『冷たい熱帯魚』園子温と『龍が如く』名越稔洋が語る“表現としての暴力とエロス”「殴る蹴るはゲームの創世記の頃からやっている」「暴力とエロスは映画の中心みたいなもの」
規制が厳しくなる映画・ゲーム業界
椿姫:
今は映画・ゲーム業界の規制は厳しいですか。
園:
厳しい!
椿姫:
映画界はそのへんはどんどん厳しくなっているんでしょうか。
園:
そうですね……、厳しいところもあるんじゃないですか。
椿姫:
ゲーム業界も厳しいですか。CEROとか。
名越:
そうですね、喫煙シーンとかは厳しいです。基準がよくわからないんですよ、ゲームの方が厳しいところもあれば映画の方が厳しいところもあって。偉い人が決めているんでしょうけど。
椿姫:
日本だと、グロ表現が駄目でいやらしい表現が結構OKなんですか。
名越:
ゲームはバイオレンスよりもエロがうるさいです。
規制の基準は検閲者の趣味!?
園:
検閲の話に関係するんですけど、陰部は役者の体が近寄っていって触れ合った瞬間だけ、卑猥なものとして指定されるんですよ。だからそれまでは女性のヘアは出てるんですよね。けれど、他の人の体に触った瞬間にそこが急にいやらしいものになるらしいんです。だからあるカットはモザイクがついたりとれたりするシーンがありました。全然意味わかんない検閲のシーンですね。
椿姫:
どれくらい離れたらとかあるんですか。
園:
何秒かに一回、身体をくっつけるシーンがあるんで……ボカシが1秒あったりなかったり。ちょっと笑える感じなんです。
椿姫:
結構基準は曖昧なんですか。
園:
曖昧です。昔だったら、検閲するその人がエロいと思ったものがエロいので、そうすると変わった検閲もあるんですよ。「セーラー服の線が2本線はエロくないけど、1本線はエロい」なんて言われたりね。だからその人の気持ちなんですよ。
名越:
すごくわかります。ぼくだったら2本って言うかな(笑)。これは勝手な想像ですよ? その検閲官が中高生だったときのガールフレンドがその制服だったんじゃないですかね。
園:
自分の考えなんですよね。
椿姫:
変な話、基準を決める人の性癖が物差しになってしまうんですか。
園:
担当者がいちいち違うんで、その人のエロいものの尺度で検閲をするんですよ。
名越:
大勢でやってないですよね。
園:
検閲官はたくさんいるけど、持ち回りなんで。担当者がヤバイと厳しくなちゃう。
椿姫:
逆に担当者の方がエロスをあまり感じなければ、それはどうなるんですか。
園:
それは、「今回はこの人が担当で良かったな」って(笑)。
椿姫:
では、担当の方にかなり左右されるんですね。
名越:
ゲームもそうですよ。前例とかも気にしたりしますけど、基本的には強めに規制をかけますよね。「どうかな?」と思ったらダメにしちゃおうっていう風潮はあります。