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1400人が炭鉱に取り残された爆発事故の恐怖とは? 1960年代の福岡県で発生した「三井三池三川炭鉱炭塵爆発事故」を解説

 今回紹介する、ゆっくりするところさんが投稿した『【ゆっくり解説】高濃度COが充満する坑道に取り残された1400人・・・炭塵が引き起こした『三井三池三川炭鉱炭塵爆発』』では、音声読み上げソフトを使用して、1963年に発生した福岡県大牟田市の三井三池炭鉱三川坑で発生した炭塵による粉塵爆発事故について解説していきます。


即座に20人の命を奪った炭塵爆発による事故

魔理沙:
 1963年11月9日、福岡県大牟田市三川町にあった「三井三池炭鉱」。この炭鉱では約1400人の人が働いていた。

魔理沙:
 石炭を掘り起こして、トロッコを使ってそれを運び出していた。
 午後3時を少し過ぎた頃、この石炭を満載したトロッコの連結が外れてしまう。

 トロッコは坑道内に積もっていた、石炭の粉を巻き上げながら暴走。
 そして、暴走したトロッコによって、電気ケーブルが破損してしまった。

 その直後、ケーブルからスパークが置き、坑道内で大爆発が起きた。

霊夢:
 坑道で爆発って、逃げ場がないから怖いわね。

魔理沙:
 この炭塵爆発で20人が、即座に命を落とした。

霊夢:
 炭塵爆発ってどういうものなの?

魔理沙:
 原理は、粉塵爆発と同じものだ。
 空気中の粉塵濃度がある一定以上になると、火花などでも簡単に着火、爆発してしまう。

霊夢:
 漫画で小麦粉か何かを撒いて爆発していたシーンがあったわ。

魔理沙:
 炭塵爆発の場合は、後が大変なんだ。この爆発により、一酸化炭素(CO)が大量に発生した。

魔理沙:
 この爆発のせいで、1400人という、大勢の労働者がいた有明海低の坑道内に、一酸化炭素を送り込んでしまうことになる。

 しかし、救助活動は大幅に遅延した。
 最初の救護隊が組織されてから、現場に到着するまで約3時間がかかり、最も遅く到着した救護隊は、爆発発生から7時間後だった。

霊夢:
 一酸化炭素が充満しているなら、早く行かないといけないのに。

魔理沙:
 空気中における一酸化炭素濃度が0.2%になっただけでも、頭痛が起こり、更に高くなると吐き気、めまいなどの中毒症状が進み、最悪の場合、命を落とすこともあるし、重篤な後遺症を残すこともある。

魔理沙:
 この時、救助が遅れたことによって、炭坑内での一酸化炭素濃度は、高濃度の6%にもなっていた。

霊夢:
 0.02%でもヤバいのに、6%⁉

魔理沙:
 この状況が6時間ほど続いていたせいで、被害者が増大してしまったんだ。救助された940名の内、839名が一酸化炭素中毒患者(CO患者)となった。

 それに、救護隊からもCO患者が出たらしい。

霊夢:
 毒ガスが充満しているトンネルに行くようなもんね……。

魔理沙:
 直接的な原因となったのは、トロッコを連結していた金属パーツが、金属疲労を起こし破断したことだった。
 このパーツは非常に粗悪な材質を使っており、とても安全に長く使用できるようなものではなかった。

 炭鉱には、常に炭塵爆発の可能性があったにもかかわらず、「実際に何十年も起きていない」など『安全神話』が掲げられていたこともあった。

 しかし、三池炭鉱は、保安をサボっていたし、通産省の炭鉱保安監督局も純分な監査などを行なっていなかった。

霊夢:
 会社どころか政府もダメじゃないの。

魔理沙:
 これは以前、三池労働組合が闘争に敗れ、会社側が「生産第一主義」に全力をあげていたということも背景にあった。

 事故が起きた第一斜坑の安全要因は、17名からたったの2名に減らされ、減った分の要因を採炭作業に充てていた。

 事故後、福島県警、検事局が業務上過失致死傷と、炭坑保安法違反の疑いで、会社幹部らを訴追したが、気訴に積極的だった福岡地検の検事ら多数が、突如として転勤させられることとなり、新たな検事グループが組織された。

魔理沙:
この新しい検事らは、『事故原因は科学的立証ができない』とし、会社幹部らは不起訴処分とされた。

霊夢:
 明らかになんらかの力が働いているわね。

魔理沙:
 亡くなった人の弔慰金40万円、葬祭料10万円が支払われたが、後遺症を患った被害者の暮らしは想像を絶するものだっただろう。
 だが、被害者やその家族・遺族との間で、一酸化中毒の後遺症患者への補償のことで裁判が繰り広げた。

 これらの裁判は、1998年に最高裁で確定されるまで、実に30年間争われた。
 事故後60年以上が経っても、闘病生活を続けている患者も多いという話だ。

 その後、この事故をきっかけに、三井三池炭鉱は力を失い、閉山に追い込まれたという。

 炭鉱という閉鎖的な環境、そして事故を助長する体制など問題が絡み合う事故でした。より詳しい解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【ゆっくり解説】高濃度COが充満する坑道に取り残された1400人・・・炭塵が引き起こした『三井三池三川炭鉱炭塵爆発』

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