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中古のゲームソフト販売は違法?合法? 大手ゲームメーカーがショップを訴えた「中古ソフト販売事件」を解説

 今回紹介する、ゆっくりデータバンクさん投稿の『【ゆっくり解説】ゲーム業界事件簿「中古ソフト販売事件」』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、中古ゲーム販売をめぐって、ゲームメーカー側と中古ショップ側が争った「中古ゲームソフト裁判」について解説を行っていきます。

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中古ゲームソフトを販売するのは違法?

魔理沙:
 今回は、今では当たり前となっている「中古ゲーム」をめぐって争った「中古ゲームソフト裁判」について解説していく。 現在、ゲーム市場では主にふたつの購入法がある。ひとつがアプリ、ソフトのストアからのダウンロードだ。これらは並ばずに家から発売と同時にソフトを入手できる手段として、重宝されている。

 そしてふたつめはゲームショップで買うことだ。家電量販店、おもちゃ屋、ビデオレンタル店、本屋など、さまざまな店でゲームを取り扱っている。いわゆるパッケージ版だな。パッケージ版には初回購入特典なども付属してる場合もあり、ダウンロード版が同時発売されても一定数の購入者がいる。霊夢は新品で値段はフルプライスのゲームと、新品と全く同じ状態で安い中古が隣同士で並んでたら、どっちを買う?

霊夢:
 説明書とかもろもろ同じなら中古を買うわね。

魔理沙:
 そうやって消費者が中古を求めて中古を買うとどうなるかわかるか?

霊夢:
 お店が儲かるけど、メーカーは儲からないわね。

魔理沙:
 そう、新品を買ってほしいメーカーとしてはめちゃくちゃ困るんだ。この裁判はこういった新品を買ってほしいメーカー側と、中古で儲けたい中古ショップ側が衝突しておきた裁判だ。では早速裁判の経緯を話していこう。

 話の舞台は1996年から2001年の間。まずメーカー側に目をつけられる前の1980年代。この時代はファミコンが爆発的な人気を誇り、その波に乗っかろうとファミコンソフトの買取や販売を行う中古ソフトの店が多くあった。その中にはビデオレンタル店や書店など、もともとの業態と併せて販売するお店もあり、さらにはそういったゲームをレンタルする店も存在したようだ。

 その後、タピオカ店のように爆発的に増えた中古ソフト取扱店は、1990年代に入り落ち着きをみせ、整備されていった。成功した店はそれを専門に扱ったりして、チェーン展開をしていく。

霊夢:
 でも今は中古専門っていうのは、そこまで多くないわね。

魔理沙:
 そういった専門店はどちらかというと郊外だったり、ロードサイド店が多いからな。そしてその中古ゲームを扱う企業が集まった団体なんかも存在していて、1992年には「ジャパンテレビゲームチェーン協会」という団体が設立される。ここに参加してる企業は、カメレオンクラブ、わんぱくこぞう、ドキドキ冒険島、TVパニックなど全国で数十から数百の直営やフランチャイズ店を持つ大規模な企業だった。

 本題はここからだ。1994年の12月、今では任天堂ハードと競合しまくっているソニーコンピュータエンタテインメントが、ゲーム業界に参入。この当時、任天堂やセガはゲームを小売に流通させるのに問屋を数件挟んでいたんだが、それをソニーコンピュータエンタテインメントは変えた。 仲介を通さず、メーカーとショップ側が直接取引するようにしたんだ。

霊夢:
 これだったら何かあった時の対応も素早く行えるわね。

魔理沙:
 そうだな。メーカーも実際の流通量を把握できるし、そういった素早い対応、そしてソニーコンピュータエンタテインメント側への利益にもつながる。だが、ソニーコンピュータエンタテインメントはショップに直接卸すにあたり、同業他社への在庫を転売することを禁止し、再販価格の維持、そして中古品の販売を禁止したんだ。

 そこからは主にソニーコンピュータエンタテインメントと任天堂が覇権を握り、ソニーコンピュータエンタテインメントの影響力が大きくなっていく。さらに1996年には様々なゲームメーカーが所属するゲームメーカーの団体「コンピューターエンターテインメントソフトウェア協会」というものが発足し、この団体も同じように中古ソフト反対という姿勢をとっていた。

 この団体は現在もある東京ゲームショウの主催団体で、1997年、第2回の開催時のパンフレットに、中古ソフトに関して「ゲームソフトの著作権を守って」と警告、他にも中古販売は許可してないという旨の文章が書かれていた。

霊夢:
 いよいよ本気になってきたわね。

魔理沙:
 中古販売店側は、この時対応を協議。その結果、仲間割れした。

霊夢:
 え!? なんでよ。

魔理沙:
 その理由だが、中古品を扱う店側は、こういったメーカー側の方針を受け、対応を協議していたんだ。メーカー側と対立してでも中古販売を持続するか、メーカー側の方針を飲み込んで新品だけ販売していくか話し合った結果、もともとあった団体はふたつに分裂。

 1997年、ソニーコンピュータエンタテイメントの超人気キラーソフトである『ファイナルファンタジーⅦ』が発売。300万本を超える売上を達成し、中古販売に反対するプレステがどんどん優位に。しかも当時の中古販売を行うとした協会の加盟企業へは、新品ソフトの納品カットなどが行われていた。

 そしてその最中でも、協会の再々編が始まり、カメレオンクラブを運営する株式会社上昇が中古を辞めてもいいという考えを持ってた企業の集まりである「テレビゲームビジネス協議会」を脱退。すぐに中古販売を続ける「テレビゲームソフトウェア流通協会」に合流。

 株式会社上昇が脱退した後の協会は、事実上「テレビゲーム専門協会」となった。その協会では変わらずメーカーの争いを避けるために「中古販売はしない」という方針だ。

霊夢:
 ややこしいわね。

魔理沙:
 販売する側がいろいろある中、メーカー側はさらに中古ソフトに対する風当たりを強めていた。当時のソフトのパッケージの裏側には、中古販売禁止のマークが付けられるようになり、そのマークと一緒に無許可で中古販売は禁止するマークを無視したら、法的手段も取っちゃうかもよ的な文章が。

 1998年6月、ソニーコンピュータエンタテインメント、コナミ、ナムコ、当時のスクエア、カプコンなどの大手メーカー5社が、同社のゲームソフトの販売差し止めと破棄を求めて、中古ゲームを販売していたノジマ傘下の会社、株式会社ドゥー!を東京地裁に提訴。

 そしてその後、この5社に加え、さらに大手のセガの計6社がわんぱくこぞうを運営している株式会社アクトに対し、ソフトの差し止めを求め大阪地裁に提訴。すると、逆に株式会社上昇がエニックスを東京地裁に提訴。

霊夢:
 メーカーが販売店を訴えるのはわかるけど、販売店がメーカーを訴えるってどういうこと?

魔理沙:
 これも複雑で、エニックスは販売店が中古ソフトを扱う場合に、発売後9ヶ月以降に限り、その売り上げの7%をエニックスに支払うという契約をしようとしてたんだが、どうやら販売店側がそれを拒否。その結果、エニックスからソフトが納品されなかったんだ。 そして最初の株式会社ドゥー!の裁判では、メーカー側の請求を認諾。頒布差し止めを認めるんだ。この頒布というのは、この裁判でも焦点となった。

霊夢:
 で、頒布って何?

魔理沙:
 頒布は頒布権という法律があるんだが、映画の著作物特有の権利で、映画の著作物には頒布権というものがあり、映画の著作物を頒布する場合には頒布権者という制作者からの承諾が必要というものだ。

霊夢:
 でも、これって適用されるのは映画でしょ?

魔理沙:
 ああ、メーカー側はこの定義がゲームにも適用されるから、著作権違反と主張している。ただ、ショップ側はこの頒布権は映画のフィルムで上映することを前提として、その中の限られた場合に適用されるから、ゲームには適用されないという主張だ。

霊夢:
 ってことは、この裁判の論点は、ゲームと映画が同じものなのかと、頒布権はどこで消尽するのかというところなのね。

魔理沙:
 そうだな。そして、さらに話をややこしくするのが独占禁止法問題だ。1996年5月、裁判が始まる前、ソニーコンピュータエンタテインメントが独占禁止法違反の容疑で公正取引委員会による立ち入り調査を受ける。その容疑は、最初に言った小売店に対する再販価格維持の方針が、価格拘束に抵触してるのではというもの。

霊夢:
 値引きを認めないやつね。結果はどうなったの?

魔理沙:
 結果はソニーコンピュータエンタテインメントに対して公正取引委員会が排除勧告をする。ソニーコンピュータエンタテインメントがハードやソフトの販売に関しての小売や卸業者への値引き禁止や、中古横流しの禁止を求めたことが問題となって、ここから数年にわたり裁判が開始される。

霊夢:
 結局、裁判はどうなったのかしら?

魔理沙:
 最初の裁判の判決は、東京地裁と大阪地裁で別れた。ここではゲームと映画は異なっていて、ゲームは映画に分類されないとしてゲームは映画の著作物ではないとされた。同時に同じ審理が行われたわけだが、まず上昇とエニックスの裁判では、1999年5月に東京地裁で結果が出た。簡単に言うとショップ側の勝訴だな。だがすぐエニックス側は東京地裁に控訴した。

霊夢:
 判決がわかれたってことは大阪では認められたのね?

魔理沙:
 ああ。1999年10月、大阪地裁で行われたメーカー6社vsアクトを訴えた裁判では、ゲームソフトは映画の著作物で、頒布権は存在するとされ、メーカー側が勝訴。販売店側のアクトが控訴する。

霊夢:
 本当に真逆な判決になったのね。

魔理沙:
 そしてこれでは決着がつかないということで、それぞれ最高裁に移行。だがその間にも判決を左右する出来事が立て続けに起こる。

 まず、1999年3月にメーカーの意向次第で中古品販売をやめるとしていた団体に所属していたブルートという会社が、80億円の負債を抱えたまま倒産。倒産理由は、テレビゲーム専門店協会に店舗ごとに所属してたために、中古品が扱えず経営難に陥った店が多いということが大きい。

霊夢:
 さすがに新品だけではやっていけないわよね。

魔理沙:
 続いて1999年11月に、ソニーコンピュータエンタテインメントのほかにセガの流通子会社の方にドリームキャスト関連製品の価格拘束の疑いで、公正取引委員会が数十カ所の関連企業を検査。結果、セガは販売部門を自社で設置、小売店との契約を見直し新契約を結ぶことに。 2000年に入り、3月4日にプレステの後継機となるプレイステーション2が発売。

 その時ソニーコンピュータエンタテインメントの中古販売をやめるようにというのに従っていたショップも含めて、マージン制度の全廃の方針となり、テレビゲーム専門店協会に加盟してたショップも中古販売を再開。ちなみにテレビゲーム専門店協会は、その後消えた。

 そしてここらへんから、ショップ側がだんだん潰れ始めてたんだが、ここにきてメーカー側の態度が変わってきた。2000年の東京ゲームショウでは、パンフレットには「中古販売そのものに反対しているわけではない」と書いて、問題は許可を得ていない中古販売で、新しいルールを作り上げて環境を整えたいとアピール。

霊夢:
 なんだったのよ、今までの主張と違うわね。判決はどうなったの?

魔理沙:
 これで判決はかなり変わった。2001年3月27日、東京高裁で判決が下される。この判決では東京地裁の判決を支持し、エニックスの訴えを退ける。

霊夢:
 ショップ側が勝訴したってことね。

魔理沙:
 そうだ。ここではゲームソフトは映画の著作物と認められたものの、映画とゲームでは違うとし、頒布権は存在しないとしている。そして2日後の29日には、地裁での判決ではメーカー側が勝訴した大阪での判決も逆転。ここでもゲームを映画の著作物と認めてはいるものの、頒布権は初回で消滅するから、中古にまでは及ばないとされた。

 だが、これをメーカー側はもちろん不服として、最高裁に上告。これの判決が出るのが2002年4月25日なんだが、それよりも前にソニーコンピュータエンタテインメントに事件が起きる。 ソニーコンピュータエンタテインメントの独占禁止法違反が決定。18回の審判の末、独占禁止法第19条に違反するという結果に。

 ソニーコンピュータエンタテインメントはこれを受け入れ、ソフトやハードの卸売販売の条件を契約書から削除。ただ最初は容疑として審議されていたPSソフトの中古の取扱い制限が、文章に盛り込まれておらず、ソニーコンピュータエンタテインメント側は当社の主張が勘案されたとしている。

霊夢:
 高裁での判決はどうなったの?

魔理沙:
 最高裁の判決は、2002年4月25日に決定した。ここでは最高裁の裁判官5人が、メーカー側の上告を全員一致で企画し、ここでようやく中古ソフト販売が合法であると正式に決定。

 頒布権は一度譲渡された時に消尽するとされ、中古ソフト販売が著作権法違反ではないという判決が決定。この後はコンシューマーゲーム市場も縮小し、今の状態になっていくんだが、それらを扱う中古店はそれ以上の速さで縮小。 インターネットの普及に伴うソフトを必要としない基本無料のソーシャルゲームが流行したことなんかが、要因にあるようだな。

霊夢:
 これ以降ダウンロード版とかも出てきたしね。中古専門はキツイわよ。

魔理沙:
 しかもいろんなハードを作っていた会社が、ソフトを作る方に転換するからな。中古専門店は民事再生法を申請したり、売却されたり廃業されたりしている。メーカーも再編が続き、当時エニックスだったものがスクエアエニックスに、バンダイとナムコがバンダイナムコにというように、ゲーム業界そのものの価値が見直されたような再編が行われた。

 そしてショップ側とゲームメーカー側の関係は改善されたが、ゲームメーカーにはまだマジコンという新たな敵がいる。今後もこういった争いは続けられるだろう。

 泥沼の裁判となってしまった中古ゲームソフト事件でした。解説をノーカットでご覧になりたい方はぜひ動画をご視聴ください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

『【ゆっくり解説】ゲーム業界事件簿「中古ソフト販売事件」』

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