

ヨッピー:
 そうなんですよ。大阪の記事を書こうと思ったら、交通費、宿泊費、飲食費、ライターへのギャラ……全部で10万円かかるとして、1本10万円で月に20~30本の記事を作ったら外注費だけで毎月200~300万円かかるわけです(笑)。まぁ~~赤字ですよ! 「そりゃみんなコピペするわ!」と思いましたよ。

中川:
 コピペ記事の原価が数百円だとして、広告費で4万円を稼げるなら、たしかにコピペを選ぶインセンティブは働きますよね。。

ヨッピー:
 ほんとですよ(笑)。

中川:
 俺、今年の2月に沖縄に行ってきたんですよ。ネット上でいつも左翼とケンカをしていたから、沖縄について無知に基づくバカツイートをしてしまった。津田大介さんのアドバイスもあって、「現地を知らなきゃいけない」ということで沖縄に行くことにしたんです。
 帰京後、「沖縄に関して無知であったにも関わらず、話をしていたことに対して恥ずかしい」というような内容を、『現代ビジネス』の記事にしたわけです。3万円のギャラに対して、飛行機代約5万円、ホテル代が……プロ野球のキャンプシーズンということもありハイシーズン扱いで約2万円、レンタカー代などを含めるとトータルで9万円ほどかかったんですよ。
 記事って、真摯に書こうと思うとそれくらいの実費をともなうわけですよ。ギャラが高いとか安いとかではなく、現地で取材をしようと思うと、たしかにお金が飛んでいく。

ヨッピー:
 ところがコピペだと、ものの数分で終わり、実費もほとんどかからない。普通に記事を書くのってこんなに大変だったっけ? みたいな感覚に陥るんですよ。となると! 赤字幅を埋めなきゃいけないということで、僕は広告記事を書き始めたわけです。  

中川:
 なるほど~。

ヨッピー:
 『SPOT』でいうと、日清食品のカップラーメンのCM記事みたいなものを作ったり、佐賀県や広島県からお金をいただいて広告記事を作ったりしました。そういう利益で大阪の記事を含めた広告記事じゃない記事を作成していたわけですね。
 そしたら、今度は「宣伝記事ばっかり書きやがって!」と言われる始末で……(苦笑)。なんなんだよぉ! って話ですよ!

中川:
 (記事も含めて)インターネットというのは、各人が選べるわけだからなぁ。仮にタイトルが釣りっぽいものであったとしても、面白い記事であれば読まれるわけですよ。
 「面白いんだったらいいじゃないか」と思うわけで、読んで面白かったのに「なんだよ広告かよ!」と怒るのはお門違いだと思いますけどね。

ヨッピー:
 女優ののんさんに登場していただいて広島県の宣伝記事を書いたんですけど、皆さん、「のんさんかわいいな」とか「広島に行きたくなった」とか言ってくれるんです。その一方で、その記事がお金をもらっていると知ると、怒り出す人たちがいるんですよね。

中川:
 その人たちは全員、無職なんですかね(笑)。

ヨッピー:
 (笑)。お金がないと何も生み出せない、当然女優さんのギャラも払えないんだから、そこを批判されると、「じゃあ、僕はどうしたらいいんだよ?」って(笑)。

中川:
 この放送だって、ノーギャラじゃないんだからさ。このスタジオまで来るのに、地下鉄で210円くらいかかるんだよ! その程度とはいえ、往復1時間半ぐらいかかって電車代もかかる。これはコストです。スタッフだってこんなに揃って仕事しているんだからお金はけっこうかかっている。なんでも安価でできると思うなよ! ってことになるよね。広告で少しはコスト分を回収したいと考えるのは普通のことです。

ヨッピー:
 広告記事がむやみにデリケートなのは分かるんですけど、広告と分かるや攻撃的になるのはやめてほしいなって。広告業界の自業自得の部分はあるんだろうけど。

PR問題の行く先 本当にタイトルに示す必要ってあるの?

中川:
 となると、まさにそろそろPR問題は決着したいよね。

ヨッピー:
 この問題って、【広告】【PR】という表示をタイトルに示すか否かということが議論されているんですよね。すでに僕が書いた記事であれば、記事の本文中に広島県の提供ですと分かるような記述していますし、本文の冒頭や記事の最後にも、提供元を分かりやすく示しているわけです。
 それにも関わらずタイトルの中にもPRと入れなければいけないのか? という問題があるんですよね。あまりに「入れろ」と言われるもんだから、入れてみたんですよ。

中川:
 ほうほう。そうしたことでPV数に変化はありましたか?

ヨッピー:
 全然変わらないんです(笑)。だったら、中身が広告記事だと分かる内容にしていればいいじゃないかって。それにもかかわらず、「タイトルに広告と出さないのは、広告と表示するとお前のPV数が減るからじゃないのか?」みたいに煽られて、ハァァァ!? ですよ!

ヨッピー:
 仮にね、もし僕が書いた記事のPV数が半分に落ち込んでも、「それでも普通のライターよりはぜんぜんも多いからな!」って言いたいくらいですよ……これ、言っても、大丈夫だったかな(苦笑)。

中川:
 いいよ! 言ってやれ、言ってやれ!

ヨッピー:
 僕は当初からタイトルに【広告】【PR】と入れようが入れまいが、数字は変わらないと思っていたんです。で、入れるようにしてもやっぱり予想通りそんなに変わらないんですよ。今では変わらないことが分かったわけだから、表面的な部分だけで判断するのはやめてほしいですね。

中川:
 その一方で、そもそもまともなネットメディアがあるのか? ということも問題になってくると思うんですけど、ヨッピーさんはどう思いますか?

ヨッピー:
 今はだいぶ増えたと思うんですよね。『BuzzFeed Japan』『withnews』とか、最近は『ねとらぼ』もいいですよね。

中川:
 俺は、紙メディア及び電波メディア出身者はネットの世界に入っていったほうがいいと思っているんだよな。紙の市場ってどんどん縮小していくから、取材スキルや編集スキルをウェブに転換させたほうが、世の中のためになると思うんですよ。

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