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小倉唯「20代前半で仕事を辞めることも考えた」。 大学進学して勉強する中で見えた“もうひとつの選択肢”と、それでも声優の道を進むと決めた“きっかけ”とは?【人生における3つの分岐点】

分岐点3:大学卒業

──「大学を卒業したあたりに吹っ切れた」とのことですが、最後の分岐点について聞かせてください。

小倉:
  はい。大学の卒業は、自分にとってとても大きな出来事でした。それまでの私は、お仕事をしながら、同時に学業もかなり優先していたんです。
 文武両道を目指していたので、お仕事も学業も両方がんばりたくて。そして、大学の卒業後には、実は別の職業への選択肢も考えていました。

──え……どういうことでしょうか!?

小倉:
 このままお仕事を続けるのか、辞めるのか、真剣に悩んでいた時期があったんです。
 結果的には、大学を卒業するタイミングで、自分の中で明確な気持ちの変化があって。それで、このお仕事を続けることにしました。だから大学の卒業は、自分にとっての大きな分岐点ですね。

──衝撃のお答えでした。声優業も、音楽活動もあれだけ順調に進んでこられた方が、辞めることを考えるだなんて。

小倉:
 突然の思いつきではなく、ずっと悩んでいたんです。お仕事どころか、全ての生活を一気に絶ってしまおうか、なんてことすら考えた時期もありました。そのくらい、精神的に追い詰められていた時期もあったんです。

──なるほど……そう考えたのは、いつごろのことですか?

小倉:
  中高生のころかな……(長い沈黙)……ごめんなさい、いろいろとあの頃のことを思い出してしまって。
 さきほどお話ししたとおりですが、私は学校でのつらかったことや、声に対するコンプレックスを仕事に救ってもらったと思っています。だからこそ、仕事をがんばりたいという気持ちも、とても強かった。

 私のやらせていただいているこの仕事は、良い意見も、悪い意見も、本当にたくさん届きます。華やかに見えるけれど、厳しい世界でもある。応援してくださる方々の声に助けられながらも「本当にこのまま、この世界にいてもいいのかな?」という不安が、ずっと頭のどこかにあったんです。
 だから、「とにかく大学卒業までは、とことんがんばってみよう!」と自分を鼓舞して、駆け抜けてきました。

──あれだけお忙しい中で大学に進学されただけでもスゴかったのに、小倉さんの学生時代を知る方は口を揃えて、「とても真面目に勉強されていた」と証言されますよね。そのがんばりを支えたモチベーションは何だったのかと、不思議に思っていたんです。それは「大学までがんばってみよう」と、期限を切って、覚悟を決めていたんですね。

小倉:
 そうですね。大学進学を決めたのは、中学生のとき。学校にいらしたカウンセラーの先生がすごく素敵な方で、お話した時に救われたような気持ちになったんです。
 そこから、私も何か人の助けとなるような、人の心を癒せるような存在になりたいと思い、心理職に就くための勉強をしよう、と決意しました。だから、声優とは別の道に進むことも、本当に真剣に考えていました。

──ちなみに、キャンパスライフは楽しめましたか? 

小倉:
  はい。女子大だったんですが、何か心配があっても友達がまわりの視線から守ってくれたりと、友人関係にも恵まれました。大学の雰囲気やしきたりも自分に合っていて、すごく素敵な環境で学ぶことが出来ました。
 ひとりの学生として純粋に学校生活を楽しめましたし、友達との思い出もたくさん作れて、本当に素敵なキャンパスライフを過ごせたなって思います。

自分にとっての「幸せへの近道」

──改めて、声優を続けようと決めた気持ちの変化は、何がきっかけだったのですか?

小倉:
 大学に入り、生まれてはじめて芸能のお仕事には関わっていない、同世代の人たちの、世間一般的な価値観を目の当たりにしたことが大きかったと思います。
 中学高校は芸能コースのある学校に進みましたし、友達も、お仕事に関わっている子が多かったので。普通の「社会人」として生きて行くことがどれだけ大変なのか、それまでの私には、きちんと理解できていなかったんですよね。

──もう少し詳しく教えていただけますか?

小倉:
 たとえば、そもそも今「目の前にお仕事があること」自体がとてもありがたいことなんだな、とか。厳しい芸能の世界でも、なんとかここまで続けてこられたことは、「もっと自分に自信を持っていいことなんだ」とか。それまでは見えていなかった、私自身の恵まれた部分に気づかされたんです。 

──これまでの経験だったり、築いてきたポジションを肯定できたんですね。 

小倉:
  そうですね。なので、大学を卒業してまたゼロからキャリアを構築するよりも、ここまで自分が積み上げてきたキャリアや経験を生かしてがんばる方が、もしかしたら自分にとっての「幸せへの近道」なんじゃないかな? と思えるようになったんです。

背中を押してくれた先輩からの言葉

──なるほど。「声優が私にとっての幸せへの近道」。

小倉:
 はい。そう思えるようになってからは、ひとつひとつのことに対して、より自信を持って取り組めるようになりましたし、お芝居の表現方法も変わっていったと思います。
 前に、現場でご一緒になった先輩が声をかけてくださったことがあったんです。「唯ちゃんのお芝居は、背中から全部伝わってきてるよ。感情とか、全部伝わってきてる。」って。

──おお……なんて温かい。

小倉:
  はい、衝撃を受けました。自分の芝居をちゃんと見て感じてくださっている人がいたんだ、と嬉しくなりましたし、自分が伝えたい気持ちやお芝居の感覚が、伝わる人にはちゃんと伝わっていたことが分かって、自信にも繋がりました。
 そこから、自分は自分なりの、自分にしかできないものを、ひたすらがんばって自信を持って表現すればいいんだ、という前向きな気持ちに切り替わったんです。

──さきほどからうかがっていると、お仕事で関わられた先輩方も、みなさん素敵ですよね。

小倉:
 本当にそうなんです。そうした人との出会いに、自分はすごく恵まれていたなと思います。
 『ロウきゅーぶ!』のユニットでご一緒していた花澤香菜さん井口裕香さん日笠陽子さんには、現場でいろいろなことを教えていただいて。今でもリスペクトしてますし、先輩ではないけれど、日高里菜ちゃんとは、昔から何でも悩みをお互いに話しあえる、打ち解けた仲間です。
 さきほどの「背中から全部伝わってきてるよ」と言葉をかけてくださったのは、能登麻美子さん。『ViVid Strike!』の打ち上げのときに、福圓美里さんと一緒に話しかけてくださって、とてもうれしかったんです!

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──では、そうした分岐点を越えて、今現在の小倉さんが仕事をする上で、もしくは、もっと広い意味で、人として生きる上で大切なんじゃないかと感じているのは、どんなことでしょうか?

小倉:
 このお仕事って、正解がないものだと思うんですよね。だからこそ、自分の感覚や感性、気持ちを大事に、常に満足せずに磨き上げていく。そういった向上心は、これからも持ち続けていきたいです。
 そして、適度な心の余裕を保ちつつ、常に自己ベストを更新していく。何だかアスリートに近い考え方かもしれないですけど(笑)。声優の仕事をやっていく上では、大事なモチベーションの一つなのかな、と思います。

──余裕を持って、仕事を楽しみながらも、常に成長を心がける。

小倉:
 そうですね。向上心がなくなってしまったら、表現の世界での活動には限りができてしまう。可能性や仕事に対しての欲は、常に広げて行けたらいいなと思っています。

「キラキラしたアイドル像」を伝承していきたい

──アーティスト活動で大切にしていることはありますか? 最近、カッコいい方向性を追求しているアイドルが多い中で、それこそ往年の松浦亜弥さんのようなかわいくてカッコいい路線を引き継いでいるのは小倉さんのような気がしているんです。アイドルではなく声優の道を歩んだことで、結果的にあのころのキラキラ感の継承者になっているというか。 

小倉:
 本当ですか!? そう言っていただけるとうれしいです!
 声優として活動している傍ら、まだどこか「キラキラしたアイドル像」を伝承していきたい、という想いがあるのかもしれないです。私は今でもアイドルが大好きですし、「アイドルはこうであって欲しい!」という信念というか、独特の美学みたいなものを持っているので(笑)。そうした想いを、一人のアーティストとしても表現し続けられたらいいな、と思っています。
 もし、いつか自分が表舞台に立てなくなってしまった時には、プロデュースする側に回るのも面白いかな、と考えたりすることも。

──まだまだ未来のことだとは思いますけど、プロデュースなど裏方的なことにもご興味があられるんですか?

小倉:
 ありますね〜。最近のアーティスト活動では、セルフプロデュースにも挑戦させていただいていて。体現することを考えるのももちろん楽しいのですが、他の人をプロデュースすることにも、だんだんと関心が湧いてきているのは確かです。
 指原莉乃さんがアイドルグループをプロデュースされていたりするのを見て「自分の理想のアイドル像を表現するには、そういったやり方もあるんだ」と勉強になりました。機会があれば、私もいつかそういったチャレンジをしてみたいですね。かわいい女の子たちを見守るの、大好きなんです(笑)。

 
 
 
 
 
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──ニューアルバムは全編セルフプロデュースですもんね。もしかしたらこれが、未来の名プロデューサー・小倉唯さんの第一歩かもしれない。

小倉:
 布石になりますかね(笑)。 

──きっとなると思います! 他になにか、今後の人生の野望はありますか?

小倉:
 野望!? そうですね…。
 今のこの声優のお仕事が、とても有意義で楽しいものだと感じているので。これからも維持しつつ、更に色々な役柄にチャレンジしていきたいですね。ナレーションや外画の吹き替えにも挑戦してみたいです。それに、声優としてのお仕事って、今かなり広がりのある分野ですよね。そういった意味では、チャンスさえあれば、どんなお仕事にも前向きに積極的にチャレンジしていきたい気持ちでいます。

 あとは、一人の表現者としても、表現方法をさらに追求していきたいです。もともと体を使って表現することも好きなので、声だけに止まらず、誰かに影響を与えられるようなことを何かで発信したり、お届けできたらいいですね。

──役の幅という意味だと、これまで演じたことのない役柄で、やってみたいことはありますか?

小倉:
  以前、そうした質問をいただいたときはずっと「マスコットキャラクター」と答えて来たんですけど、現在放送中のTVアニメ『ワッチャプリマジ!』では、念願叶い「はにたん」というマスコットキャラを演じさせていただけて、嬉しかった!
 次は……そうだな、男の子役とか。意外かもしれませんが、実はこれまでメインキャラクターとして演じたことがあまりないので、いつかチャレンジできる機会があったらいいな、と思っています。

──少年役が見られる日が楽しみですね。その時はまた取材に行かせてください。

小倉:
 よろしくお願いします(笑)。

──本日は、素敵なお話をありがとうございました。

小倉:
  ありがとうございました!……あの、ちゃんと話せていましたか? 記事にまとまりますかね?

──ばっちりですよ! うかがっていて、背筋が伸びるような思いがしました。自分はだらしない生き方をしているなと。恥ずかしいです。

小倉:
 いやいやいや!でも、それなら良かったです。私って神経質だし、妙に完璧主義者なところがあって。なんだか、話していて申し訳なくなることがあるんです(笑)。

──いえ、素晴らしいことだと思います。でも、ダラっとしたくなるときはないんですか?

小倉:
 家ではしっかり、ダラッとしていますよ(笑)。ソファーに寝転がって、ワンちゃんと戯れて、ひたすらTikTokやYouTubeを眺めています(笑)。
 でもよくよく考えてみれば、最近はゆっくりインプットする時間が足りていなかったかも。アウトプットすることが多かったので、何か吸収しなくちゃ。もっといろんなものから刺激を得る時間を作るのも、これからの目標の一つですね。


 約1時間ほどのインタビューだったが、とてつもなく正直で、濃密な話を聞くことができた。
 小倉さんは、冒頭に「メモを持ってきました」と言っていた。おそらく、この日、いままで発信してこなかった胸の内を、話そうと決めてくださっていたのではないかと思う。

 過去にまつわる衝撃の言葉の数々が飛び出したが、その口ぶりに悲壮感のようなものはまったくなかった。堂々と力強く、ステキな笑顔を時折見せながら、まっすぐ前を向いて話されていたのがとても印象的だった。
 葛藤を乗り越えて「この世界で生きていく」と決め、こうしてメディアの前で語ってくれた小倉さんは、きっともう、並々ならない覚悟を持っているのだろうと思う。 
 これからも、自分の歩みを信じて突き進む、彼女の姿を追いかけていきたい。

小倉唯さん直筆サイン入りチェキをプレゼント!

 インタビュー後、小倉唯さんのチェキを撮影し、直筆サインを書いていただきました。今回はこのサイン入りチェキを抽選で3名様へプレゼントします!
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小倉唯さん撮りおろしフォトギャラリー

 インタビュー後、小倉唯さんのフォト撮影を行いました。
 記事とあわせて、ぜひお楽しみください。

 

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